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泣く娘を置いて仕事に行った日。親子分離は“親の心”が試される

saita

泣く娘を置いて仕事に行った日。親子分離は“親の心”が試される

母子分離。それは子どもが成長するための一歩であると同時に、親自身がゆらぐ体験でもあります。 10歳の娘を育ててきた父親として、そして家事シェア研究家として、僕が感じたその“心の揺れ”についてお話しします。

ギャンギャンに泣きわめく娘を保育園に預けたとき

10年前。
生まれたばかりの娘を保育園に預けたときのことは、いまでもハッキリ思い出します。

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この世の終わりかよ、と思うほどにギャンギャンに泣きわめく娘を、優しく笑顔で抱っこしながら「大丈夫だからね〜。それじゃ、パパさんいってらっしゃい!」と保育士さんは元気に手を振ってくれました。

不思議なもので、その声はいつまでも僕を呼んでいるように聞こえ、その声を振り払って仕事に向かう自分自身が、なんとも言えず薄情な親のように思えたのです。

こうした経験は、娘が大きくなるほどに減っていったとはいえ、定期的に起こり続けていたのです。

保育園から幼稚園に転園したときも。
ベビーシッターさんに預けたときも。
小学校に入学したときも。

新しい環境に向かうとき、子どもは不安そうな顔をして、泣きわめいたりはしないにしても、心細そうな態度を見せます。
そしてそんなとき、僕のほうがドキドキしていたんじゃないかと思うのです。

「泣かないで」は、子どもへの願い?それとも自分の不安?

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泣かないでね、ぐずらないでね、ちゃんと行ってくれるよね?
そんな気持ちで子どもを見つめているのは、子どもが不安だからというよりも、自分自身が揺れているからなのだと、あとになって気づきました。

僕は、家事や育児を「シェアする」ことを専門にしている研究家として、これまでたくさんのご家庭の声を聞いてきました。

そのなかでも、「母子分離」のタイミングで親が感じる不安や迷いは、本当に多く語られるテーマです。

とくに母親の場合は、「泣かせてまで預けることに罪悪感がある」と感じやすく、父親は「預けるって、そんなに大ごとなの?」とピンとこないまま、すれ違いが生まれることもあります。

でも僕は、父親だって本当は不安を感じていることがあると思っています。

ただ、その感情を言葉にする機会がないだけなんです。

僕も、最初の登園しぶりの朝には「泣くほどイヤなのに、無理やり引きはがしてしまった……」と胸が苦しくなりました。
だけど、迎えに行ったときにケロッと笑って「今日、〇〇ちゃんと遊んだよ!」と報告してくれる娘を見て、子どもは泣いたぶんだけ、ちゃんと「安心を回復する力」を持ってるんだなと、実感しました。

別れと再会をくり返して、親子の信頼は育っていく

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母子分離は、「別れ」ではなく「再会のプロセス」なのかもしれません。

親子で小さな離れ離れを経験して、また出会って、

「ママもパパも、ちゃんと戻ってきてくれる」

そんな信頼を、子どもは日々積み重ねていくんだと思います。

それは、子どもにとってだけでなく、親にとっても同じです。
泣く子どもを預けて後ろ髪を引かれながら、「この子は大丈夫かな」と思っていた自分が、いつしか「自分のほうこそ、ちゃんと信じてもらえていたかな」と、問い直すようになりました。

10年たった今。
朝は「じゃ、行ってくるね」と一言だけで学校に行ってしまう娘に、

「おーい、パパにもバイバイくらいしてよ〜!」なんて、僕のほうが名残惜しく声をかける始末です。

そして、近くの保育園で泣きじゃくる子どもに後ろ髪を引かれながら、足早に仕事場へと向かう、パパ・ママの姿を見て、ときおり思い出すんです。
あの日、泣きじゃくっていた娘の小さな姿を。

そして、「離れること」が決してネガティブなことではなかったということを。
母子分離に“正解”なんて、きっとない。

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でも、そのとき自分なりに向き合った経験は、ちゃんと親子の信頼に変わっていく。

それだけは、父親として実感をもって伝えられる気がします。

三木智有/家事シェア研究家

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