ボルドーの真価を感じる、比類なき2022年ヴィンテージ
格付けシャトーを中心にボルドーの132の生産者が加盟しているのがユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(UGCB)だ。UGCBによる試飲会開催に際し、会長のフランソワ=グザビエ・マロトー氏が来日。最新のヴィンテージ、2022年について語った。
毎年日本で最新ヴィンテージの試飲会を開催しているユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー。今年は各シャトーの2022年ヴィンテージが供された。会長のフランソワ=グザビエ・マロトー氏は2022年を「比類なきヴィンテージ」と評する。
この年の始まりの冬は、気温が穏やかで適度に雨が降った。続く春も温暖で芽吹きは10日ほど早く、5月末の段階ですでに良年になるという予感があったとマロトー氏は話す。夏は熱波に見舞われ、観測史上2番目に暑い年に。しかしその暑さのおかげで果実が成熟し、収穫が例年より10日〜2週間早くなった。8月15日に白ブドウが、9月5〜30日には黒ブドウの収穫が終了している。暑さに弱いメルロもこの気候にうまく適応し、フレッシュネスを担保できたという。
「極端に暑かったこの年を乗り越えたことで、希望が見えました。ブドウはもちろんボルドーという土地にも、厳しい暑さに適応する力があるということがわかったのですから」
2022年のスタイルについて、マロトー氏は「太陽を思わせる」「豊かさがあってリッチ」「濃縮」「フレッシュネス」の四つのポイントを挙げた。
「太陽を感じながらも、フレッシュさや酸、濃縮感もそろっている。こういったスタイルのヴィンテージはなかなかありません。グラン・ミレジムでも若いうちから楽しめるということを象徴するヴィンテージですし、10年後、20年後も若さが保たれていると思います」
近年、温暖化の影響により、ボルドーワインの生産量は25〜40パーセント減少している。それでもマロトー氏はポジティヴに捉えている。
「2015年、2016年、2019年、2020年と、ここ10年でグラン・ミレジムが続いているのは、温暖化によるところが大きいはずです。生産量が減っている点については、先人たちがやってきたことを紐解きながら仕事のやり方を改善していくことで対応できると考えています。ボルドーは温暖化が進んでも美味しいワインを造ることができると確信しています」
特別なヴィンテージ、2022年と気候が似ていたというのが2025年。温暖化時代にボルドーの実力が問われる今後のヴィンテージにも注目したい。