地元に愛されて100年、小湊鉄道開業100周年記念展「古往今来・発車オーライ!」が9月15日まで『市原湖畔美術館』で開催中
小湊鐵道の歴史や魅力をアートによって照らし出し、過去から現在、そして未来へとつなげる展覧会「古往今来・発車オーライ!」が2025年9月15日(月・祝)まで、千葉県の『市原湖畔美術館』で開催されている。
小湊鐵道の100年の歩みを振り返る歴史的資料も
房総の玄関口、千葉県市原市五井駅から内陸部の上総中野駅まで39.1kmを走るローカル鉄道、小湊鉄道。昭和6年(1917)に地元有志によって設立され、市原市北部と南部をつなぐ交通の要として地域の発展と人々の生活を支えてきたこの鉄道は、昭和の香りを色濃く残した駅舎や車両で多くの鉄道ファンや地域の人たちに愛されてきた。沿線には高滝湖、チバニアン、養老渓谷などの観光スポットも点在する。
2025年春、小湊鉄道は大正14年(1925)に沿線住民1000人が株主となって開業に至ってから100周年を迎えた。本展では、この鉄道の歴史や魅力をアートによって照らし出そうと試みる。
展覧会担当者の松崎さんは、「本展は、地域の宝として大事にされてきた小湊鐡道の開業100周年を記念して、その歴史を振り返り、未来につながるよう願いを込めています。里山を走る鉄道の魅力や地域の方々の思いを、アートに込めて発信いたします。ぜひ小湊鐡道に乗ってお出かけいただきたいです」と見どころを語る。
小湊鉄道の古往今来に光を当てた作品が登場
気鋭のアーティストたちが小湊鐵道をテーマに、作品を制作しているのも大きな見どころ。例えば中﨑透氏は、小湊鐵道社員や地域住民のインタビューにもとづいてインスタレーションを展開。美術館内と高滝駅から美術館までの道のりに、鉄道と交差するそれぞれの人生を紡いでいく《Riverside Train, Lakeside Museum》を発表。またクワクボリョウタ氏は、光源をつけた鉄道模型を使用した光と影のインスタレーションで、100年前、現在、そして100年後の風景を現出させ、無限(∞)のレールを走る小湊鉄道の時空を超えた旅を体感させる。
小湊鐵道×アートによって、古往今来の小湊鐵道の姿を彷彿させる作品を堪能しよう。
鉄道ファンにも刺さる多彩なイベントに注目
5月17日(土)「小湊鐵道井戸端会議!」
5月17日(土)18~20時、ゲスト・講師に鉄旅タレントの伊藤桃氏、小湊鐵道代表取締役社長・石川晋平氏を招き、「小湊鐵道井戸端会議!」が『市原湖畔美術館』と『PIZZERIA BOSSO 市原店』で開催。本展ツアー後に隣接するレストラン棟で房総半島の食材を使ったイタリアンを食べながら、小湊鐵道社員と「小湊鐵道のこれからの100年」を考える。参加費6000円(入館料込み)。
5月31日(土)「高滝駅発―美術館着 Walking Tour」
5月31日(土)12~13時、高滝駅からスタートし、美術館までの徒歩20分の道のりを中﨑透氏が展開したインスタレーション作品を鑑賞しながら歩くツアーが開催。ツアーでは高滝駅に併設されている小湊鐵道の倉庫も特別公開される。各回10名、参加無料。
6月7日(土)レクチャー「なぜ『小湊鐵道』なのか?」
6月7日(土)13~14時30分、『市原湖畔美術館』多目的ホールにて、講師に政治学者の原武史氏を迎え、小湊鐵道を出発点に房総の歴史とそこに秘められた謎の数々を解き明かす。定員30名、参加費1000円(入館料別)。
開催概要
小湊鉄道開業100周年記念展「古往今来・発車オーライ!」
開催期間:2025年4月26日(土)~9月15日(月・祝)
開催時間:10:00~17:00(土・祝前日は9:30~19:00、日・祝は9:30~18:00。入館は閉館の30分前)
休館日:月(祝の場合は翌平日)
会場:市原湖畔美術館(千葉県市原市不入75-1)
アクセス:小湊鐵道高滝駅から徒歩20分
入場料:一般1000円、大学生・高校生・65歳以上800円
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)無料。
※中学生以下無料。
【問い合わせ先】
市原湖畔美術館☏0436-98-1525
公式HP https://lsm-ichihara.jp/exhibition/kominato/
取材・文=前田真紀 画像提供=市原湖畔美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。