大阪と東京で20年以上キャリアを積んだ店主の店「RinSakku」。
東新潟駅から歩いて5分ほどのところにある「RinSakku(リンサック)」。プリン、ロールケーキといった定番メニューや手書きのプライスカードから、「まちのお菓子屋さん」といった雰囲気が漂うお店です。大阪と東京でパティシエとしての経験を積み、新潟で独立した鹿海さんにいろいろとお話を聞いてきました。
RinSakku
鹿海 次郎 Jiro Shikaumi
1974年兵庫県生まれ。大阪府育ち。専門学校を卒業後、大阪のケーキ店で8年間、東京のカフェ兼スイーツショップで15年間勤務。2017年に新潟に転居。2018年に「RinSakku」をオープン。
都市部の繁忙店で積んだキャリアと、ジレンマ。
——鹿海さんが、新潟でお店を構えるまでまでのことを教えてください。
鹿海さん:子どもの頃からケーキが好きだったんですよ。特に食べることが(笑)。それで専門学校に進学して、卒業後は大阪のケーキショップに勤めました。そのお店は地域に3店舗あって、百貨店にも出店していました。19歳から27歳までいましたから、私の根本はそこで教わったことにあるでしょうか。それから、東京で15年間働きました。
——東京へ行こうと思われたのは、どうしてですか?
鹿海さん:30歳になる頃って、自分のキャリアを考えはじめるんですよね。「このままでいいのかな」なんて。そんなときに、お声がけいただいたのが東京のショップでした。製菓部門の責任者としてのお誘いだったので、お給料面でも次のステップに進めるかなという期待がありました。そのお店は、いわゆる「洋菓子店」とはちょっと違うスタイルだったんです。カフェが併設されたような販売店で、しかも店舗内で調理するっていう珍しいお店で。渋谷の駅ビルとか新宿の百貨店のレストラン街だとかに店舗があったので、忙しいし、けっこう大変でしたね。
——鹿海さんはそこでスイーツを担当していらしたわけですね。
鹿海さん:当初はそうだったんですけど、だんだんと人員が削られて、とにかくいろいろなことをやらなくちゃいけなかったんですよ。店長的な役割だとかホールもやりましたよ。
——そうすると、ご本人としては「もっとスイーツに特化したい」みたいなジレンマはありませんでした?
鹿海さん:そう、それが問題でした。しかも、新しく入社してくる若手も同じ思いをしているわけです。パティシエの仕事をしたいのに、それ以外にも追われていたらモチベーションを維持するのは難しいですよね。
——大阪でも東京でも、ひとつの職場に長くお勤めでしたね。
鹿海さん:知人にもそう驚かれます。情が湧いてきたりするもんで、そんなにすぐは辞められないですよね。職場としては「RinSakku」が3つ目です。
——きっと責任感が強いタイプの方なのでは?
鹿海さん:どうでしょう(笑)。割となんでも許しちゃうっていうか、気にしないタイプかもしれないです。
——新潟で独立されたのはどうしてですか?
鹿海さん:結婚がひとつのきっかけですけど、もともと「田舎に行きたい」っていう願望があったのかもしれないです。それと独立するには、「このタイミングしかないだろう」と思いました。「今、自分の店を構えなかったら、たぶんもうチャンスはないな」って。
——いつかはご自身のお店を持ちたいと思っていました?
鹿海さん:それはもちろんです。この仕事をはじめたときから目標にしていました。独立してからは、変に力まずに仕事ができている感じがしますね。当たり前ですけど、渋谷や新宿のように「そこに店がある」というだけでは、お客さまは来てくださいません。集客面の厳しさは感じます。
——都市部で営業されるのとは、違いますもんね。
鹿海さん:都心のお店にいると勘違いしちゃうのかもしれませんね。お店の前にはいつもお客さまの往来があるから、麻痺するのかも。新潟に来て「きっぱりノーと言う方が少ない」と思いました。大阪でも東京でも、「味が落ちた」など度々クレームをいただきましたけど、新潟でそういうことありません。お客さまが来てくださるかどうかが、お店の評価を表しているような気がします。
良質なものをリーズナブルに。
——お店のラインナップを教えてください。
鹿海さん:焼き菓子が40種類、生の洋菓子が15種類ほどでしょうか。
——すべておひとりで作っていらっしゃるんですか?
鹿海さん:はい、もうほんとうに大変です(苦笑)。雪の日やクリスマス前など、自宅に帰らず、ここに泊まることもありますよ。そうでないと営業できませんから。
——お店のこだわりを教えてください。
鹿海さん:素材がいい割にリーズナブルなところですかね。コスパは良いんじゃないかと思います。
——期間限定スイーツなどはあるんですか?
鹿海さん:定番メニューは変えずにいるんですけど、それ以外はしょっちゅう入れ替えます。いろいろ作るのが好きだし、飽き性なんでしょうね。お客さまが求めるメニューを模索したいのもありますし。
——作りたくなっちゃうんですね(笑)
鹿海さん:「時間が空いたらこれ作ってみよう」っていつも頭の中にあるんですね。かたちにすると、ストレスが発散されるような気がします。
——これから取り組もうと考えていることはありますか?
鹿海さん:できることなら、ギフトとしてもっと広く展開できる商品を作りたいなと思っているところです。発送もできれば、なおいいかなと思っています。
RinSakku
新潟市東区下場本町16-8
Tel/025-288-5155