サクラ、きれい!春の便りに笑顔咲く 釜石の“定番”お花見スポットをめぐってみた
桜の便りは釜石市にも届き、お花見スポットとされる各所では花姿を確認した人たちが春の訪れを実感している。4月に入り、日中の気温が15度前後の日が続いたが、風に冷気が混じっていたため、市内に多い桜(ソメイヨシノ)の開花具合はまちまち。それでも早咲き種とともに見ごろを迎えた木もあり、青空が顔をのぞかせた12日に定番スポットを巡ってみた。
桜と言えば並木道。エドヒガン、ソメイヨシノ、シダレザクラなどが混在する甲子町松倉の甲子川沿いでは、市民や花見客らが約800メートルにわたり連なる花をめでながら散策を楽しむ。
桜木町と小川町の小川川流域は両岸のソメイヨシノの枝が川に垂れる人気のスポット。花に手が届くほど間近で見られる場所もあり、多くの人がカメラやスマートフォンを向け、花姿を収めた。釜石製鉄所山神社を囲むように桜並木が広がる場所でもあって、ゆっくりと散策する人も。近くの多目的広場では折り畳み式のテーブルや椅子などのレジャーグッズを広げたグループが飲食も楽しんでいた。
大槌町吉里吉里の岡谷暖空(ひなた)さん(6)は、父親の悦洋さん(42)に肩車され小川での花見を満喫。「きれい」と弾かせた笑顔を、母親の幸子さん(43)がスマホカメラに残した。桜の時期に毎年訪れて家族写真を撮るのが恒例行事。家族6人のうち、就職や進学で3人の姉が離れて暮らし、今春は3人で思い出をつくった。「桜は5分咲きくらいかな。天気もちょっと…カラッと晴れていたら」と幸子さん。開花と同じ頃に小学校に入学した愛息を見つめ、「自分らしさを忘れず、このまま真っすぐ育ってほしい」と願った。
上中島町の公園では薄桃色の桜並木が市道沿いに連なる。栗林町の宍戸美佐子さん(44)は、歩き始めの陽咲(ひなた)ちゃん(2)とお散歩。「あっちのさくらー」と促す孫の後をゆっくりとした足取りで追う、ちやさん(74)は「春は気持ちがいい。いろんな出発の季節だからね。週1回のデイサービスが楽しみ。誰かと会えるし、何より会話が楽しい」と顔をほころばせた。
野田町の野田中央公園は住宅地側の早咲き種のヤマザクラが満開で、風が吹くと花びらがちらちらと舞う。甲子川側のソメイヨシノは少し遅れて咲き誇る。環境を整えようと率先して活動する住民らの姿があり、「今年は、より色がいいな」とうれしそうな声が聞こえてきた。保育施設への入園式を終えた親子が記念に写真を撮る光景も見られた。
大渡町の大渡橋たもと、橋詰広場には1本だけ泰然と立っている。趣のある樹形が目を引く桜は、ほぼ満開。甲子川をはさんだ対岸の三陸鉄道の線路沿いの木々と合わせ、美しい花姿を楽しめる。
市内ではこのほか、定内町の定内公園も見ごろ。川をはさんだ小佐野町のせいてつ記念病院敷地の桜とのコラボを楽しめる散歩コースになっていて、道行く住民の目線は上を向いている。“桜のトンネル”を形成する唐丹町本郷の桜は咲き始め。橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」周辺はつぼみ状態で開花はこれから。春気分を味わうシーズンはまだ続きそうだ。