厚木市と愛川町 職員の名札、名字のみに カスハラ対策で4月から
厚木市と愛川町は4月から、職員が勤務中に着用する名札の記載をフルネームから名字のみに変更した。
窓口業務などにあたる職員が、来庁者から不当な要求を受けたり心無い言葉を浴びせられたりする「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策の一環。SNSの普及で職員の氏名から個人情報や顔写真が特定され、プライバシーを侵害される恐れもあるとして、全国の自治体で名字のみの名札に切り替える動きが広がっている。
厚木市職員課によると、主に庁舎1階、2階で窓口対応する職員から来庁者のカスハラに関する相談などが寄せられているという。中には、名札にフルネームが記載されていることに不安を抱く声もあった。
新しい名札では、名前のほかに顔写真も削除し、代わりに名字の振り仮名とローマ字表記を追加。多くの人が読みやすいユニバーサルデザインを採用し、子どもや外国人、高齢者に配慮した。
カスハラ抑止に向け、市では昨年11月から庁舎内で啓発ポスターを掲示して来庁者への理解を求めている。
カスハラの具体的な行為として、「暴言・大声」「長時間の拘束」「過度な要求」「SNSへの掲載」の4点を列挙。ほかにも土下座の要求、居座り、差別的な言動なども該当するとし、これらの行為によって市役所業務に支障が生じる場合、対応を打ち切る旨を記載している。
愛川町でも、名札の変更について昨年度から検討を進めてきた。変更後は、厚木市同様に名字と振り仮名、ローマ字の表記にした。町総務課は「カスタマーハラスメントが社会問題となる中、職員がトラブルに巻き込まれるのを防げれば。職員にはより一層親しみやすく、ていねいな窓口対応を指導していきたい」と話した。