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「生き生きとした存在感に、説得力を持たせることができたと思います」フィギュア「初音ミク -プロジェクトセカイ Championship 2022 Autumn Ver.-」イラスト・監修:あかもく先生が語る、初音ミクとの思い出と立体化にかけたこだわり【インタビュー】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

イラストレーター・あかもく先生が手掛けた「プロジェクトセカイ Championship 2022 Autumn」初音ミクのイラストが立体化! SHIBUYA SCRAMBLE FIGUREより、受注生産にて予約受付中です。

あかもく先生初となるフィギュア化に際して、アニメイトタイムズではテキストインタビューを実施。フィギュア監修時のこだわりはもちろん、元イラストに込めた想いやコンセプトについて、たっぷりとお伺いしました。

「私の人生の大半は、ボカロ音楽と共にあると言っても過言ではない」というあかもく先生。初音ミク、そして『プロセカ』との出会いを経て思い描く、「イラストレーター・あかもく」の次なるチャレンジとは?

【写真】「初音ミク『プロセカ』CS2022 Autumn」イラストレーター・あかもく【インタビュー】

「生き生きとした存在感に、説得力を持たせることができたと思います」

──「初音ミク -プロジェクトセカイ Championship 2022 Autumn Ver.-」フィギュア化のお話を聞いたときのお気持ちからお聞かせください。

あかもく先生(以下、あかもく): まさか自分のイラストがフィギュア化になるとは想定もしていなかったので、とても嬉しかったです。

イラスト上の細かい描写がどのように立体化されるのかとワクワクしました。

──フィギュア化における監修の際、特にこだわったポイントをお聞かせください。

あかもく:どの位置からミクさんを見ても「生き生きとしていて可愛い!」と思ってもらえるようなフィギュアを目指し、かなり細かい箇所まで監修しました。

動きや服のディテールはもちろんですが、顔周りは髪や目など、ほんの僅かな違いでも大きく印象が変わるので、特に力を入れて調整しました。

──完成したフィギュアはいかがでしたか?

あかもく:立体化したことによって生まれる「そこに居てくれる存在感」が、やはりフィギュア化の大きな魅力だなと感じています。

今回、渋スク(SHIBUYA SCRAMBLE FIGURE)さんチームによる作り込みの精度の高さや、監修する中でチームの皆さんからいただいたプラスαのご提案もあって、その生き生きとした存在感に説得力を持たせることができたと思います。

──フィギュアを手に取るあかもく先生のファンに向けて、フィギュアの注目ポイントをお聞かせください。

あかもく:あかもくのファンの方は、私のイラストから「純粋な可愛さ・少女らしさ」を感じてくださる方が多い印象があるのですが、今回のフィギュアではそういった要素を表情や四肢の動き、髪や服のなびきといった各所の躍動感のある描写から感じられるようになっています。

お手元に届いたらぜひ近くに置いて、ミクさんの生き生きとした可愛さをいろんな角度から楽しんでいただけたら嬉しいです。

「私の人生の大半は、ボカロ音楽と共にあると言っても過言ではない」

──改めて、「プロジェクトセカイ Championship 2022 Autum」のイラストを担当することになった経緯をお聞かせください。

あかもく:以前より『プロジェクトセカイ』で記念イラストを担当しており、その当時のご担当者の方から「今回ぜひ描いてほしい」とお声掛けいただいて、このCS(Championship)ミクさんのイラストも担当することになりました。

──イラスト制作時に意識したテーマやコンセプト、こだわりについてもお願いします。

あかもく:元々秋開催のプロセカのゲーム大会向けのイラストということで、「秋×プロセカらしさ×e-sports」という大枠のテーマがあったのですが、それを「秋らしい暖色系のカラーリング」×「音符+王冠」×「ノーツと譜面をイメージしたワンピース」といった落とし込み方で「Championship 2022 Autumn」だけのミクさんとして成立するように工夫して制作しました。

また、プロセカのモチーフのひとつに三角形があるということで、黄色&オレンジの秋らしい配色に、三角要素のアーガイル柄を組み合わせたパーカー部分が個人的なお気に入りポイントです。

──これまでに『プロセカ』関連で描かれたイラスト(3Dデザイン等のお仕事を含む)の中で、特に印象に残っているものは?

あかもく:2023年の秋にゲーム内で実装された『プロジェクトセカイ』3周年記念Leo/need限定衣装「エクシード・サザンクロス / フォローイング・コンパス」のデザインですね。

Leo/needのメンバーは3D衣装でバンド演奏を行うということもあり、演奏時にできるだけ楽器の邪魔にならないよう引き算的な思考でデザインしました。

──制作時のエピソードもお聞かせください。

あかもく:「楽器を持った状態」と「持っていない状態」のどちらでも映える衣装になるよう、パーツや配色、シルエットのバランスをかなり詰めて考えていた覚えがあります。

コンセプトをしっかり練って凝縮した結果、見た目はシンプルなものになりましたが、とてもLeo/needらしい芯のある衣装になったと思います。

一つひとつのパーツや表現に、理由や意図が明確にあるという点は、今回のCSミクさんのデザインにも共通していて、あかもくのキャラクター/衣装デザインの根底に通ずる部分もあると感じています。

──あかもく先生と「初音ミク」との思い出をお聞かせください。

あかもく:「初音ミク」との思い出ですが、私の人生の大半はミクさんをはじめとしたボカロ音楽と共にあると言っても過言ではないです。

高校時代にカラオケで遊んでいたときや、大学受験で試験会場に向かうとき、就職活動中の面接前や会社員時代の通勤時など、常にボカロ音楽は身近な存在として、いつも傍にいました。今でも当時よく聴いていた曲を聴くとその時の自分の人生の出来事を思い出したりします。

「初音ミク」が発売された2007年から現在に至るまでボカロ曲を聴き続けていますが、どの時代でもボカロの世界は音楽ジャンルや世代、プロ/アマチュアといった垣根を越えて素敵な音楽やイラスト、映像等が集まる創作の最も熱い場所であり続けていると感じています。

──『プロセカ』の思い出についてもお聞かせください。

あかもく:『プロセカ』は、ミクさんをはじめとしたバーチャル・シンガーたちと作中のキャラクターたちが音楽を通して自分の想いと向き合っていくゲームということもあって、いろいろな方に刺さるエピソードがたくさんあります。

作中のストーリーから、プレイヤーである自分自身と状況が重なって共感することや、自分が抱えている物事に向き合うためのヒントを得ることもあります。

ミクさんたちと共に各キャラクターが意志を持って、それぞれの道を歩もうとする姿からは、前向きな気持ちや希望を感じることができ、ボカロに支えられてきた私自身のこれまでの人生と重なる部分も一部あるなぁと感じながら、日々楽しくストーリーを追っています。

「イラストレーター・あかもく」がチャレンジしたい2つのコトとは?

──改めて、あかもく先生がイラストレーターを目指したきっかけをお聞かせください。

あかもく:絵やクリエイティブ、エンタメとは一切関係のない一般企業で数年間働いた後、家族から背中を押され、学生時代からの夢だったイラストレーターを目指しました。

一般企業時代は紙に鉛筆でらくがきする程度でペンタブ等の機材もなく、あくまで趣味の範囲内でしか絵を描く習慣がありませんでした。ただ絵描きを目指すと決めてからは、一般企業での仕事をしつつ、機材を揃えながら本格的にイラストの勉強を始め、運良くゲーム会社のイラストレーター職へ転職できました。

周りよりスタートが遅かった分、フリーランスになった今は、一般企業で得た知識や体験が絵づくりや事務作業でかなり役に立ってくれています。

──ご自身のイラストスタイルが確立されていった過程や、こだわりについてお聞かせください。

あかもく:絵のスタイルについては、昔から線を描くのが好きということもあって線画が映えるような絵に段々変わっていっている気がします。

塗りに入る前の線画の段階でキャラクターが生きているように感じられるかどうかが自分の中でひとつ大事なポイントになっています。

──これまでのキャリアの中で「転機」となった出来事についてお聞かせください。

あかもく:ゲーム会社からフリーランスになったのが一つの大きな節目ですね。求められるスキルが大きく変わったというのもありますし、様々な企業の方やファンの方ともお会いする場面が増え、各所からいただいたコメントから自身の絵を客観的に見て、新たな気付きを得る機会も増えました。

──イラストを描く際に「これは大切にしている」と感じる信条はありますか?

あかもく:「自分が描ける領域より少し上のラインを目指して完成させること」を大切にしています。

特に描いたことのないものにチャレンジする姿勢は、モチベーションを維持するのにも大事ですね。

──イラストを描く中で、「この瞬間が楽しい!」と感じるのはどのようなときですか?

あかもく:やはり線画を描いているときですね。創作で描いた『Crisp Air』という作品があるのですが、イラストの半分を占めるほど大きい鉄のフェンスを、ひたすら線画で描き込んでいくという作業があって、その作業がとても楽しかったのが最近特に印象に残っています。

編み物のように描いていく中で、フェンスの形状が少しずつ出来上がっていくのを見るのが好きで、人から見て地味と思われる作業を楽しく続けられるところが自分の良いところなのかもしれないです。

──最後に、イラストレーターとしての今後の目標・チャレンジしてみたいことについてお聞かせください。

あかもく:チャレンジしたいこと・大きな目標は主に2つあって、1つはオリジナルアニメのキャラクター原案/キャラクターデザインにチャレンジしてみたいです。

自分がデザインしたキャラクターたちが動いて、各キャラクターがそれぞれの意思や感情を持って物語を描いていく姿を見てみたいです。

もう1つは「マジカルミライ」のメインビジュアル・衣装デザインの担当をすることです。先述の通り人生の大半がボカロと共にあったということもあり、「マジカルミライ」のメインビジュアルを担当することが目標であり、自分からミクさんたちにできる最大の恩返しでもあるのかなと考えています。

目標を実現できる機会がいつかやってくることを願って、いろんな方により素敵だと感じていただけるイラストを描けるよう精進し続けたいと思います。

【編集・構成:西澤駿太郎】

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