矢合川の水質検査で暫定目標値の60倍超えるPFAS検出、四日市公災害市民ネット調査、下流域に上水道の水源地
三重県四日市市でPFAS(有機フッ素化合物)について調査を続けている市民グループの四日市公災害市民ネットは6月10日、市西部の三滝川水系の矢合川とそこに流れ込む小川から、国が定めている水質管理暫定目標値50ng/Lの最大60倍を超すPFASが検出されたと発表した。下流にある三滝川との合流点の付近には市の上水道の三滝西水源地の井戸があるといい、「市はPFAS汚染に関する本格的な調査を始めるべきだ」と指摘している。
発表によると、市民ネットは矢合川の智積橋から上流へ向け、桜町一の谷までの約4キロ間の9カ所で4月1日に採水、全国のPFAS汚染に詳しい原田浩二・京都大学准教授に測定を依頼した。
その結果、国道306号に近い矢合弟橋東右岸の小川で、国際的に健康被害が指摘されているPFOAが3047.57ng/Lを示すなど、高い数値が測定された。PFOAについては南山橋、よまとり墓所前合流点、矢合妹橋、智積橋の採水地点でも暫定目標値の2倍から17倍を超えていた。
健康被害が指摘されているもうひとつの代表的なPFOSについては、7地点で非検出だったが、矢合妹橋で2.36ng/L、PFOAの値が最も大きかった矢合弟橋東右岸の小川で27.10ng/Lを測定した。矢合弟橋東右岸の小川では、やはり環境汚染物質とされるPFNAも暫定目標値を上回る50.1ng/Lを測定したという。
四日市公災害市民ネットが発表した矢合川での水質調査の結果
矢合川が東へ下り、三滝川と合流する地点の周辺には、市の上水道の三滝西水源地の4本の井戸があるという。直接、川から取水しているわけではないものの、四日市市の井戸は比較的浅い地中から水をくみ上げているとされ、市民ネットは「地下水の地中での流れがどうなっているかを含め、市は速やかに影響がないか調査をすべきだ」と求めている。また、今回の調査で採水した時点では、高い測定値を示した場所の周辺に、明らかな廃棄物の投棄跡や操業中の工場などは見当たらなかったといい、過去の投棄などが影響を残している可能性もあるという。
市民ネットは、市長あてに矢合川の汚染発生源を特定する調査を含む要望を出しているほか、市議会にもPFAS汚染の実態調査を求める請願を提出した。市民ネットは昨年から2度の独自の採水調査をしており、検査結果の発表は今回が3回目。市議会への請願は前回の議会では採択されず、今回が2回目の提出になる。