瀧田昌孝ソムリエが解説! 未来のためのぶどう品種、ドイツ生まれの「PIWI」とは ~「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」レポート④
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PIWIとは120年前から研究が進んでいた主なPIWI品種
Wines of Germany日本オフィスは2024年6月27日、SPICE LAB TOKYO(東京都中央区)にて「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」を開催した。
当日は、パレスホテル東京 グランドキッチンのアシスタントマネジャー&ソムリエの瀧田昌孝氏が講師として登壇。ドイツワインとインド料理とのペアリングを楽しみながら、ドイツワインの最新情報について解説があった。
今回の記事では、ドイツワインの“今”を知るキーワード「PIWI(ピーヴィー)」について紹介する。
PIWIとは
PIWI(Pilzwiderstandsfähige)とは、「カビに耐性のある品種」のこと。Grapes for the Future(未来のためのぶどう)と呼ばれている品種だ。
ヨーロッパを原産とするカベルネ・ソーヴィニヨンなどのヴィティス・ヴィニフェラ種と、アメリカを原産とするヴィティス・ラブルスカ種などを複数回繰り返して掛け合わせることで、ヴィティス・ラブルスカ種の持つカビに対しての耐性と、ヴィティス・ヴィニフェラ種が持つワインの個性がミックスされた品種を生み出した。
農薬を80%減らすことができ、農薬散布の回数を削減してCO2の排出量を抑えられるなど、持続可能性や環境保護につながる品種だ。また、近年増えている病害に対して耐性があり、気候変動に適応できる品種として期待されている。
120年前から研究が進んでいた
ドイツでカビ耐性品種の研究が進んだのは、1880年ごろのこと。うどんこ病やべと病がヨーロッパに持ち込まれたためだ。
また、カビに耐性のある品種をつくり出すことだけが目的ではなく、おいしいワインをつくる研究も進められた。
主なPIWI品種
現在、PIWI品種は、ドイツのぶどう畑の約3%を占めている。最も多く栽培されているPIWI品種は、黒ぶどう品種のレゲントだ。日本でも北海道ワインがレゲントを使ったワインをつくっている。
他にも白ぶどう品種のソラリス、カベルネ・ブラン、そして当日提供されたソーヴィーニャ・グリ(ソーヴィニエ・グリ)がある。
▼イベントで提供されたPIWI
ソーヴィーニャ・グリ 2021
Souvignier Gris 2021
生産地:ラインヘッセン
生産者:アプトホフ
品種:ソーヴィーニャ・グリ
アルコール度数:13.9%
参考価格:3630円(税込)
PIWI品種のワインを日本で見かけることは少なく、瀧田氏自身も今回が初めてだったそうだ。しかし、ドイツだけではなく、世界的に消費者の関心が環境保護に向けられるにつれ、PIWI品種への関心も高まりつつある。瀧田氏は、「世界的には非常にはやっている」と感じているとのこと。
次回は、ドイツワインの“今”を知るのに欠かせない「リースリング」について紹介する。
<登壇者:瀧田昌孝ソムリエ>
2019年にGerman Wine Instituteが主催する「Sommelier Summer Class」に参加。ドイツの醸造学で最も権威のあるガイゼンハイム大学にて、世界14カ国から50人のソムリエと共に1週間の研修を受けた。現在は、German Wine Academy(ジャーマン・ワイン・アカデミー)の公認講師としても活動している。