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芸術家・岡本太郎の軌跡を青山という場所を通して俯瞰する。企画展「青山と70年」が2025年2月24日まで表参道『岡本太郎記念館』で開催中

さんたつ

「青山と70年」キービジュアル

青山の地に岡本太郎がアトリエを構えて70年。そのときからはじまった青山と岡本太郎の物語を、写真と1950年代の岡本作品で綴る企画展「青山と70年」が2025年2月24日(月・休)まで東京都港区『岡本太郎記念館』で開催されている。

盟友・坂倉準三らが太郎のために手掛けた自宅兼アトリエに注目

1950年代当時の旧館と太郎。

岡本太郎が青山の地にアトリエを構えたのはいまから70年前の1954年5月のこと。パリに渡るまでを両親と過ごした大切な場所である青山。しかし戦争から戻ると一面の麦畑。家も作品も、何もかも空襲で失われていた。

1946年の復員から8年が過ぎ、ようやくこの地に戻ることができた太郎は、青山に自宅兼アトリエを建築。いまも旧館として残るアトリエ住居を設計したのはパリ時代の盟友・坂倉準三で、現場担当は所員の村田豊。ともに現代建築の父ル・コルビュジエの事務所で腕を磨いたエリート建築家である。とはいえ壁はブロックを積んだだけ、屋根は木材を曲げただけ。金のない太郎のためにふたりは徹底したローコスト建築を実現したという。

生涯のパートナー・岡本敏子が「戦闘基地」「塹壕」と呼んだこの場所で、太郎は戦後日本の美術界に斬り込む作品を次々と生み出していく。

第2展示室の岡本太郎『原始』。
第2展示室では写真パネルも展示されている。

旧館建物と1950年代の作品群にスポットライトを当て、“岡本藝術”に肉薄

本展では、当時の息吹をいまに伝える旧館建物とともに、青山で胎動した“岡本藝術”のバックグラウンドにスポットライトを当てていく。70年前にはじまった青山と岡本太郎の物語が綴られていく。

事務局の黒田真帆さんは、「『岡本太郎記念館』は、1954年にアトリエとして建設された旧館と、1998年に改築した新館の2棟で構成されています。今回初めて展示するアトリエの門扉や模型、当時の写真にもぜひ注目いただき、旧館やお庭で太郎さんの気配を感じながら、ここでの暮らしを想像してみてください」と見どころを語ってくれた。

今となっては建築的にも価値の高い旧館の細部にまで着目し、当時の青山の様子とともに、岡本藝術の原点を感じられる内容となっている。

第1展示室の岡本太郎『動物』。
岡本太郎『建設』。

開催概要

企画展「青山と70年」

開催期間:2024年11月15日(金)~2025年2月24日(月・休)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:火・12月28日(土)~1月4日(日)
会場:岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19)
アクセス:地下鉄表参道駅から徒歩8分
入場料:一般650円、小学生300円

【問い合わせ先】
岡本太郎記念館☎03-3406-0801
公式HP  https://taro-okamoto.or.jp/exhibition/%e9%9d%92%e5%b1%b1%e3%81%a870%e5%b9%b4/

取材・文=前田真紀 画像提供=岡本太郎記念館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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