北海道の農業大学校が「米作り」に特化した新学科設立 増産のカギを握る担い手育成へ
備蓄米が流通し始めてはいるものの、まだまだ安いとはいえないコメの価格。
政府は増産して値段を下げようとしていますが、北海道内ではそのコメ作り自体が危機を迎えつつあります。
対策のための現場…それは「学校」でした。
連載「じぶんごとニュース」
北海道本別町にある北海道立農業大学校で、農業を志す高校生を対象にした見学会が開かれました。
参加した高校生からはこんな意気込みが聞かれます。
「後継者問題とかもありますし、近所の農家も離農や潰れている小屋があるので、力に少しでもなれたらなと」
ここは1941年に北海道が設置した、農業に携わる人を育成する専修学校です。
「畑作」と「畜産」の2つのコースがあり、全寮制で2年間、集中的に学びます。
下堀亨校長は「命のもと、食糧を作る大事な産業ということを認識してもらい。即戦力の農業者を育てるのが私どもの使命と考えている」と話します。
この学校に2026年度、開校以来初となる新たな学科が加わることになりました。
「稲作」に特化…その理由は
定員10人の「稲作経営学科」です。
なぜ今、新設されるのでしょうか。
キャンパスが十勝地方にあるため、これまで「稲作」を希望する学生の受け入れは、北海道深川市にある拓殖大学北海道短期大学に委託してきました。
しかし、拓殖短大は1月、少子化による志願者の減少を理由に2026年度以降の募集停止を決定。
2027年の3月末には閉校となる見通しです。
さらに、農家の人手不足の問題もあります。
政府は、備蓄米の放出とともに、生産量を抑えてきたこれまでの政策を見直し、米の増産へ舵を切りました。
しかし、北海道内では高齢化や後継者の不在で稲作農家が減少しています。
育成機関まで減れば、北海道内のコメ作り自体が危機となりかねない状況なのです。
農業大学校の見学会を訪れた「稲作」志望の高校生は。
「小さいころは違う将来を考えていたが、祖父から続いているから、それを継ごうかなと思った」
「家族で協力してやっているのを昔から見ていて、そういうところがいいと思った。支援などがもっとあれば新しい人も新規参入しやすいかなと」
コメ作りの未来をどう描くのか、対策が急がれます。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年6月17日)の情報に基づきます。