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【1983年7月の中森明菜】18歳の誕生日を迎えたばかりの映像がふんだんに楽しめる!

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1983年06月01日 中森明菜のシングル「トワイライト -夕暮れ便り-」発売日

中森明菜、NHK「レッツゴーヤング」の映像が6本配信


NHKに残る中森明菜のパフォーマンス映像がデジタルリマスターで楽しめる『中森明菜 Best Performance on NHK』。1980年代の中森明菜が高画質で観られること自体が奇跡だが、4月から毎月2回のペースで配信され、アーカイブ映像が続々と増えていることに筆者も歓喜している。そして今月の7月1日には、次の6曲がラインナップに加わった。

▶︎ セカンド・ラブ
『レッツゴーヤング』1983/7/10 放送

▶︎ トワイライト -夕暮れ便り-
『レッツゴーヤング』1983/7/10 放送

▶︎ 1/2の神話
『レッツゴーヤング』1983/7/17 放送

▶︎ 咲きほこる花に……
『レッツゴーヤング』1983/7/17 放送

▶︎ トワイライト -夕暮れ便り-
『レッツゴーヤング』1983/7/17 放送

▶︎ SAND BEIGE -砂漠へ-
『レッツゴーヤング』1985/7/14 放送

今回は7月ということで音楽番組『レッツゴーヤング』の7月放送分が集められたが、1983年の映像が6本中5本あるのが目を引く。また、この時期の新曲「トワイライト -夕暮れ便り-」(以下:トワイライト)が2本同時に配信されたり、アルバム収録曲が含まれているのも特徴だ。そこで、1983年7月当時の中森明菜の状況を踏まえながら、配信の見どころ、聴きどころを紹介していきたい。

デビュー2年目も順調な滑り出しを見せていた中森明菜


1983年7月13日に18歳の誕生日を迎えた中森明菜は、デビューから1年が過ぎ、新人アイドルからの脱皮を図ろうとしていた。6月1日には来生えつこ、来生たかお姉弟が作詞・作曲した5枚目のシングル「トワイライト」をリリース。オリコンでは薬師丸ひろ子「探偵物語」に首位を阻まれ2位止まりだったが、TBSの『ザ・ベストテン』では2週連続で1位を記録、デビュー2年目も順調な滑り出しを見せていた。

ただ、大ヒットした「セカンド・ラブ」や「1/2の神話」と比べると、ランキング面で伸び悩んだのは否めない。というのも、それまでの明菜のシングルと比べると派手さがなく、じっくり聴かせる曲だったからだ。ワーナー・パイオニア(当時)のディレクターで中森明菜を担当していた島田雄三氏は “絵画的で、日本的で、聴いていてホッとする穏やかな楽曲を新しい明菜像への布石として、あえてシングルにした” と述べている。しかし、ホッとする穏やかなシングルでも、とことん本気で歌いきるのが明菜流。今回の配信を見れば、そのことがよくわかる。

歌詞を噛み締めて歌う「トワイライト -夕暮れ便り-」


そう、今回配信された2種類の「トワイライト」では、歌詞を噛みしめて歌う中森明菜を見ることができる。感情を歌いあげるサビと、一言一句を語るように歌うAメロ、Bメロとのギャップも素晴らしく、歌詞の中で手紙を書く少女が憑依したように、切々と歌い上げている。

2本の映像を比較すると、最初の映像(『レッツゴーヤング』7/10放送分)では、一つひとつの歌詞を丁寧に、感情を込めて噛みしめるように歌われている。次に1週間後の映像(『レッツゴーヤング』7/17放送分)では、噛みしめるような歌唱が若干緩み、メロディーの進行を意識しながら歌われている。特に「♪やはりあなたと 一緒にいたい ひとこと 書きあぐね」の部分は、言葉を紡ぎ出すように歌うボーカルは、何度聴いても素晴らしい。

このように、ほぼ同時期に歌った同じ楽曲でも、中森明菜の歌唱がどんどん進歩している点が見どころのひとつ。2種類の「トワイライト」を見比べながら、情景が浮かんでくる切ない歌唱を味わってほしい。明菜の表情のアップも、存分に楽しめる。

弦楽四重奏とピアノだけで歌う「咲きほこる花に……」


次の見どころは、セカンドアルバム『バリエーション〈変奏曲〉』の収録曲、「咲きほこる花に……」である。これも来生えつこ、たかお姉弟の作品で、純粋な恋心を綴った静かなバラード。中森明菜のウィスパーボイスを聴くことのできる貴重な曲だ。しかもバックの演奏は、弦楽四重奏とピアノのみ。彼女のボーカルが心に沁みる。

実はこの曲、「スローモーション」「あなたのポートレート」と共に、来生姉弟から最初に提供された3曲のうちの1曲。前述の島田氏によれば、ビートルズ「エリナー・リグビー」を下敷きに、弦アレンジの名手、若草恵氏に編曲を頼んだそうだ。そして『レッツゴーヤング』での演奏も、アルバム同様に弦楽四重奏とピアノのみ。リズムを取るのが難しい曲を、大勢の観客を前に見事に歌い切る中森明菜はとてもデビュー2年目とは思えない。とはいえ、歌い終わった後に見せる安堵の笑顔は、あどけなさが残る19歳の少女そのもの。そんな表情の変化も見どころだ。

新しい明菜像への布石になった難易度の高い曲への挑戦


ということで、配信の見どころを「トワイライト」「咲きほこる花に……」の2本に絞って紹介してみた。これ以外にも「セカンド・ラブ」「1/2の神話」、そして「SAND BEIGE -砂漠へ-」といった3本が配信されているが、「セカンド・ラブ」と「1/2の神話」を見比べれば、切ないバラードとノリの良いロックとを歌い分ける明菜の表現力の違いに驚くはず。また、1985年7月放送の「SAND BEIGE -砂漠へ-」では、背中を思い切り反らせる “明菜流イナバウアー” が拝めるのも見逃せないポイントだ。

このように、耳では聞き慣れた中森明菜の曲も、その時々の映像を見れば、新たな発見が必ずある。「トワイライト」や「咲きほこる花に……」の映像からも、難易度が高い曲に挑戦した経験が新しい明菜像への布石になったことが伝わってくる。デジタルリマスターという現代の魔法のおかげで、当時は気付かなかったデビュー2年目の中森明菜の表現力や成長過程が高画質で楽しめるとは、なんと幸せなことだろう。

<参考文献>
・オマージュ〈賛歌〉to 中森明菜 / 島田雄三・濱口英樹(シンコーミュージック 2023年)


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