有料老人ホームから「セーフティネット住宅」に変更 上越市三和区の旧「ホテル米本陣」転用計画
新潟県上越市が民間譲渡した同市三和区宮崎新田の元温泉宿泊施設「三和ネイチャーリングホテル米本陣」の転用計画について、運営する「AGRI CARE(アグリケア)」(本社茨城県つくばみらい市)は、整備する施設を「有料老人ホーム」から「セーフティネット住宅」に変更する。オープン時期は現行計画に変わりなく2027年8月の予定。
《画像:セーフティネット住宅への変更が発表された住民説明会》
セーフティネット住宅は低所得者や被災者、高齢者、障害者、子育て世帯を対象とした賃貸住宅。国は単身世帯の増加や持ち家率の低下が進む中、今後住宅確保に配慮が必要な人の賃貸住宅への居住ニーズが高まるとし、民間賃貸住宅の登録制度や法改正などを行い、推進している。
2025年9月10日に同区の三和コミュニティプラザで住民説明会が開かれた。同社の説明によると、ホテルの部屋を老人ホームの居室に変更するには間取りの大幅な変更が必要で、近年の建築資材の高騰もあって改築費が上昇することから、現在の間取りを可能な限り変えずに整備できるセーフティネット住宅への変更を決めた。
部屋数は敷地内にあるログハウス3棟も含め20室を予定し、家族で入居できる部屋も設ける。各部屋に調理設備もあるが、家賃と食費込みで1人当たり最低7〜8万円程度で居住できるという。
セーフティネット住宅は民間の賃貸住宅が登録し、同市内にも多数あるが、隣接地にすでに訪問診療クリニックと訪問看護ステーションが開業しているほか、住宅と同時期に有床診療所(入院施設)とリハビリセンターも開業することから、医療や介護の支援が受けやすいのが強みという。また入居者以外の住民が利用できる日帰り入浴も実施予定としている。
転用計画は、米本陣を有料老人ホームに、付近の博物館「米と酒の謎蔵」と食の体験施設「味の謎蔵」の2施設を有床診療所とリバビリセンターに整備するもので、当初は2023年11月に開業予定だった。しかし、建築資材の高騰やコロナ禍の影響で2度延期され、同社は計画の一部見直しを行い、今年5月に2027年8月の開業を発表していた。
アグリグループ代表で医療法人アグリーの伊藤俊一郎理事長(46)は「むしろ老人ホームよりも地域の皆様のお役に立てる施設になると考えている。開業時期は余裕をもった計画で、なるべく早く開業できるようにしたい」と述べた。
《画像:旧「三和ネイチャーリングホテル米本陣」の場所》