『人にあって猫にない』体の部位4選 人ではメジャーだけど猫にはない骨は?
1.鎖骨
人間には首の付け根から肩へと左右に伸びる鎖骨があります。鎖骨は腕と胴体をつないでいて、肩の関節を多方向に動かすことができ様々な動作が行えるのです。さらに肩甲骨の動きをサポートするなど、腕を使うために重要な役割を果たしています。
猫にも鎖骨自体はありますが、とても小さく退化していて機能していません。前足や肩甲骨と鎖骨はつながっておらず、筋肉でつながっているので可動域が広いのが特徴です。
猫が、自分の頭が通る幅であれば通り抜けられるのは、このような鎖骨の特徴があるからです。
2.まつ毛
人間には、目を異物や紫外線、乾燥、細菌から守ったり、傷がつくのを防いだりするためにまつ毛が生えています。まつ毛の根元には神経が通っていて、目に何か入りそうになった時にまぶたを閉じさせるという働きもしてくれるのです。
猫の目元にもまつ毛のように見える毛が生えていますが、実はまつ毛ではなく補助的な毛であり、「アクセサリーアイラッシュ」と呼ばれています。機能としては、まつ毛と同じでゴミや光などから眼球を保護することです。
余談ですが、もしかしたら、アクセサリーアイラッシュが猫の目力を引き立ててくれているのかもしれませんね。
3.眉毛
人間の目の上にあり、光をさえぎったり、流れてくる汗やゴミから目を守ってくれたりしている眉毛。顔の印象を決定づけるだけでなく、感情表現をするのにも欠かせない存在です。
猫の顔を見てみると、目の上には人間のような眉毛はありません。代わりに、猫のヒゲのように見える毛が何本か生えています。
実際に猫の目の上の毛はヒゲであり、眉上毛と呼ばれ、空気の流れを感じ取ったり、周りに何があるのかをキャッチしているのです。
猫にとって大切なセンサーですので、人間の眉毛のように抜いたり切ったりしてしまわないように気をつけましょう。
4.親指
人間には手足ともに親指があり、物を掴んで持ち上げる、走る際に床を蹴るといった動作を担っています。普段何気なく行っている道具の使用や細かい作業も、親指が重要な役割を果たしているのです。
猫の親指はというと、前足のみあって後ろ足にはありません。前足の親指は木や高いところに登る時や獲物を捕まえる時に役立ちますが、後ろ足の親指はあまり使わないため退化してしまったのです。
他にも、後ろ足の親指がないことで軽くなり、瞬発力がアップして走ったり跳んだりする動作がしやすくなったと言われています。
「親指の数の違いまでは知らなかった」という方が多いようなので、機会があれば愛猫の後ろ足をチェックしてみてください。
稀に後ろ足にも親指がある猫もいますが、異常なことではありませんのでご安心ください。
まとめ
人間とは違った体のつくりをしている猫。お互いに共通している部位もあれば、猫にはない部位もあります。
特に鎖骨や後ろ足の親指といった人間には欠かせない部位が猫にない(退化している)のは、猫の柔軟性や身体能力をより向上させ、生き延びていく上で必要な退化だったのです。
知れば知るほど興味深い人間と猫の体のつくりの違い。猫の体を知ることで飼育の助けにもなりますので、ぜひ他にも調べてみてくださいね。
(獣医師監修:葛野宗)