白亜紀から地球を見守る古代魚「アロワナ」 優雅に水槽を泳ぐ神秘的な魚の話
水槽を泳いでいると迫力のある淡水魚、アロワナ。飼育方法も確立されており、自宅で飼育している人も多くみられる魚です。アロワナを展示している水族館も多く、一度は見たことがあるという人も少なくないのではないでしょうか。この記事ではそんなアロワナについて、生態や飼育方法を紹介していきます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
アロワナとは?
アロワナ科の魚は淡水魚に生息する古代魚です。およそ1億4550万年前からおよそ6600万年前まで続いた白亜紀の時代から生息しているといわれています。
小型の魚を食べる食性で、それらを丸のみするために下あごがせりだしています。うろこがはっきりしているのも特徴で、種によっては綺麗な色彩をうつしだします。成長すると90~100センチほどになる大型の種で、水族館などで泳いでいる姿を見るとその迫力に驚かされます。
現在6種が認められており(CALIFORNIA ACADEMY OF SCIENCE-Eschmeyer’s Catalog of Fishes 閲覧日 2024/5/10)、それぞれさまざまな地域に生息しています。アロワナの種のうち、アジアアロワナを体色や系統によって分け、別種として記載している文献があるものの、それらはまだ認められていません。
アロワナの飼育方法
日本では昭和中期~後期にアロワナブームが起きました。観賞魚としての飼育方法が確立されていることや、その大きく存在感のある姿から、現在も一部のアクアリストには人気を誇る魚のひとつです。
アロワナは熱帯魚であるため、水温の管理が必須です。また、魚体が大きく成長することから、120cm以上の大型水槽が推奨されます。自宅に大きなスペースが確保できることが前提となりますね。
また、アロワナはジャンプする習性があることから、飛び出し事故を防ぐ工夫も必要です。大型魚でありもちろん力も強く、普通の蓋をするだけでは飛び出してしまうこともあるそう。ボルト留め加工や、アクリルの厚みのある蓋にすること、蓋の上に重しをするなどで飛び出しを防いでいる飼育者が多いです。
アロワナは肉食性が強い魚なので、和金やアカヒレなど、小型魚の生餌をあげます。栄養バランスをとるために、人工飼料や昆虫などを与えることも。
SNSや動画サイトでは、アロワナと一緒に暮らしている人のリアルな姿を見ることができるので、興味のある人は是非調べてみてください。
アロワナの代表的な種類は?
最後に、アロワナ科に属する魚のうち、代表的な2種類を紹介します。
アジアアロワナ
飼育されているアロワナのうち、最も目にすることが多いのがこのアジアアロワナです。東南アジアが原産です。遺伝子の研究により、白亜紀の初期である約1億数千万年前にオーストラリアにすむノーザンバラムンディの祖先から分かれたことがわかりました(淡水魚アロワナが海を挟んで暮らしている理由-季刊生命誌)。
体色によって品種がわかれていることも特徴で、スマトラ・ゴールデンやスーパーレッドなどの呼び名があります。
また、現在アジアアロワナは生息地の減少が主な脅威となっており、IUCNレッドリストではEN(絶滅危惧)に分類されています。その観賞魚としての高い価値も、生息数の減少の影響であるといわれています。
ノーザンバラムンディ
ノーザンバラムンディは、パプア・ニューギニアおよびオーストラリア北部の河川に生息する魚です。この魚たちはアジアアロワナとは違い、野生の生息数は多いとされ、IUCNでもLC(低危険種)と、絶滅のおそれもなく、近い将来絶滅に瀕する見込みが低いとされています。
見た目はアジアアロワナに似ており、大きく目立つうろこが特徴です。体色は褐色であることが多く、金属のような光沢を帯びています。うろこには、ピンク色をした三日月型の斑点がはいります。
水族館で出会うと感動する古代魚
アロワナはその大きな体が神秘的で、水族館で見ると思わず感嘆の声が漏れてしまうような美しさがあります。
個人での飼育は難易度が高いですが、水族館では比較的容易に見ることができる魚です。是非実際に泳いでいる姿を見てみてください!
(サカナト編集部)