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【2025年中学受験】受験期間中 噓のような「やらかし」エピソード 26年の受験伴走者にこれだけは伝えたい!

コクリコ

教育ジャーナリスト・佐野倫子さんによる「中学受験伴走」連載。今回は2025年の中学受験本番を終え、取材で集まった怒濤のハプニングをレポートします。

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教育ジャーナリスト・佐野倫子です。「中学受験伴走」連載、今回は2025年2月上旬に終えたばかりの「中学入試本番のエピソード」が私のもとにたくさん届きました。今年の中受最前線も、波瀾万丈なことばかりでした……!

中学受験率は2025年も高止まり

2025年の首都圏の入学入試の受験者総数は、前年よりわずか100名減の5万2300名」と過去40年で3番目の受験者数となり、受験率は18.10%と、過去最高の昨年よりわずか0.02%下回った、過去2番目の高さになりました。(首都圏模試センター調べ:https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry004634.php)

2025年は2月2日や3日に一部降雪予報もあり、どうなることかと気を揉みましたが大きな交通機関の乱れはなく終了しました。

一方で、個人で見ればいつだって中学受験は波乱万丈。誰ひとりとして同じ受験はありません。私のもとに取材で集まった声は悲喜こもごも、伴走した親御さんにはいくつもの事件がありました。

強気すぎた併願戦略 3回連続不合格の顛末

「娘は持ち偏差値(6年生後期の平均偏差値)に対して4~6ポイント高い学校を2月1日~3日午前中で3つ受験することになりました。第1志望の女子校は、2回受けることで繰り上がり合格の候補者になれるため、挑戦することに。そのためこのラインナップになりました。

しかしこれは終わってみれば相当なリスクがあったと思っています。合格率70%の子が、3回受けて全部落ちる可能性はさほど高くありません。

ところが、我が家のように合格率20%~40%の子が3回受けると、運が良ければ合格しますが、3回連続不合格になる可能性も低くありません。残念ながらうちはこのパターンでした……。

第1志望、第2志望に連続して3回落ちるショックは、どんなに事前に予想していてもそれを超えてくると思います。

もちろんそうなった場合に備えて午後に1日受験する学校は10ポイント近く落としていました。そこは合格をいただけたのでほっとしたのですが、午前中にずっと強気な分、午後はだいぶ安全に組むことになり、結果的に進学したのは持ち偏差値よりも8低い学校でした。

入試問題もとても簡単に感じられたそうで、この学校はもしかして夏休みに受けても合格したかも……と親として、思ってはいけないことが頭のなかをぐるぐると……。

私の戦略が強気すぎたのだと後悔しています。3日間の午前中のどこかは、実力適正校を受けるべきだったのでは、と。

でも娘はもう前を向いているし、残り少ない小学校生活を楽しんでいて、その姿にとても勇気をもらいました。私も今から進学先のいいところをたくさん見つけるつもりです」(2025年大手塾卒業生保護者)

お母様の率直な胸の内に、伺っていて胸が痛みました。戦略は一般的なセオリーに照らし合わせても無謀すぎることはなく、紙一重だったと思います。長い間憧れていた学校に複数回挑戦するチャンスがあれば、挑みたい気持ちは痛いほどわかります。

情熱と、冷静を両方持ち合わせる必要があるのが中学受験の保護者ということでしょうか。苦い経験をしながらも前を向き始めていらっしゃいます。進学先でたくさんの素敵なところが見つかるでしょう。

「通えない学校は受けなくていい」とパパが断言 第1志望が初戦になった悲劇

「『1月校、つまり埼玉県と千葉県の学校は合格しても遠くて通えないから受ける必要はない』と言い切ったパパ。でも私自身は私立中学に1時間15分かけて通っていた経験があり、下り電車で友人もいたので苦にはならず、絶対に通えないと決めるのはもったいないと抗議していました。でも結局、『1月に受験するならその日は勉強をしていたほうがいい。受験料も前泊代もかかるし』というスポンサーのパパに押し切られ、1月校の受験なし。都内の2月1日、第1志望が初戦になってしまいました。

12歳の子どもです。いくら日ごろは緊張しない子と思われていても、人生で初めての入試。しかも第1志望。当日は朝から無口で、電車のなかで手を触れたときも『冷たいな』と感じました。

結果は不合格。それがわかったとき、親子で一番泣きました。偏差値は届いていたし、過去問も取れていた。1月校を受けなかった戦略ミスだと私は思っています。正直まだ立ち直ってはいません。でも子どもの前では絶対に笑顔でいよう! と決めて形からでも前向きに頑張っています」(大手塾卒業生保護者)

たしかに、通うには遠い学校を受けることについて、家庭内で意見が割れることもあると思います。ご夫妻どちらの意見ももっともだと思いました。

ただ、令和の中学受験では1月に前受け校を探して受けるというパターンは確かにあるので、2月1日が初戦というお子さんは多くありません。その部分で経験の差が出てしまうのは避けたいですよね。コスパ、タイパに注目しすぎず、あくまで12歳の受験であることを考慮しながら、冷静に判断することが求められます。

私立中高に6年間通う

「私立中学に6年間通うとなると少々教育費が心配だし、大手塾に3年間通うのも負担が大きい。そんなふうに考えていた我が家は、小学校5年生になるタイミングで、都立中高一貫校を受験しようと思い立ちました。近所の都立受験に特化した塾に通い、結果的に2年間、季節講習や記述特訓の個別授業をなど、合計150万円以上になったかと思います。

でも成績は思うように伸びず、都立のランクをひとつ下げましたが結果は不合格。ここまで通塾して頑張って、また高校受験ねと息子に言うのは忍びなく、直前に受験を決めた近所の私立に進学することに。

都立にこだわりすぎて、不合格だったときの想定ができておらず、もっと広く私立校も検討して、見に行くべきでした。

都立に落ちたら公立へ。勉強を始めたころはそう思っていたけれど、2年間びっしり勉強をして、お金もかけるならば、最初から私立校も見に行って対策をしていれば……。

たらればですが……、安易に都立受験を始めてしまい、そのあと頭が固かったと反省しています」(都立対策専門塾卒業生保護者)

お気持ちがわかり、思わず言葉に詰まりました。子育てにおいて、実際にその状況にならないとわからないことはたくさんあると思います。渦中にいるときは、できるだけ情報を集め、経験のある方のお話を伺えるのが理想だと改めて思いました。

2026年組に申し送り! やらかし事例集

次にレポートするのは当日これはやらかした……というエピソード。来年以降、中学受験に伴走する保護者に申し送りができればという気持ちを込めてお届けします。

試験中の親の居場所

「当日子どもを送り出してから、さてどうしよう、と駅に戻るも、カフェなどは開いておらず。ターミナル駅に移動しましたが、明らかに同じ境遇の保護者で大宮駅のカフェは大賑わい。結局、受験校に戻って、用意していただいた控え室で待機しました。親の身の処し方は考えておいたほうがいいですね」(埼玉御三家進学保護者)

天気予報の確認を忘れた

「前日は『早く寝ること』『忘れ物をしないこと』に気を取られて、天気予報と電車の運行状況を調べるのを完全に失念。深夜にスマホで『明朝、積雪の可能性から運休する場合もあり』という記事を見てぞっとしました。結果、雪は降りませんでしたが、意外に前日夜は目の前の準備に手一杯で天気の検索を忘れがちです。事前に雨具やブーツ、迂回路の検索をしておくべきですね」(御三家進学保護者)

4日校の出願を忘れた!

「2月1日からまさかの不合格が続き、メンタルが危険水域に……。3日の午前中にさらに不合格がわかり、焦りに焦って各所に連絡。5日の受験校を考えていたところ、第3志望の4日の学校にまだ出願していなかったことに気がつきました……。というのも、まだのんきに構えていた1月末、「4日の学校は、3日までどこも合格がなかったら出願すれば間に合うね」とパパと話した記憶が……。体中の毛穴が開くような思いでした。綱渡りスケジュールをするならば、アラームをセットしたり、メモしたりして、4日校の出願締め切り時刻を意識するべきでした。

結局、4日受験校は前日昼12時の出願締め切りに間に合わず。ほかの学校が夜の時間帯に締め切りというパターンが多くて、昼間締め切りは完全に油断していました……。5日校で合格を取ってきた息子に、謝罪と感謝の気持ちでいっぱいです」(新進共学校進学保護者)

事前にどんなに想定しても、想定外が起きるのが中学受験。チェック、ダブルチェックの精神が大切だと思いました。

―――◆―――◆―――

お話を聞かせてくださった2025年組の皆様の激闘に、心より敬意を表します。

厳しい冬を乗り越えたすべてのご家庭に、優しく、素晴らしい春が訪れますように。

取材・文/佐野倫子

※「不合格編」を読む。

『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)

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