PC画面の数は“脳の可動域”と一緒!? 澤円が語る、視界と思考の深い関係
そのAlt+Tab、今日何回押した?
VS Code、Slack、GitHub、ChatGPT、Figma、ブラウザの調査タブ、スライド資料……etc
今や複数のツールやウィンドウを開いて作業するのは当たり前。でも、切り替えるたびに思考がブツ切れになって、集中が続かない。そんな感覚に心当たりがある人も多いのではないだろうか。
「2画面で仕事するなんて思考が詰まりまくりで、ボクなら発狂してますね(笑)」
そう語るのは、プレゼンの神として知られる澤円さん。IT企業で20年以上のキャリアを重ねながら、数多くの登壇やプレゼンをこなす澤さんのワークスペースには、なんと7枚のモニターが並ぶ。
「モニターは、ボクにとって単なるガジェットではありません。思考を止めない最重要ツールです」と語る澤さんに、3画面以上だとどう思考がクリアになるのか、具体的なメリットを聞いた。
目次
「2画面では足りない」と気付いた日モニター1枚=AIエージェント1人分視線も思考も「ひと続き」になる快感 澤さんが進化系マルチディスプレイを本気レビュー「視界の設計」が働き方を変える出先でも、自分の視界を持ち歩ける【結論】思考断絶、集中切れの原因はモニター不足も一因
「2画面では足りない」と気付いた日
澤さんのデスクには、メインPCとなっているWindowsのゲーミングPCに接続した3枚の外部モニター、ノートPC、iPad、Zoom専用のカメラ用モニター、さらに手書きデモ用にSurface Hubという大型ディスプレイ兼PCのようなものがある。
澤さんのワークスペース。写真ではちょうど澤さんの陰に1枚隠れてしまっているが計7モニターを常用中。左手にある巨大なモニターが『Surface Hub』だ
「あとスイッチャーも入れてます。いろんな画面に瞬時に切り替えられるように」
澤さんが愛用しているスイッチャー
多画面生活を極めている澤さんだが、画面を増やすきっかけは、意外にもシンプルだった。
「2019年、Microsoftに勤めていた当時、自宅外に作業用の事務所を借りたんです。とりあえずノートPCを1台持ち込みましたが、すぐに『1枚じゃ足りない』って思いましたね」
会社ではデュアルモニターが当たり前だったため、1画面での作業にストレスを感じた。自分の思考が詰まる感覚がはっきり分かったという。
「決定的だったのは、コロナ禍でのオンライン登壇でした」
画面共有をオンにすると、Zoomのウィンドウが裏に隠れてしまう。参加者の顔が見えない。チャットの確認ができない。誰の反応も分からないまま、スライドを一人で進めていく虚無感に直面したという。
「これって、どれかを見ようとするたびに別の視界を犠牲にしてるんですよ。まるで脳の一部をオフにするような感覚でした」
その違和感が、1枚、また1枚と画面を増やす理由になっていった。
調べ物用にもう1枚、スライド操作用にもう1枚、手元で描画したいからiPadを追加……とやりたいことに応じて、自然にモニターが増えていった。
「画面の数って、思考を止めないために必要になっていくんです。つまり、これはガジェットの話じゃない。思考の話なんです」
次第に熱を帯び始める澤円さん
モニター1枚=AIエージェント1人分
「最近は、人間よりAIと話してる時間のほうが長いエンジニアも多いですよね。まるで自分のチームの中にAIエージェントが何人か常駐してる感じ」
Slack、Notion、GitHub、ChatGPT、Claude Code、Cursor、ドキュメント、会議ツール……それらを行ったり来たりしながら、複数のプロジェクトが同時に進んでいく。
「AIエージェントもメンバーとなる時代です。ならば、その人たちに机を用意するのが自然ですよね。モニター1枚=AIエージェント1人分と考えた方がいいと思います」
作業中も、AIとの会話ログを開いたままにしておきたい。でも画面が足りないと、必要な情報を目の前から何度も消してしまう。澤さんは「これがまさに思考の乱れの原因。ここを整えるだけでも一気に思考が整理されます」と指摘する。
「視線の切り替えはできても、思考の切り替えはそう簡単ではありません。しかも、いったん視界から消えたウィンドウを戻して、『あれ、さっきどこまで読んだっけ?』と探し直す“文脈の回復”は、時間のロスと脳疲労がものすごく大きい。
だからこそ、同時に目に入っていることが重要なんです。3枚以上あると、視線を動かすだけで必要な情報を並べて把握できる。ウィンドウを切り替えることなく、頭の中で複数の思考がつながったまま流れていく。その感覚が、今の時代の情報処理には不可欠だと思います」
「人間って、情報の8割以上を視覚から得ているって言われているんです。だから、視界に出しっぱなしにしておくのがかなり大事。必要な情報が“見えている”状態と、“隠れてる”状態では、思考の滑らかさがまるで違うからです。
1回の視認で得られる情報量を最大化して、“知るまでの時間”をどれだけ短くできるかが、集中の密度にも直結するんですよ」
視線も思考も「ひと続き」になる快感
澤さんが進化系マルチディスプレイを本気レビュー
今回、そんな澤さんにとあるディスプレイを試してもらった。それが、USB-Cケーブル1本で最大5画面に増設できるマルチディスプレイ『Wisee Cockpit Monitor 15.6inch』だ。
参照元:https://www.wiseelab.shop/products/wisee-cockpit-monitor-15.6inch
最大の特長は、マグネットが内臓されたディスプレイ同士をマグネットで「カチッ」と連結するだけの手軽さだ。
プロダクト責任者の聶さんに設置の仕方を教わる澤さん
専用スタンドにまず一枚設置
2枚、3枚と増やす澤さん
モニター同士は専用のマグネットで「カチッ」と連結。あとは自分の好みに合わせて位置と角度を整えるだけ
「裏までキレイじゃないですか」と背面に食いつく澤さん
設置が終わると、メインPCを合わせて計5枚の画面がある視界が完成した。
さらに、付属ソフトからどの画面に何を表示するかの割り振りを行っていく。
プロダクト責任者聶さん:理想の画面配置はありますか?
澤さん:そうだな~。ボクなら左右のパネルは縦にする方が好きで、縦スクロールが必要な作業は左右に並べるかな。右側は絶対にX(旧Twitter)、左に調べ物系(ChatGPT)、真ん中が作業スペースで、上は予備。これがボクの視界の理想形ですね。
……なんて話ながら澤さん好みに設定してもらうこと数分。
初回だったこともあり、画面割り振り工程が発生したが、それでもここまでに要した時間はおよそ10分だ。
澤さん:これは……思ってたより薄いし、スッと並べるだけで組み上がるんですね。サイズってどのくらいなんですか?
プロダクト責任者聶さん:1枚あたり15.6インチで厚さは約7.6mmです。ノートPCより少し大きいくらいですね。
「なにこれ、もうこれノートじゃん」
澤さん:最初ちょっと小さめかなと思ったけど、15インチのノートPCをちょっと横に広げたくらいか。薄いから視界の邪魔にならないし、4枚もあるのに圧迫感を感じませんね。
プロダクト責任者聶さん:ちなみに、画面4枚とスタンドを含めて5.7kgくらいになります。持ち運びには重いですかね…?
澤さん:お、それなら全然OKです。ボク、出張は『RIMOWA(リモワ)』のスーツケースの一番小さいサイズ1個で行くんですけど、このくらいなら余裕で入ります。
澤さんのRIMOWAのスーツケース
澤さん:しかも何がいいって、1社で全部設計されてるって大事で、モニター4枚あってもコンパクトにまとまるのがいい。ガジェットってバラで集めるとどんどんゴチャつきますけど、これはまとまり感があって運びやすいと思います。
澤さん:それと、USB-Cだけで映像も電源もいけるのはめちゃくちゃありがたい。普通は電源もモニターごとに必要なんですけど、これは1本で済む。しかも万が一忘れても、コンビニで買えるし、どこでも手に入るっていう安心感がありますよね。
背面から見た様子。ケーブルも少なくスッキリした見た目も魅力
さて、ここから実際の使用感もチェックしてもらおう。
「今日の午後に登壇するセミナー資料、ちょっといじりますね」と作業を始める澤さん。
カタカタカタカタカタ......
「はいはいはい、これは思考がブレーキを踏まない世界ですね~」
澤さん:Slackでやり取りしつつ、コードを書き、ChatGPTに質問を投げて、と普段は何度もウィンドウ切り替えて見るじゃないですか。このモニターならスクロールや検索なしで見えてる状態がずっと続きますね。
Alt+Tabを押すことなく視線を動かせば、文脈ごと前の作業に戻れる。
澤さん:あとこれ、色味がすごく揃ってますね。1枚だけ変に青っぽいとか、そういう違和感がないのがありがたいな。
プロダクト責任者聶さん:発色と輝度を全パネルで統一しているんです。PC本体のGPUを使わず、モニター側で独立して映像処理するアーキテクチャを組んでいるので、パフォーマンスへの負荷も最小限に抑えられます。
GPUを経由しない独立映像処理アーキテクチャを採用。PC本体の性能に左右されず、4K解像度を維持。色温度と輝度が統一され、どの角度から見ても1枚の大画面のような自然な発色に
澤さん:だからか! 4枚あるのに、PCがうなる感じが全くない。GPU依存だとファンが一気に回り出しますけど、それが一切ないのはすごいですね。
プロダクト責任者聶さん:並べたときに1枚の画面のような統一感を持たせることも重視していて、角度や高さを調整しても視野差が出にくいように設計しています。
澤さん:そういう細かい工夫も、思考を分断させにくいポイントですね。
「視界の設計」が働き方を変える
では、この視界の地続き感を最も得てほしいのは、どんなエンジニアなのだろう?
澤さんは迷わずこう話す。
「複数のタスクを同時に走らせてる人とか、AIエージェントを活用しまくっている人ですよね」
「……って、それもう全エンジニアか」
「ChatGPTの出力を片っ端から試しながら検証していくとき、やり取りの文脈が常に目に入ってるだけで、精度もスピードも全然違ってきますからね。
あと、在宅勤務でリビングやキッチンを作業場として使う場合も、すぐに片づけられるので便利だと思います。専用の作業スペースがなく、フレキシブルに使いたい人にも実用的ですね。
エンジニアとて、3モニター以上となるとまだ少数派な印象です。3枚にしただけで作業効率が単純に倍々に伸びるわけではなくても、確実に全体のパフォーマンスが底上げされるのは間違いありません。効率を考えるなら3画面以上は必須だと思いますね」
出先でも、自分の視界を持ち歩ける
もう一つ重要なのは、この環境をどこにでも持っていけることだ。自宅ではもちろん、オフィスやコワーキング、出張先のホテルでも、自分のいつもの思考空間(視界)を再現できる。
「今日、ここでセッティングした画面構成を、そのまま次の仕事場に持っていける感覚。これは、ほんとにすごいと思う。“自分の視界”を持ち歩けるって、もはや新しい自由と言ってもいいと思います」
【結論】思考断絶、集中切れの原因はモニター不足も一因
「最近どうも集中できない」「マルチタスクがしんどい」「切り替えが多すぎる」――そう感じている人は、もしかすると視界の狭さが原因かもしれない。
大事なのは、スペックでも効率でもなく、「視界をスライドするだけで、別の文脈にアクセスできる環境」を持てるかどうか。思考を切り替えずに次の作業に移れる。その滑らかさこそが、パフォーマンスを引き上げる鍵なのかもしれない。
「情報を処理する道具って、結局は“どれだけ余白を与えられるか”ってことだと思うんです。脳の流れを止めないためのスペース。それをちゃんと設計できるかどうかが、集中や没入の質を左右する。画面の数って、実はそういう話なんですよ」
左から吉川真人さん(開発メーカー 代表取締役)、澤円さん、聶さん(開発メーカー プロダクト責任者)
2026年1月7日まで蔦屋家電 二子玉川店に展示されているので、購入前に実機を触ってみたい方はぜひ行ってみてほしい。
【主な製品仕様】
製品名:Wisee Cockpit Monitor 15.6inch(コックピットモニター)
販売価格:15万5,800円(3画面の「アドバンスセット」)/19万2,800円(4画面の「フラッグシップセット」)
画面サイズ:15.6インチ × 最大5画面構成
解像度:各パネル1920×1080(フルHD)
接続方式:USB-C2.0 信号出力+PD 3.0給電対応
パネル厚:約7.6mm(1枚あたり)
本体重量:モニター4枚+専用スタンドで約5.7kg
色再現性:sRGBカバー率100%、全画面で色温度・輝度を統一
映像処理:GPU非依存の独立アーキテクチャ採用(PC負荷を軽減)
画面配置:縦・横自由、マグネット式連結で柔軟に配置可能
対応OS:Windows、macOS(標準規格対応)
【製品に関するお問い合わせ先】
開発・販売会社/ワイズイノベーション株式会社
連絡先/support@wiseelab.shop
公式オンラインショップ/こちら
文/福永太郎 撮影/吉永和久、一部澤さんご本人提供 編集/玉城智子(編集部)