犬のくしゃみが止まらない…それは病気のサインかも?考えられる疾患
犬のくしゃみが止まらないときに考えられる病気
犬のくしゃみが止まらないときは、以下のような病気が疑われます。
ケンネルコフ
急性かつ非常に伝染力の強い呼吸器疾患です。犬パラインフルエンザウイルスと気管支敗血症菌感染が主な原因で、さまざまなウイルス、マイコプラズマ、他の細菌感染により引き起こされます。発作性の急性咳が典型的な徴候です。
軽症であれば一般状態を維持できますが、徐々に食欲減退、発熱、元気消失を示します。
歯周病
上顎歯の根尖周囲病巣(折れた歯の根元が炎症を起こし化膿している状態)の影響で、上顎歯槽骨が溶け、口腔と鼻腔がつながってしまう場合があります。
口から鼻へ入った食べ物に対する異物反応による膿性鼻汁がみられ、二次的な細菌感染を伴うこともあります。
歯の治療をしないと、鼻汁やくしゃみが完治しない場合が多いです。
鼻炎
感染症で、ウイルス性(犬パラインフルエンザウイルス・犬ヘルペスウイルス・犬ジステンパーウイルス・犬アデノウイルス1型および2型)であることが多く、細菌感染は二次感染によって起こるといわれています。
漿液性(透明でさらさらした状態)~粘性膿性と、さまざまな鼻汁がみられ、くしゃみや逆くしゃみが起こります。ときに前述の歯科疾患やリンパ球の鼻粘膜への浸潤により起こる場合もあります。
鼻腔内腫瘍
鼻腔および副鼻腔内に生じる腫瘍です。多くは悪性で、周囲組織が破壊され、機能が失われます。犬では腺癌、扁平上皮癌、未分化癌が鼻腔内腫瘍の2/3を占め、残りの腫瘍はほとんど肉腫です。
特徴的な症状は、片側性の鼻出血、粘液性~粘性膿性鼻汁、スースーやブーブーといった音が出ることです。また、腫瘍の進行により顔が変形したり、くしゃみや呼吸困難、眼球突出、目やにが多くなり、時に脳への圧迫で神経症状を示す場合もあります。
頭部レントゲン検査やCT検査、MR検査などで診断します。
鼻腔内異物
犬では草ノギや草の葉が多く、食べ物の一部や豆類もよくみられます。摂食後に突然生じ、持続するくしゃみ粘性膿性鼻汁がみられ、時に出血を伴います。
病気以外で犬がくしゃみをする原因
くしゃみは刺激物を鼻腔から排出するための防御反応であるため、偶発的なものは正常な反応として考えられます。
犬の「逆くしゃみ」とは?
逆くしゃみは、鼻咽頭の刺激によって起こる、苦しげな発作性の吸気です。小型犬に起こることが多く、興奮や飲水に引き続いて起きることがあります。発作は数秒で終わり、呼吸に対して大きな障害を起こすことはなく、たいていの場合、治療の必要はありません。
また、軟口蓋(口腔内の上部奥にある柔らかい部分)が喉頭蓋(気管の入口にある蓋のような器官)を塞ぐことも原因といわれますが、ほとんどは特発性です。他に、軟口蓋の背側に存在する異物や鼻咽頭の炎症により引き起こされたり、アレルギーによって生じたりするとも言われています。
犬のくしゃみに関するよくある質問
Q.犬の風邪はくしゃみで人間へとうつりますか?
犬の風邪は人間にうつることはありません。
Q.人間の風邪はくしゃみで犬へとうつりますか?
人間の風邪は犬にうつることはありません。
ただ、可能性は低いですが、マイコプラズマなどの感染症の場合、感染することがあります。
Q.くしゃみが多い犬種はありますか?
くしゃみはどの犬種でも起こります。ただ、くしゃみをする原因によって好発する犬種はいます。
まとめ
犬のくしゃみは一時的であれば気にする必要はないものの、止まらない場合は病気のサインかもしれません。
腫瘍や歯の病気に起因するくしゃみもあるため、少しでも様子がおかしいと感じるのであれば早めに動物病院を受診させてあげましょう。
(獣医師提供:上野 雅祐)