ファイナンシャル・プランナー(FP)とは?介護職が取得するメリットや活かし方について解説します!
ファイナンシャル・プランナーについて知り、介護職として活かしましょう!
近年、介護関連以外の資格も取得し、自身のキャリアの幅を広げている介護職の方が増えています。
様々な資格があるなかで、この記事ではお金や保険について学ぶことができる「ファイナンシャル・プランナー(FP)」について、実際にFPの資格を持つ脇先生から、「そもそもFPとは何か」「介護職が取得すると、どのようなメリットや活かし方があるのか」などを解説いただきます。
執筆者/専門家(FP2級)
脇 健仁
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/22
ファイナンシャル・プランナー(FP)とは?
ファイナンシャル・プランナーについて、日本FP協会は以下のように説明しています。
わたしたちの夢や目標に対して、総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法が「ファイナンシャル・プランニング」といい、これらの計画を立てるためには、金融、税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金制度などの幅広い知識が必要になります。
これらの知識を備え、夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートするパートナー、いわば、「家計のホームドクター®」のような存在がファイナンシャル・プランナー(FP)です。
つまり、簡単に言うと個人や企業などのお金に関する計画をサポートする人のことを指します。
出典:日本FP協会FPとは
ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格概要
では、FP資格についてもう少し詳しく見ていきましょう。
ここでは、FP資格のしくみや、主に介護職の方が取得する可能性が高い3級と2級について、資格取得方法、資格の難易度について解説します。
FP資格の仕組みとは?
参考:日本FP協会FPの資格と検定の種類をもとに作成
FP資格は金財(金融財政事情研究会)と日本FP協会の2つの機関が認定をおこなっており、級は3級~1級に分かれています。
また、2級取得後は、日本FP協会が認定しているAFPとCFPⓇの取得も資格のステップアップとして目指すことが可能です。
FP資格の受検資格
FP資格を取得するために、受検資格が定められている級があります。
まず、3級についてはFPの入口となる基本知識を学ぶため、受検資格はなく誰でも挑戦することができます。
一方で、2級と1級は受検資格があります。介護職の方で、3級よりも専門的な知識を身につけたい場合は、2級の取得がおすすめですが、2級ではFP3級を取得していること、もしくは2年以上の資産形成や運用に関する実務経験があることのいずれかで受検資格を取得することができます。
実務経験については自己申告制ですが、虚偽の報告等があると合格取り消しになる場合があるので、受検資格を必ず満たしたうえで試験に臨みましょう。※
※参考:一般社団法人 金融財政事情研究会受験資格
FP資格の試験について
FP資格の試験は、学科と実技に分かれており、実技については、金財と日本FP協会で試験の分野が異なります。自己研鑽で取得をする方は、好きな分野を受けることができますが、金融や保険に関する企業に勤めている場合(予定も含む)、実技の内容は指定されることが多いので、必ず確認してから取得するようにしましょう。
また、試験形式については、3級は学科・実技ともにマークシート方式ですが、2級は学科試験の選択肢が増えたり、実技試験が記述式にかわったりと難易度が上がります。
FP資格の難易度とは?
FP資格は、当たり前ではありますが、級があがるにつれて難易度や専門性もあがっていきます。
また、実施団体ごとや試験ごとに合格率にはバラツキがあり、3級は50~80%前後、2級は20~60%前後です。このことから、対策をしっかりと行えば取得ができますが、その場しのぎの対策では取得が難しい資格であると考えることができるでしょう。
介護職がFP資格を取得するメリットとは?
ここまでFP資格の概要について確認してきました。
次に、早速本題である介護職がFP資格を取得するメリットについて考えていきましょう。
主なメリットは以下の通りです。
1.お金について知識を蓄えることができる
2.自分の資金計画を立てることができる
3.利用者さんやそのご家族に適切なサポートができる
4.キャリアアップや転職の武器となる
1.お金について知識を蓄えることができる
まず、介護職にかかわらず、自分の資金計画などを考えている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。そもそも、その資金計画を立てるための自分にとっての人生の夢や目標を持っていますか?
私たちは、経済的に豊かになりたいと願うのに、そのために必要なお金の勉強について、真剣に取り組んでいる人は少なく、「お金の勉強は難しそうだから…」と二の足を踏んでいる方のほうが多いと思います。このような方は、経済的に豊かになるための効率的な行動をとれていないことがほとんどです。
小さい頃、自転車に乗るために、私たちは何度も転んで、怪我をしながらも挑戦したのではないでしょうか。なぜ挑戦し続けられたか。それは、自転車に乗れるようになって、「友達とちょっと遠くの公園に行きたい」、「自転車を乗りこなしたい」という強い願望があったのだと思います。本当に経済的に豊かになりたいと思うのであれば、私たちはもっとお金について勉強しておくべきだと考えます。
そこで、FP資格の取得を目指して勉強を進めると、基本的なお金の仕組みや、保険、不動産などに関する知識を身につけることができます。自分自身の財産として、知識の蓄えは重要です。
2.自分の資金計画を立てることができる
そして、自分の人生の目的や成し遂げたいことは何かが明確にならないと、どのくらいの資金が必要になるのかも見出せません。資格取得のメリットの1つとして、資金計画から、自分の人生の目的を見つめ直すことができることが挙げられます。
自分の人生の目的が自分の資金計画だけで成し遂げられるのであれば、自分の資金計画を考えればよいのですが、家庭を持っている方は、家族の幸せを支えるために、家族のことを考えた資金計画が必要になります。具体的には、子どもの進学、親の介護、住居などライフイベントのタイミングに応じた資金に関する計画です。
これらのような中長期的な計画を立てることで、今日のお金の使い方が決まってきます。無計画は失敗を計画していることと同義です。まずは、自分のことを真剣に考え計画を立ててみましょう。
3.利用者さんやそのご家族に適切なサポートができる
自分の資金計画などを考えた方だからこそ、他人の資金計画についてきちんとアドバイスができるようになると考えます。そのため、介護職がFP資格を取得するメリットとして、利用者さんやそのご家族への経済的なアドバイスのつなぎ方がわかることも挙げられるでしょう。ここで強調してお伝えしたいのは、アドバイスができるではなく、アドバイスができる方へのつなぎ方がわかるということです。
介護職から経済面の具体的なアドバイスをした場合、介護職としての職域を超えることになり、アドバイスの結果に対しての責任を問われる可能性があると考えます。これは、ケアマネジャーでも同様です。そのため、お伝えできることは原則的な話までです。
例えば「年金受給の年齢を繰り上げるべきか、繰り下げるべきか」という質問があったとします。年齢を繰り上げると一月当たり0.4%受給額が減額されること、繰り下げると一月当たり0.7%受給額が増額されることは事実なのでお伝えしても良いと思います。
しかし、どちらが良いかという判断は、あくまで本人が考えることであり、サポートするのであれば、年金以外の様々な背景も考えていく必要があります。そのため、利用者さんが相談しやすい、FPを仕事として行っている方に繋いでみると良いと思います。
4.キャリアアップや転職の武器となる
そして4つ目のメリットは、キャリアアップや転職での武器になる可能性があるということです。FP資格そのものが、就職に直接有効かと言われると、介護福祉士などの介護系の資格と比較すると弱いと思います。
しかし、幅広い視点を持った人や、資格取得で自己研鑽を積もうとしている人と見てもらえることで、選考などにおいて有利に働く可能性はあると考えます。ケアマネジャーでも高齢者の相談支援として切っても切れない年金や相続、贈与などお金の相談について苦手意識を持つ人も多いです。そのため、他の職員が、抵抗感なく相談に乗ることができるようになるための社内研修ができる人材であると伝われば、法人がメリットを感じる場合もあります。
最後に:正しい知識で利用者さんに適切なサポートをしましょう!
FP資格は3級から1級まであり、私の私見として、3級は自分のことを中心に考えることができるレベル、2級は他者や中小企業などへのアドバイスができるレベル、1級は本業として仕事が成り立つレベルというイメージを持っています。
前述した通り、介護職として利用者さんに寄り添う意味では、直接的なアドバイスを行うのではなく、アドバイスができる人につなぐことができれば良いと考えますので、3級を取得するだけでも、非常に有効的ではないかと考えます。
また、個人的な経験として、FP資格取得後は、お金に関する情報収集のアンテナの高さが変わりました。税制改正やNISA、iDeCoなどの話題を抵抗感なく情報収集するようになりましたし、アセスメント力としても苦手分野が減り、より積極的に聞き取りなどができるようになったと感じています。
高齢者の生活を支えるうえで、お金の話は避けて通ることはできません。正しい知識を身につけて、良き支援者となってほしいと願います。
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