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政府が10年目の地方創生政策を検証。「一定の効果があった」と評価も、東京一極集中と地方の厳しさには問題視も。

文化放送

6月19日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、政府がとりまとめた地方創生政策を検証した報告書の内容について、意見を交わした。

政府は10日、開始から10年を迎える地方創生政策を検証した報告書をとりまとめ、公表した。人口増加や人口の目減りが予測よりも緩やかだった地域があるとして、政策には一定の効果があったと評価をした。

寺島尚正アナ「森永さん、まずこの評価はどうお考えですか?」

森永康平「これ、実際データを見てみますと、人口増は何で起きたか? と市区町村別で見てみるとですね、大体移住者が増えたっていう、いわゆる社会増が要因になっているんですね。一方で東京圏の人口を見てみると、減ってないんですよ。ということはどういうことかっていうと、地方の間で人口の奪い合いになっているということなんですよ。なので、冷静にこのデータを見るのであれば、地方の活性化がうまく行っているという話ではまったくなくて、人口を奪うという言い方はよくないかも知れないですが、人口を増やせた市区町村はどういう政策を取ったから増えたのか。逆にいうと減ってしまったところは、何が足りなかったのか。というのを分析して、実際に減ってしまったところ、これから増やしたいところが参考にするものを出して行かないと意味無いですよね」

寺島「その一方で、人口減や東京一極集中の流れは変わっていないとし、『地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある』と成果の乏しさを認めています。報告書では、2013年時点で予測した2020年の人口推計値と、実際の人口を比較。東京圏と東日本大震災の影響で推計値がない福島を除いた1682自治体のうち、推計値を上回ったのは610の自治体です。また、20年の国勢調査で5年前から人口増が確認できたのは東京圏を除くと219自治体でした。一方、総人口の1割弱が暮らす東京23区も人口が増えています。2023年に東京圏に転入した日本人の数は転出を11.5万人上回り、一極集中の傾向は変わっていないと、こういう数字が出ていますね」

森永「よく東京一極集中を解消しなきゃいけないとか、地方経済を活性化させなきゃいけないというスローガンがよく出て来ますが、実際地方でビジネスをやっている会社の社長とかと話をしていると、それらは目標としてやりましょうというより、結果としてそうなりましたっていう考え方をした方がいいんじゃないかと。例えばですね、熊本の菊陽町に世界最大の半導体受託製造企業、台湾積体電路製造(TSMC)の工場が来たから人が増えたとか、時給が上がったとかみたいな例を見ればわかる通りで、やっぱりそこに何か産業が出来たりとか雇用が生まれたりとかすれば、勝手に人は集まるわけですから、つまり投資がひとつの呼び水になる可能性はあるよね、と。従来はそれを国が率先してやるべきだと僕は思っていますけれども、皆さんご存知の通り、どちらかというと緊縮志向なので、無駄は削っていこうと言って投資はしてなかったわけですね。結局投資しないからどんどん人が減って行っちゃってたと。たまたま今回は情けない話ですけども、TSMCと言う、外からお金が入りますと。そこに経済産業省がお金をつけて、結果的に投資をしてみたら、現に人が増えている。今までは日本で人口が減って行くからこれ以上投資しても意味がないとか、財政がパンパンだから投資する余地はないとか言ってましたけど、『ウソをつけ!』と。一極集中を解消しなきゃなどともっともらしいことを言う前に、まずは緊縮志向から脱却して、必要な投資をしましょうと。その結果、気付いたら一極集中が終わってた、地方経済が活性化されてた、というような順番で、思考の回路を変えた方がいいんじゃないかと思いますね」

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