県高校総体前特集 バレーボール女子(1)東九州龍谷 変わらぬ強さで「東龍バレー」を受け継ぐ 【大分県】
県高校総体まで残り1カ月を切った。4月に行われた全九州バレーボール総合選手権(九州総合)の女子県予選では、絶対王者・東九州龍谷が貫禄の優勝を果たしたものの、大分商業が第2セットで健闘し、確かな成長を示した。国東や臼杵も着実に力を付けており、上位争いは激しさを増している。第1回は新体制で挑む東九州龍谷を紹介する。
県高校総体に向けて、東九州龍谷(東龍)が新たな一歩を踏み出した。全九州バレーボール総合選手権(九州総合)の県予選では、1月の新人大会に続き全試合ストレート勝ちの完全優勝。その快進撃の裏には、確かな成長と変化、そして節目となる出来事があった。
最大のトピックは相原昇監督の離任だ。春の高校バレー、全国高校総体、国体(現・国スポ)で通算12度の日本一を経験した名将が、6月から国内最高峰のSVリーグのアステモリヴァーレ茨城の監督に就任。長年築いてきた「東龍バレー」を次の世代へ託すことになった。
そのバトンを受け取る竹内誠二コーチは相原監督と共に歩んできた参謀だ。選手たちもしっかりと戦術・精神を継承している。中心にいるのが、キャプテン藤崎愛梨(3年)だ。力強いスパイクで得点を重ねる一方、苦しい場面では率先して声を出し、仲間を鼓舞する。チームを引っ張る覚悟が、全体の規範となっている。
東龍バレーを体現する藤崎愛梨
攻撃の軸と期待される鎌倉詩織(2年)も決定力と安定感が増し、頼れる存在へと成長。守備ではリベロの源田真央(3年)がチームの要を担う。冷静な判断と正確なレシーブで、相手の流れを断ち切る。「もっと自立したチームに」と語る姿勢には、勝利を支える自覚がにじむ。
4月に入学した新戦力の台頭も著しい。九州総合の県予選では1年生を積極的にベンチ入りさせ、ピンチサーバーやリリーフレシーバーとして起用。競争力と厚みが増し、「全員で戦う」東龍らしさがいっそう際立っている。試合の中でも、先輩の声かけに即応する1年生の姿が随所に見られ、日々の練習の密度と方向性の統一が伝わってくる。
伝統の継承とポジション争いが同時に進む中、東龍は新体制を確立しつつある。県高校総体は、その進化を証明する場となるだろう。目指すは日本一。その決意は、すでに一本一本のプレーに刻まれている。
新体制で総体に臨む
(柚野真也)