株価一時9%下落でも成長余地大 1000億円に向けたアイスタイルの成長ドライバーを徹底解剖
化粧品クチコミサイト「アットコスメ(@cosme)」やリアル店舗を展開するアイスタイルは8月13日、2025年6月期の通期連結決算を発表した。売上高は687億6800万円で前年比22.6%増、営業利益は31億6400万円で同63.1%増、純利益は23億2700万円で同91.6%増と、売上・利益ともに過去最高を更新。最終利益は前年のほぼ2倍となる好決算だ。
成長を牽引したのは、「アットコスメ」の会員基盤を活かしたマーケティング支援事業だ。売上高は96億5100万円(前年比15.7%増)、営業利益は28億2200万円(同74.5%増)と、いずれも2桁成長を達成。会員数は1060万人に拡大し、EC、店舗、マーケティング支援が相互に顧客を呼び込むシナジーを生み出しており、盤石な会員基盤が成長ドライバーとなっている。
小売事業も好調だ。旗艦店「アットコスメトーキョー(@cosme TOKYO)」や「アットコスメオーサカ(@cosme OSAKA)」など全国の店舗に加え、6月には「アットコスメナゴヤ(@cosme NAGOYA)」を増床リニューアル。リテール事業の売上高は534億6300万円(前年比26.9%増)、営業利益は31億1500万円(同18.2%増)となった。既存店も前年を上回る売り上げを確保し、ECでは最大30%ポイントバックの販売イベントが集客を押し上げた。
海外展開も改善傾向にある。韓国、香港、中国を中心に展開するグローバル事業の売上高は41億7400万円(前年比6.1%増)で、営業損失は1億7600万円の赤字(前年は2億900万円の赤字)と赤字幅が縮小。特に中国の越境ECが復調し、収益改善に寄与した。香港の旗艦店「アットコスメホンコン(@cosme HONG KONG)」の先行費用として1億2900万円を計上しているが、韓国事業が黒字化したことも赤字幅の縮小に繋がった。
一方で、2014年に開始した化粧品サブスクサービス「ブルームボックス(BLOOMBOX)」は2024年12月で終了。毎月定額支払いに対する一般消費者の「サブスク疲れ」などもあり、リソースを成長余地の大きい主力事業へ集中する。
アイスタイルは2026年6月期の通期業績予想として、売上高830億円(前年比20.7%増)、営業利益38億円(同20.1%増)、純利益26億5000万円(同13.9%増)を見込む。中期事業計画では売上高1000億円、営業利益80億円の達成を目標に掲げており、国内外での店舗網拡大や越境ECの成長、デジタルマーケティング支援の強化を加速させる構えだ。
決算発表翌日は、好業績にもかかわらず株価が一時577円まで下落し、前日比9.15%安となる場面もあった。業績の伸びが株価に織り込み済みだったとの見方があるものの、売上高1000億円に向けた成長余地は十分だろう。