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VOW WOW【最新ライブレポート】ジャパメタ王者の本格帰還を目撃!次なる奇跡は起こるのか

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2025年01月08日 VOW WOWのライブ「THE RETURN OF THE KING」東京ドームシティホール公演開催日(初日)

再び起こった “キセキ” 。再結成VOW WOWの追加公演が実現!


願い続ければ “キセキ” は何度でも起こる。VOW WOWファンの多くが今、実感しているはずだ。1990年のアルバム『MOUNTAIN TOP』リリース後、日本武道館公演で途絶えた彼らの歴史は、2009年のライブ『アックスの奇蹟』と 2010年のライブ「ヴァウの総て - All About VOW」を経て、再び2024年に動き出した。

きっかけとなったのは、2023年に急逝したドラマー・新見俊宏だった。新見の一周忌を追悼すべく、山本恭司(G)、厚見玲衣(Key)、そして長らく音楽活動を離れ高校教員に戻っていた人見元基(Vo)が顔を揃え、川崎のクラブチッタで “キセキ” の再結成2daysライブが実現。先着チケットは秒でソールドアウトし、VOW WOWへの渇望感の高さを改めて証明した。

そして、“キセキ” のストーリーはクラブチッタの追加公演となる2025年の東京ドームシティホール2daysへと繋がったのだ。クラブチッタの倍以上の会場キャパにも関わらず、チケットは今回も瞬く間にソールドアウト。立ち見も含めてぎっしり埋まった会場は、期待を反映した熱気をすでに帯びている。

当時と変わらぬVOW WOWの音世界と珠玉のパフォーマンス!


定刻を過ぎ、会場が暗転すると怒号のような歓声が沸き起こった。『MOUNTAIN TOP』収録のインスト曲「In the Beginning」が新たな歴史の始まりを告げるように流れる中、ステージ上手にはマーシャルアンプ4台を背にした山本が立ち、下手には十数台の鍵盤を要塞のように並べた厚見が構える。注目の人見は、派手な柄シャツを羽織ったラフな格好でセンターに立つ。

サポートを務めるバックは、フレットレスベースの名手・永井敏巳と、スペクトラムや浜田麻里の初期作でも知られる実力派ドラマーの岡本敦男という布陣。初っ端から重厚で整合性の高い、これぞVOW WOWという緊張感に満ちた極上のハードロックが放たれていく。人見は原曲のキーに忠実なハイトーンで難なく歌っている。想像すら凌駕する好演ぶりに、客席からは早くも割れんばかりの大歓声だ。

前半のハイライトは、バラードの「Love Walks」だ。クラブチッタ公演では未披露だったので待ちわびたファンも多かったろう。中間部のブレイクでは会場が水を打ったように静まり、その静寂を切り裂くかの如く歌い上げた渾身のパフォーマンス。人見のボーカリストとしての凄みを凝縮した熱唱ぶりに、震える感動を覚えた。そして、もう1曲のバラード「I’ve Thrown It All Way」を感動的に届けると、オリエンタルでヘヴィな「Mountain Top」へ。勢いに頼らない曲も聴き応えたっぷりなのは、まさに熟練の技だろう。

曲が終わるとステージには山本だけが残り、クールダウンした中で静かに音を重ねながらギターソロが始まる。自身と一体化した愛器を通じ感情を音に乗せて紡ぐギタープレイは、さながら “小宇宙" のようだ。唯一無二の指先から放たれる神々しい表現力で、全てのオーディエンスを圧倒。VOW VOWだけでなく、山本が全国を1人で巡る『弾き語り・弾きまくりギター三昧』から、矢沢永吉を初めとした外部アーティストとの仕事は伊達じゃない。圧倒的な経験値の高さを改めて知らしめた。

ステージにメンバーが戻り、前半を締めたのは人気曲「NightLess City」。ハードなシャッフルビートに身を委ねると、1980年代当時、英国進出直前のVOW WOWが『夜のヒットスタジオ』に出演し、この曲を誇らしげに生演奏したシーンが脳裏をよぎった。

前回未披露のレア曲から定番曲まで惜しげなく連発!


約25分の休憩を挟み、第2部は人見のアカペラからスタート。 “レオン・ラッセルの曲を” と独唱したのは、カーペンターズもカバーした「スーパースター」。ソウルフルかつ情感たっぷりにワンコーラスを歌い上げると、割れんばかりの拍手に場内が包まれた。

そして、“後半いくぜ!” の掛け声から「Don’t Tell Me Lies」が炸裂。緊張感漲るハードロックモードへ観客を引き戻すと、渡英前に演って以来というレア曲「Stay Close Tonight」が続き、そのままキーボードソロに突入。複数の鍵盤を魔術師のように自在に操る、厚見ならではの世界観を構築した。

続いたのは、クラブチッタ公演で未披露の「Signs of the Times」、さらには壮大なバラード「Pains of Love」が会場を包み込む。HM / HRのショウでこれだけ多くのバラードがセットに盛り込まれるのは珍しいが、それぞれが違った色合いを放ち全く飽きさせない。そして、人見が “そろそろビートルズを” と言いながら、VOW WOW流儀に染め上げたカバー「Helter Skelter」が繰り出される。中間部では山本と厚見の激アツなソロバトルも展開された。

心の深淵に刻まれる感動を与えた名バラード「Shockwaves」


終盤に差し掛かり、名曲「Hurricane」が猛烈な勢いで始まった。文字通り会場に旋風を巻き起こすと、観客のボルテージは一気に加速。高校時代にこの曲を懸命にコピーした記憶が甦り、思わず涙腺が緩んでしまう。そして、本編の最後を締めたのは、VOW WOW随一の激しい疾走感と気高い美旋律が同居した必殺曲「Shot In the Dark」。サビでは観客との熱い掛け合いによって盛り上がりも最高潮に達した。

全盛期と変わらぬ威風堂々の熱演に送られた惜しみない拍手は、満場のVOW WOWコールに変化。メンバーが呼び戻されたアンコール1曲目は、シンセのリフレインに導かれて始まる「Don’t Leave Me Now」。CMソングにもなったシングル曲に身を委ねると、会場全体が80年代にタイムトリップした錯覚を覚える。さらに重厚でドラマティックな名バラード「Shockwaves」が披露され、心の深淵に刻まれる感動を与えた。

暗転しても拍手の渦は鳴り止まず、再びメンバーが登場。人見から “次回、あります!” と嬉しいお知らせも発表された。最後は “みんなで歌おうぜ!” の掛け声で始まった「Rock Me Now」。バンドと観客が一体となったシンガロングを楽しみながら、誰もが笑顔になる高揚感の中で、休憩を含めて2時間半を超える至高のライブが幕を閉じた。

今は信じて待ちたい、次なる “キセキ” の瞬間


僕が最後にVOW WOWを観たのは、80年代のニール・マーレイ在籍時だが、それから30数年後のこの夜、当時は大人びた印象を受けたVOW WOWの名曲の数々が、キャリアと齢を重ねた今の彼らだからこそ、いっそう説得力を増してリアルに響いてきた。今回は定番曲を網羅しながらも、特に名アルバム『Ⅲ』から多くの曲がセレクトされ、長年のファンにとっても大満足のセットリストだったであろう。

“山の頂(マウンテン・トップ)” のその先へ。次なる “キセキ” は何が起こるのか? 山本がライブ後に X(旧:Twitter)にポストした “VOW WOWはまだまだ進化しますよ” という頼もしい言葉を胸に、暫らくは王者凱旋を知らしめた至高のライブの余韻に浸りたい。

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