【TAEMIN】初のワールドツアー開催! 神々しい姿と壮大な世界観で観客を魅了した日本公演を徹底レポ【セトリあり】
SHINeeとしてデビューして17年目のTAEMIN。彼にとって今年は、ソロデビュー10周年のアニバーサリーイヤーだ。節目を迎えた今春、事務所を移籍し、8月に初のセルフプロデュースミニアルバム『ETERNAL』をリリースした。
そのアルバムを携えて、8月の韓国・仁川公演を皮切りに、マレーシア、台湾、東京、福岡、タイ、香港、インドネシア、UAE、シンガポール、フィリピンなど10カ国をまわる初のワールドツアー『Ephemeral Gaze』をスタートさせたが、このキャリアにしてソロでのワールドツアーが初というのはなんとも意外だ。
9月21日~23日には東京体育館で東京公演を開催。ミニアルバム『ETERNAL』収録にされている7曲全曲と数々のヒット曲を織り交ぜたTAEMINのソロ10周年の歴史をすべて詰め込んだセットリストで、芸術にまで昇華させたといえるほどの独自の世界観を持つパフォーマンスを繰り広げた。ここでは、9月22日公演の模様をレポートする。
神か堕天使か……TAEMINが作り上げる壮大な世界
SHINeeのコンサートでは、『Runaway』が始まりの合図だが、TAEMINの場合のそれは『Criminal』だ。
暗転して『Criminal』が流れ始まると、ファンの気持ちが高まっていく。
そしてステージ前面を覆った大きな白い幕に光のラインが走り、命の始まりを暗示させる映像が続くと、幕が落ちたそこには、両手を拡げて宇宙に浮かぶ神々しいTAEMINが登場。
その姿はまるで、半年前に日本武道館で行われた『TAEMIN SOLO CONCERT : METAMORPH in Japan』アンコールの『IDEA:理想』の天地創造を終えた神のようなラストから繋がっている印象を受けた。壮大な幕開けを飾った『Deja Vu』から、アレンジで変化が与えられた『Guilty』、そして『Advice』までのオープニングセクションで、TAEMIN印ともいえるダークで耽美的な世界観を存分に見せられたファンの熱気は、早くも沸点へ到達した。
『さよならひとり (Korean Ver.)』からは、彼の美意識の結晶のようなセクションに。日本ソロデビュー曲『さよならひとり』リリースから、もう8年。
韓国語バージョンでの披露だったが、30代になったTAEMINがパフォーマンスする今の『さよならひとり』には、昔とはまた違った表現や感性が閉じ込められていた。
そこから天地創造を彷彿させる『IDEA:理想』、そして讃美歌のようなイントロが加わり宗教画が背面の大型LEDに映し出された『Heaven』へ続く世界観は、圧巻のひとこと。
TAEMINが階段を駆け上がり、客席を振り返り奈落に転落するという『Heaven』のラストは、堕天使なのだろうか……。
そのドラマチックな演出は、会場を沸かせた。
MCでの姿に会場中が思わず「かわいい!」
インターバルの後は、バラードを持ってきた。
雨音が響く中、ピンスポットが当たった場所に一脚のソファとティーテーブル。まるで映画のワンシーンのような『I'm Crying』から、リフトで高所に上がりTAEMINが時計の部品の一部になったかのような映像演出が美しい『Clockwork』、そして爽やかさと希望を感じさせる『The Unknown Sea』から『Blue』までは、これまでのダンサーたちと作り出してきたステージから一変して、一人だけでその世界を完結させた。
TAEMINというアーティストは何かとパフォーマンスが話題になるが、歌の実力も確かだ。ハスキーで柔らかい声の質感と歌の世界に浸りきる表現力で、オーディエンスを引きつけた。
そして後半は、これまでの世界観が一変。
真っ赤な衣装をまとい、『G.O.A.T』からヒップホップセクションに突入。『The Rizzness』で重いビートを放つと、『ETERNAL』のタイトル曲『Sexy In The Air』ではダンサーとの大群舞の後にダンスブレイクを披露。ファンは大きな「イ・テミン」コールでそのパフォーマンスを讃えた。
少しでもファンとコミュニケーションを取る時間を作るためにステージ上でヘッドセットマイクを装着し、髪型を整えながらのトークも。
汗をかきすぎたのか、なんとここまでに2回もイヤモニが壊れてしまったのだそう。
トークになるとTAEMINは、先ほどまで近寄りがたいほどの孤高のパフォーマンスを見せていた人物とは思えないかわいらしさを見せる。
アリーナという広い会場でもファンとの会話を楽しみながらニコニコする姿に、会場のあちこちから「かわいい……」という心の声が漏れ聞こえてしまうのも納得。
しかしそんなファンを見て「皆さん、僕が子どもだと思ってる? 三十路ですけどっ! けっこう大人です」と抗議するが、その姿にさらなる「かわいー!」の声が上がる。何かにつけて「かわいい」ではなく「カッコいい」と言わせようとする子どもっぽさとステージパフォーマンスとのギャップもTAEMINの魅力だ。
この日は「僕が水を飲んだり汗を拭いたりする時間、みなさんは退屈なんじゃないかと思って」と、汗を拭く紙をフェイスパックのように顔に張り付けてファンを笑わせる一幕もあった。
初のソロワールドツアーでさらに磨き上げられる感性
「ここからは、もっと激しく!」と突入したラストスパートは、『MOVE』、『WANT』から「これぞTAEMIN!」という代表曲の応酬。
会場中に響き渡る大きなファンコールに乗って「もっともっと、盛り上がって!」と勢いをつけると、『Criminal』では手を拘束されたパフォーマンスで歓声を集め、激しいダンスが炸裂した『Horizon』でTAEMINとファンの熱は最高潮に達した。
アンコールの登場を待つ間に行われたのが、会場のファンが歌うイベントだ。
この日は『Colours(Japanese Version)』をファンが大きな声で熱唱。歌い終わると、大きな「イ・テミン大好き」コールでアンコールのTAEMINを迎え入れた。
アンコールにはベースボールシャツに着替えて登場。
代表曲『Danger』から、アカペラで会場を「Na Na Na~」と歌わせてスタートした『Crush』を歌ったが、「聴きたい曲ありますか?」とステージの端に腰掛けてトークタイムにまたファンと会話をしながら『Hypnosis(催眠)』、『世界で一番愛した人』をアカペラでファンと一緒に歌った。
ラストを飾ったナンバーは自身が作詞・作曲を手掛けた『Say Less』。ペンライトの灯で宇宙のような空間を作り上げてくれるファンを愛しそうに見つめながら歌うその姿は、この曲の歌詞のようだ。
ツアータイトルの『Ephemeral Gaze』には、「物は見る場所によって違う形に見えるが、TAEMINはどこから見てもTAEMINだ」という意味が込められているという。そのタイトル通り、このライブでTAEMINは、さまざまなTAEMINの形を見せてくれた。
しかし、TAEMINは何をしてもやはり、TAEMINなのだ。今年、2度もソロコンサートを開催してくれたTAEMIN。ソロアーティストとしての芸術性はますます加速している。初のソロワールドツアーで、さらにその感性に磨きがかかることだろう。
現在『ROAD TO KINGDOM : ACE OF ACE』(Mnet)でMCに挑戦しているが、第4世代、第5世代の男性アーティストにとって、TAEMINはロールモデルを超えた「神」のような存在のよう。アイドルという存在を芸術に昇華させている30代のTAEMINの今後には、更なる期待しかない。
『2024 TAEMIN WORLD TOUR「Ephemeral Gaze」』
2024年9月21日・22日・23日@東京体育館
<セットリスト>
01:Deja Vu
02:Guilty
03:Advice
04:さよならひとり (Korean Ver.)
05:IDEA:理想
06:Heaven
07:I’m Crying
08:Clockwork
09:Not Over You
10:The Unknown Sea
11:Blue
12:G.O.A.T
13:The Rizzness
14:Sexy In The Air
15:MOVE
16:WANT
17:Criminal
18:Horizon
アンコール
EN1:Danger
EN2:Crush
EN3:Say Less
(韓流ぴあ/坂本 ゆかり)