「妻はそういう人だから」部屋を漁られ、グッズを見られても平静を装い続ける49歳男の諦観【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「冷酷と激情のあいだvol.225〜女性編〜」では、妻に隠れてセルフプレジャーに励む夫に嫌悪感と不快感をあらわにする由香里さん(42歳・仮名)の心情をお届けしました。
では夫のトシカズさん(49歳・仮名)は、現在の夫婦関係についてどう考えているのでしょうか。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
妻との関係は可もなし不可もなし
「妻との関係ですか?
うーん、どうなんでしょうね。可もなし不可もなしって感じですかねぇ。
子どもがふたりいるので、今は子育てが最優先事項ですかね。僕はお金を稼いでくるのに必死ですし、妻も育児と家事で精一杯なんじゃないかなって思います」
冷静な口調で、こう話し始めたトシカズさん。妻は下の子どもが生まれて以降、専業主婦をしているそうです。
妻が専業主婦なワケ
「今どき、専業主婦って都会だと珍しいんじゃないですかね? 僕のまわりはほぼ共働きで、妻がフルタイムではなくてもパートとかアルバイトで週5働いているっていう話ばかりです。
でもウチの場合は、下の子が不登校気味なので、両親が家をあけないほうがいいんじゃないかっていうのがあるんですよ。
それに不登校の分、勉強を妻が見たりしているから、妻が子育てにかける労力もけっこうなものだろうと思っていて…。
なので、基本的に専業主婦で家にいてもらっています」
トシカズさんはさほど言葉にも詰まることなく終始、夫婦の状況を淡々と語り続けます。
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こんなもんでしょ
「幸せかと聞かれれば、うーん、どうなんでしょうね? って思う部分はありますけどね。
理想を掲げればキリがないけれど、まぁ夫婦とか家庭とかってこんなもんでしょ。
妻とはもう男女っていうよりも、完全に家族って感じになっているから、ラブラブとかそういうのは全くないですけど。
家のことをしっかりやってくれているし、子育ても頑張ってくれているし、だから僕は妻に対して特に不満は持っていません。
でも、強いて言えば妻はかなり神経質な性格で、僕に対して理想を押し付けたがるところがあるので、それは疲れますけどね…」
夫婦喧嘩は100%妻が発端となっているのだそう。妻からトシカズさんに対して文句や不満がぶつけられ、最初のうちは静かに聞いていたトシカズさんが言い返してしまうと、そこから大喧嘩に発展するのがお決まりのパターンだと言います。
波風を立てずに平和に過ごしたい
「喧嘩はエネルギーを使うので、できるだけ避けたいんです。だって今更喧嘩をしても、お互い譲れない部分だって多いでしょう?
だから相手はこういう人だって諦めて、一緒にいるのがベストだと僕は思うんですよ。
でも妻は何かと細かいところを気にする性分ですね。この前は、僕の部屋に勝手に入って、僕が隠している私物やグッズなんかも漁ったみたいですし。
まぁ妻が、そういうことをする人だっていうのはわかっているから。妻には何も言っていません。
話し合いをしても何かが変わるわけじゃないし、放っておけばそのうち飽きるだろうって。
離婚とかそういうのは全く考えていませんから、とにかく夫婦間に波風を立てずに平和な毎日が過ごせれば、僕としてはそれでいいです。
妻から何かを要求されても、僕は変わる気もないですよ。もう若くないですからね、20代のカップルみたいに熱い思いでパートナーにぶつかっていくなんて、僕にはとても無理ですね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)