畑芽育「自分が何をしたいのか分からず漠然とした不安があった」#18歳のころ
著名人の方々に、自身の18歳のころを振り返っていただく連載企画“18歳のころ”。大人と子供の狭間でもある18歳は、未成年から成年年齢に変わる歳でもあり、多くの人が高校を卒業して新しい道を歩むタイミングでもあります。憧れのあの人の18歳のころを知ることで、これからの人生を送る上でのヒントを見つけられるかもしれません。
今回は映画『うちの弟どもがすみません』で、母親の再婚によっていきなり
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人の弟のお姉さんになってしまう頑張り屋の女子高生・糸を演じた畑芽育さんが登場。意外にも「ものすごくくすぶっていた」という18歳の頃を振り返っていただきました。
【写真】畑芽育の撮りおろし畑芽育の18歳のころ
ーー18歳のころを振り返って、印象に残っていることはありますか?
18歳のころは……ものすごくくすぶってまいした。思い悩んでいて、仕事のこともそうですし、自分に関しても「何がしたいのかな」とか「このままこのお仕事で大丈夫なのだろうか」とか、漠然とした不安がすごく多かったです。結構心配性で、特に18〜19歳のころは、例えば取材されていても言ってることがめちゃくちゃだったり、一貫していなかったり……、たぶん自分の中でもやりたいこととか信念みたいなものが特に定まっていなくて、フワフワしてたと思います。今振り返ると「それが18歳らしいのかな」とも思うんですけど…。
ーーもしもそのころの自分に今何か伝えられるとしたら、なんて言ってあげたいですか?
う〜ん、でも悩めるだけ悩んでおいた方がいいと思うので……。たぶんあのときに苦しんだりしんどい思いをしてなかったら今の自分はいなかっただろうし。かといってそのころを美化するわけじゃないんですけど。全然すり抜けられた部分もあったと思うんですけど、でもそれを、泣き言は言いつつでしたけど、どうにかやりきったからこそ今があると思うので、なるようになるし、悩めるだけ悩んで、泣けるだけ泣いて、 辛くなれば辛くなるほど、ほんとに人生山あり谷ありだと思ってるので「いつか山が来るぞ!」と伝えてあげたい(笑)。
ーー20歳で成人して自分が大人になったなって感じる瞬間はありましたか?
20歳の時は私の周りにたまたま美容学生の子が多くて、20歳の年に卒業して就職する子も多かったですし、今は今で私が大4の年なので、周りがちょうど進路を考える時期で、いろいろ話を聞いていたりして。でも自分はもう社会人で、お給料をいただいてる人間だったので、周りの友達とのギャップに「自分は社会人なんだな」とか「ちょっと大人なんだな」ってハッとさせられました。気も引き締まったし、やっぱり学生さんって未だに羨ましいなって思うことが多いんですけど、羨んでても学生にはなれないから、とりあえず今ある課題だったり、自分がやるべきことに目を向けてしっかりやっていこうって思った20歳だったなって思います。
ーーそれこそ1歳の時からずっとお仕事をされてるから、昔から周りの人よりずっと大人の経験ができているわけじゃないですか。とはいえ、改めて周りと比較して感じることがあったんですか?
そうですね。学生時代もなんとなく、周りの部活やっている子たちとか、高校生活を満喫している友達と自分を比較して、もし今こういう仕事をしていなかったらどんなことをしていたんだろう、どんな自分だったんだろうって、すごく周りが羨ましく思えた時期もたくさんあったんですけど、20歳ぐらいの時は、仕事が楽しいと思い始めた年でもあって、それがすごく嬉しかったです。ちょっと安定してきたな、って。いろんな意味でやっと自分のコントロールができてきた1年だったなって思います。
ーー畑さんから読者へ、エールをお願いします!
成人といっても選挙権があるだけで、たぶんいまいち実感も湧かないと思うんです。だから、これといって気張る必要は全くなくって、学校とか周りの大人たちにも「成人の意識を持って」とかさんざん言われると思うんですけど、全然そんな必要はないし、いられるだけ子どもでいてもいいのではないかと私は思います。時が経てば、人は絶対に大人にならないといけない時が来て、そういうのってほんと個人のタイミングなので、無理に背伸びしなくてもなるようになるので。だから無理をせず、楽しいことをして、時に将来のことを考えながら真っすぐ過ごしてほしいなと思います。
糸は“肝っ玉母ちゃん”みたいなタフな女の子
ーー今作が映画初主演なんですね。
そうなんです。なので、最初はプレッシャーも感じていましたし、不安な点もありました。でも、以前ご一緒したことのあるスタッフさんも多く、現場に同年代の方が多かったこともあり、打ち解けるのもすごく早くて。みなさんすごく優しかったですし、スタッフさん含めまるで幼なじみや兄弟みたいに近い感覚で話してくださって、打ち解けやすい雰囲気づくりをしてくださったので、みなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
ーーご自身が演じた糸ちゃんの魅力は?
糸はひたむきだし、やると決めたことに対しては周りが見えなくなるくらいに突き進んでいく、すごくタフな女の子だと思います。私は幼少期からこのお仕事をしているので、もう22年目になるんですけど、いまだに1クールごとに現場が変わって、一緒にお仕事する相手が変わっちゃうことに慣れなくて。でも糸ちゃんは急に環境が変わって新しい家族になった弟たちにもちゃんと愛情を持って接することができる女の子だし、いきなりお姉さんになったのに弟たちのことを考えて動けるところはすごく尊敬できるし、「こんな子現実にいたらモテるだろうな」って思いながらやってました(笑)。
ーー畑さんご自身は5人兄弟の末っ子で、4人の弟がいる糸とは真逆だと思うのですが、糸を演じるのは難しかったですか?
う〜ん、でもすごく苦労したかというとそうじゃなくて。「もし自分に弟ができたら」っていろいろ考えたんです。お母さんと2人暮らしをしていた糸ちゃんに新しい家族ができて、その兄弟たちはこれまで母親がいない中、みんなで協力し合って生活していたら、糸ちゃんはみんなに母性を持って接してあげたいって思っただろうな、って。だからこそあれもやってあげたい、これもやってあげたいっていう気持ちで頑張りすぎて空回りしちゃうんですけど。すごく優しい気持ちを持った女の子だなって思ったので、私も純粋に糸の気持ちに寄り添って、優しい気持ちで演じていました。ただ、糸ちゃんが本当に頑張り屋さんなので、お芝居してると私も糸ちゃんと同じように一生懸命になっちゃって、いろいろ考えて頭をグルグルさせて、1日が終わる頃にはもうその日の記憶が全然ない!みたいなこともあったんですけど(笑)。でも、演じていて心から楽しかったです。
ーー確かに、糸ちゃんはお姉さんというよりお母さんみたいですね。
そうなんですよ、ホントに。撮影前の本読みの時、監督からも「ちょっとお母さんらしく」とは言われていたんですけど、映像を見て、自分でも「肝っ玉母ちゃんだな」って思って。タフで、みんなのために頑張ってる姿がすごくかわいらしかったりするので、そういう応援したくなるような女の子でいようと心がけながらお芝居をしてました。
末っ子だけど兄弟の中でいちばんしっかり者で計画的なタイプ
ーーちなみに、実際の畑さんはご兄弟の中ではどんな立ち位置なんですか?
自分で言うのはすごくイヤなんですけど、末っ子なのにいちばんしっかりしてると思います(笑)。ほんとに全員末っ子みたいな自由奔放な人たちが集まってるんです。お母さんも放任主義で、「やりたいなら続けな」っていう感じだったので、自分の足でオーディションに行ったり、何から何まで自分でやったりして。そんなふうに育てられたからか、お姉ちゃんたちよりも意外としっかり者で、計画的なタイプなので、家族で旅行するときにいちばんに計画を立てるのも私なんです。友達と出かけても、誰よりも先にマップ開いて道順探しちゃうみたいな。なので、どちらかというと引っ張っていきたいタイプなのかもしれないです。
ーーだとすると、末っ子なのに意外にも糸ちゃんと近い気がしますね。
そう考えるとそうかもしれないです。でも私、本当は末っ子みたいな感じでいたいんです。本当はかわいがられたいし、甘やかされたい気持ちの方が強いんですけど、結局「私がやらなきゃ!」みたいになっちゃうところは、ちょっと糸ちゃんと似てるのかもしれないなと思います。
作間さんにしかできない源のように、兄弟みんなにオリジナルっぽいキャラクターの瞬間がある
ーー撮影していて印象的深かったシーンはありますか?
糸に勝手に下着を洗われた源くんが怒るシーンがあるんですけど、そこは結構テイクを繰り返したんです。というのも、たぶん作間(龍斗)さんが普段、ものすごく温厚で、大きな声を張り上げて怒ったり感情的になることが少ない方だからなのか、監督からも「もっと怒っていいよ」って言われていて。私から見ても、あまりにも作間さんの優しさがあふれ出ちゃっていたんです。でも、結果的にはすごく作間さんらしい源になっていたなって思います。
ーー特に苦労したシーンはありましたか?
学校のシーンで、源くんに「スーパーに行くぞ」って手を引っ張られて階段を駆け下りるシーンが何回か撮り直しになったんですけど、そのたびに階段を上って降りてが結構大変で。しかも暑かったから、2人とも汗だらだらでやっていたなっていう記憶があります(笑)。
ーー撮影中、楽しかったエピソードはありますか?
餃子を源くんと2人で焼いて、丸焦げになった餃子を無理やり洛くんに食べさせるシーンは、8割ぐらいみんな素でやっているんじゃないかというぐらいすごくナチュラルな姿が描き出されていて、撮影していても楽しかったです。洛くんが意外といじられキャラなんですけど、それって元々那須(雄登)さんがいじられキャラなのがちょっとずつ洛にも侵入してきちゃった感じがするんです。イジられ役って難しいと思うんですけど、類くん(内田煌音)にまでいじられて、でも、どんどん愛らしいキャラクターになっていて。それは洛くんだけじゃなくてみんなそうなんですけど、演じるご本人の持ち前のキャラクターがちょっとずつ足し算されていって、作間さんにしかできない源や、織山(尚大)さんにしかできない柊、煌音くんにしかできない類くんになってるんですよね。だからきっとオリジナルっぽいキャラクターの瞬間もあると思うので、みなさんにも「これは素なのかも?」と思う瞬間を見つけていただくのも楽しいかもしれません(笑)。
ーー最後に、映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
1人っ子でも、兄弟がいても、好きな人がいてもいなくても、いろんな視点で楽しめる映画だな思いますと。例えば1人っ子の人だったら「私にもし兄弟ができたらどうなるんだろう」って想像を膨らませながら見るのも楽しいでしょうし。糸ちゃんでも源くんでもいいんですけど、キャラクターに自分を当てはめて投影しながら見てもらえると、すごく楽しめる作品だと思います。是非劇場でご覧ください!
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PROFILE
畑芽育
2002年4月10日生まれ。東京都出身。主な直近の出演作に、「パティスリーMON」(24)、「GTOリバイバル」(24)、「9ボーダー」(24)、などに出演。映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』ではヒロインを務めた。現在放送中のドラマ「若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-」に出演中。
映画『うちの弟どもがすみません』12月6日(金)全国ロードショー
大好きなお母さんと新しいお父さんとの穏やかな生活に憧れる女子高生・糸(畑 芽育)を待っていたのは、超イケメンだけどクセ強な4人の弟たちだった―― 。さらに父の転勤が決まり、いきなり姉弟5人での生活がスタート。糸は戸惑いながらも、常に冷静で大人な次男・洛や人懐っこい四男・類に助けられながら、持ち前の明るさと面倒見の良い性格で少しずつ新しい弟たちと打ち解けていくが、長男・源は常にぶっきらぼうで、三男・柊は部屋にこもって出てこず、糸はふたりの心を開こうと奮闘。しかし、源の言動が家族を想ってのことだと気づいた糸は、いつしか源のことが気になる存在に。さらには、柊が糸にトクベツな気持ちを抱いて、事態は思わぬ方向へ―― 。
取材・文/落合由希
撮影/三橋優美子