【川崎市麻生区】金程中吹奏楽部 「チーム金程」で掴んだ金 東日本大会、初出場で快挙
川崎市立金程中学校(麻生区)の吹奏楽部が、10月11日に山形県で行われた東日本学校吹奏楽大会の中学生部門で金賞を受賞した。初出場となる同大会で好成績に輝いた。
「ミスもあり完全ではなかったけど、最高のフィナーレを飾れた」と笑顔で話すのは部長の山田貴子さん(3年)。同部は東関東吹奏楽コンクールで、30人以内の編成の「中学生の部B部門」で2位となり東日本の出場権を得た。東北や北陸など6つの吹奏楽連盟の代表校が出場する東日本は、全国大会がないB部門の最上位大会。中学生部門には30校が出場した。同部の曲目は「ゾウの足〜1986・4・26チェルノブイリ原子力発電所事故による〜」。ゾウの足は同事故で形成された巨大な炉心溶融物の塊を指す。歴史的事故を題材にしたスピード感のある難易度の高い楽曲を演奏しきった。
東関東大会は常連の同部。昨年は銀賞に留まり、今年は「東関東で金賞」を目標にしてきた。平日は下校時刻が決まっており、楽器の準備や片付けを含めると練習は1時間ほど。各自が朝練を重ね、放課後はひたすら合わせることに集中した。「生徒たちの一番の凄さは、コンクールにかける覚悟。塾などいろいろな事情がある中で、皆がほとんど練習を休まなかった」と顧問の白井勧也教諭。ほぼ全ての日程で全員が揃って練習できたといい、市、県大会と駒を進め、日々精度を上げていった。技術を磨く一方「伝える音楽」を目指し表現にも力を入れた。曲の一部に歌詞をつけて歌うなど工夫し「皆で情景を共有した」と山田さん。「良い音楽を作るためにぶれずに前向きに頑張る子たち」と尾形裕子顧問も太鼓判を押す。その甲斐あって東関東では「最高の演奏」ができ、迎えた東日本では出演順1番ながら初出場で金賞の快挙を手にした。「思い返すと一瞬。長く感じた練習も1回きりのもので、毎日に価値があった」と副部長の渡部(わたべ)晴乃さん。「スターではない普通の子どもたち皆が頑張って、チーム金程で掴み取った結果」と白井教諭は話す。
6人の努力、後輩へ
同部を支えてきたのは今回で一旦引退となる山田さん、渡部さんはじめ、小牧彩奏(あやか)さん、羽田(はだ)一花さん、中村妃七(ひな)さん、永井ひかりさんの6人の3年生。朝練を欠かさず努力する3年生の背中を見て、下級生がついてきた。「大会が進むたびにうれしくて、この部に入ってよかった」と小牧さん。途中入部だったという羽田さんは「自分はダメだと思うこともあったけど、金賞が取れて泣いた」と振り返る。中村さんは「コンクールの練習は後半に向けて楽しくなる。楽しかったことを思い出しながら、来年に向けて頑張ってほしい」、永井さんは「冬の基礎練習は単純だからこそ悩んで考えることも多い。それも楽しんで突き詰めてほしい」と後輩にエールを送った。