ワサビの栽培にもAIが活躍!?どこでも栽培、いつでも収穫
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今日は、お寿司やお刺身などに欠かせない「ワサビ」の話題です。
AIも活用してコンテナでワサビ栽培
ワサビは通常、水が綺麗な山あいなどで育てられますが、いま「コンテナ」の中で、AIも活用したワサビ栽培の取り組みが進められています。半導体商社大手の株式会社マクニカ テクスターカンパニー 栗本欣行さんのお話です。
株式会社マクニカ テクスターカンパニー 栗本欣行さん
我々のワサビコンテナは、栽培サイクルが12ヶ月くらいですね。これに対して露地物、天然物は2年かかるんですよ。それが今、半分くらいになっています。いろんな環境を、コンテナの中なので再現できるんですよ。光とか、水の量、温度とか、空気の温度だとか、CO2の濃度だとか。それらがワサビに最適な環境を作れるので、期間が短くできる。コンテナだと、どこでも置けるんですよ。例えば、銀座のお寿司屋さんの近所にコンテナがあれば、そこでワサビとってこれるんですよね。大将が朝ワサビをとってきて、その場で、する。夕方でもいいと思うんですけど、夜の食事の前にワサビをとってくることができる。どこでもすぐとれるというのがコンテナのいいところかなと思います。ワサビコンテナにAIがどう活用されているかなんですけど、今はワサビがどう育っているか。例えば大きさがどう変化したかとか、葉っぱの色がどういう色なのかとか、正しく成長しているのかというのを、AIを活用することで監視できるようにしています。
この取り組みは2023年から、コンテナを開発する農業ベンチャーの「NEXTAGE」と一緒に行っているもので、マクニカが技術協力しています。
今回コンテナで育てているワサビは、高級寿司店などで使われることが多い、「真妻(まづま)ワサビ」という品種。日本食ブームなどでワサビ需要が高まる中、露地栽培は収穫までに2年かかり、天候の影響を大きく受けるので栽培が難しいんです。実際に台風や大雨、気候変動の影響などで、ワサビの収穫量は年々減っているそう。その点、コンテナだと今は半分の期間で、最適の環境で栽培ができるということです。
今回取材したワサビは、新横浜駅から歩いてすぐ、マクニカ本社近くのコンテナで栽培。東海道新幹線がすぐ横を通るような場所にありました。長さ12メートルの白いコンテナで、中をのぞくと白い棚に1株ずつ綺麗に並べられていて、合わせて1800株のワサビが育てられています。栽培に適した一定の温度になるよう管理し、LEDライトを使って明るさも調節しています。さらに、AIを使って遠隔で監視・モニターして、成長のデータを集めています。
試食した寿司店の店長は
コンテナで育てられたワサビを試食した、横浜市の寿司店「すし勝」の店長 大橋宣孝さんに、ワサビの感想を聞いてみました!
横浜市の寿司店「すし勝」の店長 大橋宣孝さん
鮮度の違いにビックリしましたよね。その日にとったワサビって、僕たちなかなか買うこともできないし、朝とったワサビを使える感動は、かなりありましたね。まずやっぱり香り、爽やかなんです。全然違うので感動しましたね。育てる場所は限られていますから、その中でコンテナで管理してできるというのは画期的なことですから。インバウンドもあるし、ブームですごく需要がありますから、そういう部分ではすごく期待して。
すし勝の大橋さんが話していましたが、香りが爽やか。食べてみると最初甘みがあって、後からふわっと辛さがきます。
このお寿司屋さんでも露地物の真妻ワサビを市場で買ってきて使っているそうなんですが、それと比べても「鮮度が違う。収穫してすぐに使えるのはなかなかないことだ」と話していました。
マクニカは、このワサビを販売しているわけではなく、ワサビ栽培用のコンテナを販売していて、都会でもどこでもワサビが栽培できる環境を提供することで日本食文化、ワサビの魅力を伝えていきたいということでした。
将来的には食材ごとに風味を変えたワサビが誕生!?
コンテナで、しかもAIを活用しているこのワサビ栽培ですが、今後AIを使ってどのようなことに取り組みたいかなど、再び株式会社マクニカ 栗本欣行さんのお話です。
株式会社マクニカ テクスターカンパニー 栗本欣行さん
カメラだとか、いろんなセンサーでデータをとって、それをAIを使うことで、人間が認識できない、例えばワサビの成長の差みたいなところがとれると思って期待しています。我々はそこから、またさらにワサビがより成長促進するために、どういう環境を再現したらいいのかというのを、ワサビ栽培のレシピを開発するために、AIを活用したいと思っています。AIを使ってもっと短く、もっと美味しいものというのが作れたらいいなと思っています。一つの可能性は、まだ全然できていないんですけど、味を変えられないかなと思っていて、例えば本マグロに合うワサビの風味とか、イカに合うワサビとか、エビに合うワサビとか、そんなことができたら面白いなと思っています。
食材ごとに風味が違うワサビ、近い将来、出てくるかもしれませんね。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)