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【新しいお店、見つけた!】漁師町の誇りを未来へ。4代目が守る「鈴甚丸」の伝統の味と挑戦

浦安に住みたい!Web

浦安駅の裏手、昔ながらの情緒が残る当代島エリア。その一角で、創業50年以上の歴史を持つとんかつ店「かつ甚」を受け継ぎ、この夏リニューアルオープンしたのが「鈴甚丸」です。地域の人々に長年愛されてきた「かつ甚」は、サクサクのとんかつを、リーズナブルに楽しめ、どこか懐かしい雰囲気を持ち合わせる魅力の人気店でした。体調を崩された前オーナーに代わり、お店とその伝統の味を守り受け継ぐ決意をしたのが、ご主人の甥っ子の息子さんであり、江戸前「忠七丸水産」の4代目鈴木知浩さんです。

忠七丸4代目の鈴木知浩さん(写真中)、漁師であり「鈴甚丸」責任者の大野圭太さん(写真左)、忠七丸の事務と販売も手伝う鈴木さんの妹 光波さん。
店内は16席、地元の方々が多いイメージですが、若いカップルやお一人での来店も多いそう。貸切りも可能。

「50年以上続いたお店の味を引き継ぐことに、相当なプレッシャーがあります」と鈴木さん。リニューアル前には、仕事仲間の大野さんと共に、前オーナーから受け継いだとんかつなどのレシピをもとに味の再現に真剣に向き合い、常連さんに試食をお願いしながら、「かつ甚」の味に仕上がるまで試行錯誤を重ねてきました。味を引き継ぐだけでなく、忠七丸ならではの新鮮魚介を使った定食を展開することも、鈴木さんにとっては「大事な使命」です。忠七丸の最大の特徴は、現役の漁師が活躍されていること。かつての浦安は漁師町として栄え、半農半漁の暮らしでした。しかし、黒い水事件などによる汚染水問題が深刻化し漁場環境は急激に悪化。漁業ができない状況下に、さらにテーマパーク誘致、昭和37年には一部の漁業権、昭和46年には全面的に放棄。町民の多くが生計を立てていた漁業を失うという、大きな転換期を迎えました。失われた職と生活の間で、計り知れない苦労と葛藤があったことでしょう。当時、鈴木さんの祖父であり2代目の鈴木志知郎さんらは「自分たちの職業を絶やしたくない」という強い想いから、その後東京都の漁業権を取得。浦安での漁ができなくなった後も東京から漁を続けています。

お昼も夜も人気メニュー「刺身3種盛り定食」(昼1,300円夜1,450円)はこの日、中落ちマグロと鯛、サーモン。中落マグロはとろけるようなねっとりしたマグロが絶品。
お昼も夜も定食でいただける「かつ甚」の、「とんかつ定食」(昼1,200円夜1,400円)サクッと口当たりの良いとんかつは三元豚を使用。さらに一品メニューも増えています。
「鈴甚丸」の名は、曾祖父( 初代) の名前、鈴木甚吉氏から受け継がれています。「かつ甚」はその名から生まれた、歴史を受け継ぐ名前なのです。
夏は夜中の2 時に出港し、3時ごろには漁場について網を張るそう。海の上はいつでも命の危険と隣り合わせ。陸に上がれば加工、販売、お店の準備と、誰かの「美味い!」のために日々汗を流します。

そして現在、4代目となった鈴木さんは「忠七丸水産」を率い、全国メディアに取り上げられるほどの存在に。漁だけでなく豊洲市場への直送・卸業、水産加工、店頭・出張販売も賑わいます。新たに新事業の飲食店を始めたばかりの鈴木さんは、実は漁師になって1年たっていません。家業の手伝い、漁師になる前は市内で教員をしており、人気の先生だったそうです。公務員から漁師という驚きの転身ですが「やはり漁業は残すべきもの、歴史的背景にも胸を打ち、覚悟を決めました。漁師が減っている中、少しでも興味を持ってくれるように、店頭での販売だけでなく、今後もさらに展開をしていきたい」と話します。時代を超えて、2つの想いを重ねた「鈴甚丸」。懐かしさを感じる「鈴甚丸」へぜひ足を運んでみて!

タイミングが合えば、昼どきに朝獲れの新鮮な魚介を味わえることもあります。現在は調理スタッフが増え、見た目も味も幅が広ったお料理が楽しめます。
元々市内で教員を務めていた鈴木さんならで
はの繋がりで、店先での店頭販売を土日各
所にて行っています。

鈴甚丸
浦安市当代島1-13-8
☎ 047-351-0648
月・木- 日:11:00-14:00(LO13:30)
月・金- 日:18:00-22:00(LO21:15) ※木曜日はランチ営業のみ
定休日:火曜・水曜

※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2025年11-12月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。

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