これこそプロの業 居合術家が行う「甲冑の飾り付けビフォーアフター」に驚愕
アパレルにおけるマネキンの着せ付けは、初心者と熟練者で大きな差が出るものですが、それは甲冑においても同様であるもよう。そのビフォーアフターを自身のXに投稿したのは、ギネス世界記録を6個保持するなど、居合術家として活躍する町井勲さんです。
ビフォー状態でも素人目におかしさは感じませんが、町井さんが飾り付けしたアフター状態と比較すると一目瞭然。甲冑から威厳や迫力を感じさせる仕上がりとなっています。
4月より自身が運営する修心流居合術兵法修心館の稽古場を、北伊丹と多田神社境内にある政所殿に移すことになった町井さん。これに伴い、道場のウェブサイトも改訂する必要があり、稽古場の写真を撮影する際に、多田神社の宮司に政所殿の中に飾られている甲冑二領の飾り付けを任せてもらったのがきっかけだったそう。
肩幅や頭身など全体のたたずまいを美しく見せるために、町井さんが用意した鎧立てを使用し、腰の太い紐は「五月人形感」が出てしまうため除去。
また、「本来、有事の際にすぐに着用できるように飾るべき」という甲冑本来の役割を持たせられるよう、すね当ては広げた状態で飾り、面頬(顔の部分)や毛沓(けぐつ)と呼ばれる靴状の物も、現代物であるため鎧櫃(鎧を収納する箱)の中に納めるなど、細かく手直しが行われています。
中でも「籠手の位置と袖の位置決め」は、見栄えが大きく変わるポイントだそうで、中に詰めものを行わず、籠手を形成する鉄の部品がよく見えるよう、籠手自体を少し広げたように変更。
配置も胴の前側ではなく、左右側面に腕立て伏せをするような形で配置させることで、甲冑に横幅を持たせ、威厳ある飾り付けにしているとのこと。感覚ではなく、理論に基づいての飾り付けは、まさしくプロだからこそ成せる業と言えるでしょう。
このビフォーアフターには、「心が入りましたね」「飾り方だけでこんなに!これはすごい!」と、投稿を見た多くの方が、その差に驚きの声を寄せています。
なお、多田神社の政所殿には、通常は一般の方は入れないそうですが、事前問い合わせの上、町井さんの居合道場稽古日に来場すれば見学可能とのこと。また、多田神社宝物殿にある甲冑も、近々町井さんが飾り付けしなおす予定とのことでした。
<記事化協力>
町井勲@日本刀を守りたいさん(@IsaoMachii)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025042604.html