Yahoo! JAPAN

強面だけど実はおとなしいサメ<シロワニ> ギャップがあるからこそ魅力的【私の好きなサカナたち】

サカナト

シロワニ(提供:PhotoAC)

Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・ポンたさんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。

私の好きな水生生物はシロワニ。シロワニはネズミザメ属シロワニ科に唯一分類されるサメです。

従来はオオワニザメ科に分類されていましたが、最近の研究で系統的に離れていることが判明し、独立したグループになりました。

<シロワニ>の生態と魅力

シロワニは、名前に「ワニ」とありますがサメの仲間です。

日本では古来よりサメのことをワニと呼ぶ風習があり、中国地方や広島県の一部では今でもワニと呼んでいます。

シロワニは世界中の暖かい海に生息しており、日本では小笠原諸島で見ることができます。寿命はおよそ20年と言われています。

夜行性なので、昼間は岩陰などでじっとしており、体力を温存。夜になると彼らは獲物を探し始めます。

強面だけど臆病というギャップ

見た目は強面で、細長く鋭利な歯を持っています。この歯で獲物を噛み切るわけではなく、掴んで丸吞みで捕食します。サバやカツオなどの回遊魚や、イカなどの頭足類が捕食対象です。

獰猛にみえるシロワニは基本おとなしく、臆病で人間を襲うことは基本ありません。私は、“強面だけど臆病”というギャップにひかれて、好きな魚となりました。

また、群れを成し協力して獲物を狩りすることもわかっています。そんな仲間と協力し合うシロワニですが、彼らにはとても恐ろしい一面もあります。

命をかよわせた瞬間から凄絶なサバイバルにさらされる

シロワニは卵胎生で、母サメのお腹の中で孵化します。そしていちばん最初に孵化したサメは、お腹の中にあるまだ孵化していない卵や、あとから孵った自分より小さい赤ちゃんサメを食べ始めるのです。

同じタイミングで孵化した場合には、生存競争をかけて戦うそう。生まれた瞬間から兄弟同士でのサバイバルです。

シロワニ(提供:PhotoAC)

では、兄弟は1匹もいないのかといわれるとそうではありません。シロワニは左右に1対の子宮を持つため、同時に2匹を出産します。

いちどの出産で2匹しか生まれないというのは、卵生であるサメの中では最も繁殖率が低く、また、繁殖の頻度も2年に一度と少ないです。

乱獲の影響もあり、絶滅の危機に

胎内から広く大きな海に出たらすぐに独り立ちします。

胎内で熾烈な兄弟争いを生き抜いた後で、この時には既に体長は1メートル近くあります。彼らは肉体的にも精神的にも、生まれた直後でも一人前なのでしょうか。

個体の数が増えづらいうえに、現在は乱獲の影響もあり、絶滅の危機にも瀕しています。しかし、この厳しい自然界で今日まで生き残っている、とてもたくましいサメだともいえるでしょう。

そんなシロワニですが、この目で見てカメラにかっこいい姿を収めるというのが、私のダイバー人生の目標でもあります。なので、いつか必ず小笠原諸島に行き、観察します。

その時には私の撮った写真と感想をまた綴りたいと思います。

(サカナトライター:ポンた)

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. ビバ! 川崎 de メキシコ旅。タコス、雑貨にプロレスとメキシコ風情を味わう散歩へ

    さんたつ by 散歩の達人
  2. 【生ハム&ベーカリー La・Cotte】フワフワな生地に、ひんやり冷たいクリームがたっぷり|新潟市南区白根・ラコッテ

    日刊にいがたWEBタウン情報
  3. 来来亭・浜松幸店で異物混入 無期限の営業停止に

    おたくま経済新聞
  4. 防波堤で行う<岸壁採集>で出会った思わぬもの4選 サメ・昆虫・野菜・カメ?

    サカナト
  5. NHK『沼にハマってきいてみた』6月14日放送でIS:SUEとユイカを特集!10代注目の新世代アーティストがパフォーマンス披露

    WWSチャンネル
  6. 【倉敷市】玉島ランチスタンド ~ 管理栄養士が作るサプリメントランチで心も体も栄養チャージ

    倉敷とことこ
  7. 【毎日パン日和 vol.510】『ぶももベーカリー』週3日の限定営業(福岡市東区)【福岡パン】

    福岡・九州ジモタイムズWish
  8. 【無印良品】梅雨に最適! 靴箱に置くだけ【脱臭竹炭】ニオイや湿気が気にならない!

    nan-nan 富山の情報
  9. 【無料漫画】『クレヨンしんちゃん』二人のじいちゃんたゾ

    まんがクレヨンしんちゃん.com
  10. 城 南海の“ウタアシビ”、能舞台で本物の歌の心と音の喜びを届けた東京公演レポート

    SPICE