描き続けた都市の発生、崩壊、再生 逸見出身の画家「木村利三郎追悼展」
米・ニューヨークを拠点に活動した横須賀市東逸見町出身の画家、木村利三郎さん(1924〜2014年)の画業を振り返る追悼展が西逸見町のウェルシティ2階市民ホールで開かれている。有志グループ「コロボックルの会」(田口義明会長)の主催。「都市の発生、崩壊、再生」をテーマに50年間描き続けてきた作品を展示している。4月13日(日)まで。
酒屋の三男として生を受けた木村さんは、神奈川師範学校(現横浜国立大学)在学中に徴兵されるも、のちに終戦を迎える。卒業後は国語教師となるが、30歳の頃、美術評論家を志して久保貞次郎氏に師事するようになり、同氏に絵の才能を見出されてニューヨーク行きを進言される。
東京五輪が開催された1964年、逗子に設けていたアトリエを売り払って単身渡米。母親には「1ヶ月ほど空ける」とだけ言い残し、それから10年間一度も帰らなかったという。
都市と人間の集合に思いを巡らせた版画と油彩画を数多く残した。2001年9月11日のテロ事件も現地で遭遇。都市の崩壊を目の当たりにした中で、ニューヨークを描き続けた。
今回の展示では『2025年?YOKOSUKA』と題した作品もある。軍港から商業港となった横須賀の姿を未来予想図として描いたものだ。晩年は宇宙に関心が向いており、"宇宙都市"の要素も見て取れる。
午前10時から午後6時(13日は4時)。問い合わせは同会【携帯電話】090・3205・6111。