釣りに興味がない女性に聞いてみた「入門機種と中級者向けリールどっちの方が好き?」
ごく最近2500番のスピニングリールを買い替えた。4年前のミドルハイクラスから、最新のエントリークラスへのダウングレード。釣り具が手に慣れた者ならどちらがいいか、一発でわかるが、釣りには興味を示さない人では、そうはいかないだろう。実験的に今回は、釣りをしたことさえない、自ら「何も知らない」と豪語さえする若い女性に、リールを持ち比べしてもらった。何もわからない、らしい。
釣りをしない女性に聞くリールの質
4年前のミドルハイクラスと、1年前のエントリーモデルの2台。具体的な品名をいうと、20ルビアスLT2500XHと、23レガリス2500Dだ。
ギア比が違うので、ルビアスのほうが巻きの重さはある。一方でルビアスのほうが同じ番手でも自重は軽い。ところがレガリスはローギアかつエアドライブデザインという軽巻き仕様が備わっていて、これは玄人はだしの感動的な巻き感。ちゃんとした同条件での比較にはなっていないが、それだけ微妙さというか、スペックと技術の違いをモロに味わえる設定になっている。
私が「持ってみて」と言うと、渋々、協力してくれた。
エントリーモデル、ミドルハイモデル比較
まずはザックリと、「何か違うところはある?」と聞いてみる。
その前に、だ。この娘、驚くべきことをしている。
なんだか箱の中身はなんでしょなに触れるかのような、微妙な持ち方。リールは目的的に作られた有機的なかたちで、まして目視しながらの持ち方なのだから、もう少し上手に握れそうなものを、この避け方に近い持ち方だ。
なんとか「こういうふうに持つんだよ」と教えて、持ち直してもらった。巻いてみてもらう。何か違いを感じるかと聞いてみると、「わからない」と、まァそうだろうという答えがきて、むしろ納得した。
見た目を聞いてみたら
続けて、見た目について聞いてみた。ちなみにこの娘さん、直近で私が会ったときには三度連続で同じ服を着てきている。気づいていながらスルーしていたが、その点、非常に口幅ったいながら触れてみたうえで、服装とかデザインとかこだわりあるの?などと遠回しに根本的な興味を聞いてみたが、「シーンとかでよく買い物はする」と言っている。
シーン?なんだそりゃ。今度はこっちがわからなくなるので、これ以上の詮索は中止した。
「見た目はどう?」と私。
「知るか」とその娘。
「頼むから、何かひとつでもあるやろ」
「ない」
「じゃあ、どっちのほうが高級そう?」
「こっち」
と彼女が言ったのはレガリスのほうだ。好みはあるだろうが、いわゆる黒金という、2010年代からD社のエントリーモデルに使われてきた、クセのあるカラーリングだ。確かに見た目に高級感がないでもないが、私の好みとは真っ二つとなった(でも自分はルビアス→レガリスに買い替えたのだけれど)。
ずばり、釣りはしてみたい?
この娘は21歳で、私は36歳となかなかの差があるが、1年ほど前に語学サークルで知り合って今ではなかなか気安い仲ではある。オヤジくさいと思われると、実は自分が釣り好きということは隠していたのだが、このタイミングで打ち明けた。これには、はかばかしい反応を示さなかった。だが、私は知っている。それは、「本当に釣りに興味がない人の反応」なのだと。
「正直、釣りってしてみたい?」と玉砕覚悟で聞くと、意外な答えが返ってきた。
「わからないけれど、ルアーはいいじゃん。これ、好き。エサとかはようさわらんけどね」
ゲッチュー。なんだかこのコスケくんが褒められたことが、自分のことのようにうれしい。まあこのタイミングで個装されてちんまりした新品状態のルアーがこれだけだったということもあるだろうが、実はコイツ、私の一番のお気に入りでもあるのだ。何か若いノーフィッシング世代とも通じ合うものがあるのだろうか?
よく行く垂水漁港で女性エギングアングラーの姿を見ることが増えた。キャッチーな釣りだし、竿をあおることには爽快感がある。やはり男性の世界というイメージがつきがちな釣り。みなさんも私の蛮勇を見習って(?)、恥を捨てて身近な女性を釣りへといざなってみてほしい。
<井上海生/TSURINEWSライター>