江ノ島のもう1つの可能性「三浦海岸」に行ってみたら、海に着く前に帰りそうになった話
ギラギラと照り付ける強烈な日差し。夏だぜ。夏と言えば海だぜ! ただ、独身にして43歳のオッサンである私(中澤)は少なくとも江ノ島の浜辺に突撃するテンションではない。そこで三浦海岸に行ってみた。
横須賀を越えて三浦半島の先の方に位置する三浦海岸。江ノ島が小田急なら三浦海岸は京急で、私が住む渋谷からの電車移動時間はどちらもそんなに変わらない。言わばもう1つの可能性と言えるだろう。
なのに、マジで行ったことがない。江ノ島は何度も行ってるのに。はたして、三浦海岸ってどんな場所なのか。
・こんな場所
着いてみると、江ノ島ほど観光客向けではない京急電鉄三浦海岸駅の駅前。無理して上げなくとも馴染める日常感が漂っている。普通に塾とかあるしな。そんな駅前から海岸に向かって歩いていたところ回転寿司が佇んでいた。
「海と言えど海岸だから鮮魚に関係ないのでは?」と一瞬思ったけど、よく考えたら三浦半島の先っちょには三崎漁港がある。三崎漁港は日本有数のマグロ基地として有名な港だ。じゃあやっぱりここもマグロがウマイのだろうか。
・メニューに衝撃
どのみち、時刻もお昼12時前で、どこかで昼食を食べるつもりだったので入店してみたところ、中はすでにお客さんでいっぱい。どうやら人気店のようである。
とは言え、受付機で当日受付してみたら20分くらいで席に案内された。場所柄か、渋谷のスシローとか御殿場プレミアム・アウトレットの『さわやか』みたいな、入れたらラッキーというレベルの混雑ではない。そんなわけでメニューを見てみたところ……
マグロがガチで凄え! メニューを見た時点で分かるくらいレア部位が並んでいる!! 例えば、「本まぐろの白子軍艦」とか他で見たことがない。しかも、税込275円と特に高いわけでもないし。
・珍味が1個どころじゃない
注文してみると、焼かれた白子が乗った軍艦2貫が出てきた。食べてみると臭みはない。焼いてるからだろうか? とろけるコクと言うよりレバーみたいな内臓っぽさを感じた。
同時に分かったのはこのお店のコスパ。珍味が並んでいるとは言え、価格が珍しさではなく味にアジャストして設定されているように思う。例えば、同じ珍味シリーズには、茜身ステーキ、本まぐろワタ握り、砂ずり手巻、まぐろゼラチン軍艦などがあるのだが、これらも税込275円だ。
・本場
全部食べてみたところ、ウマかったのは砂ずり手巻とまぐろゼラチン軍艦。砂ずり手巻は赤身が好きな人は好きそうな味、まぐろゼラチン軍艦は時雨煮みたいな味なので創作寿司ウェルカムな人はオリジナリティーを味わえるだろう。
いずれも275円だったら全然安いと思った。ゆえに……
ちょっと上の価格帯のネタが当たり前にめっちゃウマイ。税込418円のトロブツ軍艦は脂のトロけ具合だけでなくマグロの赤身の味がしっかりして上品だし……
税込605円のカマトロ3貫もバランスがとても良く、素材力と鮮度を感じた。間違いなく私が回転寿司で食べてきた中で最強クラスのマグロである。これが三崎のマグロ!!
ふらっと入った回転寿司屋に日本有数のマグロ基地の実力を分からされた。そんな回転寿司の名前は『廻転寿司海鮮』。
店を出る時に気づいたんだけど、みさきまぐろきっぷの加盟店でもあるようだ。みさきまぐろきっぷは都内からこの辺りを周遊する時に高コスパな旅チケットだが、調べてみたところ、『廻転寿司海鮮』でも大体1500円くらいのセットが食べられるらしい。行ってみて「事前に気づいていたらなあ」と思った情報のため追記しておく。
・もう帰ったっていい
そんなわけで、海に行く途中だったけど「これで帰ってもいいか」と思ってしまうくらい満足した。もう悔いはない。ただ、せっかくここまで来たし、すぐそこなので浜辺まで行ってみたところ……
チルイ。
「海ィィィイイイ」というより「うん、海だね」って感じ。ブチアゲオーラが皆無の浜辺でファミリーたちがチルってる。家で自炊してる時くらいのテンションの海だ。
ここにいてもいいんだよ──。永遠に続く浜辺と寄せては返す波にそう言われた気がした。
全てを受け入れてくれる三浦海岸。お盆も過ぎて季節はこれから夏の終わりに向かっていく。ビルを真っ白に染めようとするかのような太陽の光と増えすぎたセミの声に、一抹の寂しさを感じたなら三浦海岸に行ってみるのも悪くないだろう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 廻転寿司海鮮
住所 神奈川県三浦市南下浦町上宮田3372-18
営業時間 月・火・水・金11:00~14:30、16:30~20:00 / 土・日・祝11:00~20:00
定休日 木曜日
参考リンク:みさきまぐろきっぷ
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.