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スーツアクター事務所公認エンターテイメントユニット高田JAPANとは?ユニットを始めたきっかけを語る【月刊 高田JAPAN 第1回 2025年12月号】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

特撮ヒーローやキャラクターショーの世界で、芝居やアクションで魅了し続ける「スーツアクター」という職業。特撮作品やキャラクターショーでは欠かせない存在となっています。

近年では、作品情報と共にスーツアクターの発表は特撮ファンの間で話題となり注目されています。

アニメイトタイムズでは、業界内でもひときわ輝くスーツアクター事務所公認エンターテイメントユニット「高田JAPAN」の皆さんにインタビューを実施!

スーツアクターや役者として特撮作品を中心に活躍する高田JAPANの皆さんに、ユニット結成秘話やヒーローや巨大ロボのアクションについて「月刊 高田JAPAN」と題して3ヶ月連続で迫ります。

高田JAPANとは、監督の高田将司さん、蔦宗正人さん、伊藤茂騎さん、藤田洋平さん、草野伸介さんらスーツアクター事務所公認エンターテイメント(お笑い)ユニット。近年では共演した俳優や監督などのメンバーも参加し、年に数回イベントを開催している特撮ファン注目のスーツアクターユニットです。

第1回は、スーツアクターの仕事やユニット結成秘話をメンバーの皆さんに語って頂きました。

※藤田洋平さんは、連載第2回より参加となります

【写真】スーツアクターエンタメユニット高田JAPANとは?【月刊 高田JAPAN 第1回 2025年12月号】

スーツアクターの朝は、キャラクターのスーツを着るところから始まる

ーー自己紹介と趣味や特技を教えてください。

※高田将司(たかだ まさし) : ビュン・ディーゼル(『爆上戦隊ブンブンジャー』)、スパイダークモノス(『王様戦隊キングオージャー』)、キラメイシルバー(『魔進戦隊キラメイジャー』)などスーパー戦隊シリーズで多数出演し人気を集める。スーパー戦隊シリーズなどスーツアクターだけでなく役者としても好演。 2025年は、仮面ライダーカリエス(『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』)、ボッカ・ジャルダック(『仮面ライダーガヴ』)など仮面ライダーシリーズでも活躍中。

高田将司さん(以下、高田):高田将司です! 高田JAPANの監督でございます。1989年10月25日生まれ。野球が趣味で、メジャーに行ってる菅野智之、あと引退した中田翔、現役だと中村晃、益田直也が同い年です。よろしくお願いします!

※蔦宗正人(つたむね まさと) : ブンバイオレット(『爆上戦隊ブンブンジャー』)、ガオーン/ゼンカイガオーン(『機界戦隊ゼンカイジャー』)、キラメイイエロー(『魔進戦隊キラメイジャー』)などスーパー戦隊シリーズを中心に活躍。ヒーローショーの経験を活かし、作品内でもレギュラーヒーローや敵幹部キャラクターで注目を集める。

蔦宗正人さん(以下、蔦宗):いきなり野球選手の話(笑)。高田JAPANの鳩胸スマイルことJAE37期、蔦宗正人です。同い年は三浦大知さんです。特技は津軽三味線とジャグリング、けん玉です。三味線は小学4年生の頃からおばあちゃんが先生で、おじいちゃんも尺八の先生なんです。おばあちゃんに「たまごっちのゲームボーイソフト買ってくれたらやる」って言ってその流れでやらされたんです(笑)。珍しい特技はありつつ、最近はなかなか弾けていないのですが……。

※伊藤茂騎(いとう しげき) : ゴジュウウルフ(『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』)、ブンブラック(『爆上戦隊ブンブンジャー』)、クワガタオージャー(『王様戦隊キングオージャー』)などスーパー戦隊でレッドや追加戦士など様々なヒーローを演じ活躍。身体能力を活かしたアクロバティックなアクションで、ルパンエックス/パトレンエックス『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』では大きな話題を呼ぶ。

伊藤茂騎さん(以下、伊藤):伊藤茂騎です! 高田さん、ツタさん(蔦宗さん)の間の1988年12月20日生まれです。皆さんご存知のハンカチ世代の生まれですね(笑)。趣味というか日常的に筋トレしています。 基本的にBIG3(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)と懸垂です。よろしくお願いします!

高田:ハンカチ世代!揃ってるねー(笑)。

※草野伸介(くさの しんすけ) : カジキイエロー『宇宙戦隊キュウレンジャー』などレギュラーヒーローや虎龍攻神(『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』)、キングキャンデラー(『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』)など巨大ロボを担当。映画やドラマなどのスタント、アクションシーンでも活躍。

草野伸介さん(以下、草野):高田JAPANのMC担当の草野です。1990年9月17日生まれ、35歳になりました。子供と仲良くなることが得意です。趣味はいっぱいあります。ラジオも好きだしプラモデルも好きだし、自転車漕ぐのも好きだし、燻製とかも。広く浅くやっています。

一同 :燻製!

草野 :家に燻製のキットがあって燻しています。桜チップとかやっています。プラモデルは、積んじゃってるのもあるんですけど、SDガンダムが好きです。よろしくお願いします。

ーースーツアクターのお仕事について教えてください。一般的なイメージだと特撮作品やヒーローショーでキャラクターのスーツを着て芝居をするお仕事かと思います。1日の始まりはキャラクターのスーツを着るところから始まるのでしょうか?

高田 :仕事の内容は仰る通り、キャラクターを着て芝居したり、役者の吹替のスタントやアクションをしています。

まずタイツを恥ずかしげも無く履く! スパッツや海パン姿になってから、タイツを履く。それがもう幕張だろうが、岩船山だろうが関係無く場所問わず、季節問わず着替えていますね(笑)。朝はその格好するところからみんな一律でスタートです。

ーースーツの下にはスパッツや海水パンツを履くんですね。

草野 :普通のトランクスとかよりも、海パンの方が落ち着く感じになっています。海パンの方が履いている時間が長い日のほうが多くなっちゃってるので。夏は短パンも履くんで下に履いていることがあります。休みの日でも海パン履いてる日がありますね。

伊藤 :逆だな。すぐ脱ぎたい。緩ませたい。

蔦宗 :俺はもう水着じゃなくてスパッツ。

高田 :スパッツが多い。

伊藤 :僕も今年からスパッツなんですよ。

蔦宗 :前はシアターGロッソでヒーローショーをやってる時は、余裕のない感じでやってたんだけど。キツいのが嫌だなと思って、余裕を持たせています。

伊藤 :長時間履いてると疲れますよね。ギュッとしちゃいますね。

蔦宗 :締め付けがね。自分のサイズよりちょっとキツい方がいいのかなとか好みはあるから。

ーーヒーロー、怪人キャラクター問わず、スパッツや海パンを履くんですか?

高田 :スーパー戦隊のキャラクターですね。

伊藤 :どちらかというと、怪人は目立たないんです。

蔦宗 :ブーメランの人と、普通にスパッツとか、海パン系の人に分かれますね。

高田 :普通に長いタイツ履いてって人もいますね。

蔦宗 :最近は目立たないのも増えてきてるんで、そういうので賄ったりします。

草野 :結構、戦闘員をやる時も海パンを履いてやっていますね。タイツは着替えたりしたら、早めに乾いたりするので、気持ち悪い時間は短くなったりするんです。

蔦宗 :水着なのはめっちゃ汗かくからってことなのかな? ラインが出るのもそうだけど、どうなんだろう?

伊藤 :どうなんですかね。 昔はピッチリ出来るのが海パンぐらいしか無かったはずなんですよ。それがずっと伝統的に続いているのはあるのかな。

蔦宗 :ヒーローの色によっても、膨張色だと気にしたり。イエローの時は気にしよう。それこそ乳首が目立っちゃう問題とかもあるので、ガムテープを貼る時もあります。先輩も、そうやっているのを見ていたので。

草野 :汗をかくと余計にラインが出たりするんです。

蔦宗 :イエローの時は貼ってました。スーツがタスキみたいにはなっていたので、一応保険として。別に気にしなければいいんですけど一応。でも、貼ったら貼ったで四角く残るので、絶妙なところなんです。個人差はあると思うんですけど、そういうのも気にしたりはしていますね。

補助はアクションの登竜門 スーツアクターになるきっかけ

ーー特撮作品のスタッフロールを見ると、キャラクターを演じる方だけでなく、いわゆる補助でアクション現場を支える方のお名前もクレジットされています。撮影現場ではどんなことをされるのですか?

蔦宗 :お手伝いですね。 一番最初の登竜門じゃないですけど、撮影現場に入ったら補助をやるところからです。

伊藤 :やることとしてはキャラクターの面(マスク)を付けたり外したりしたり、着るのに演じるアクターが手の届かないスーツもあるので、スーツを着る手伝いをしたり、脱がしたり。あとアクションの時に使うマットを出したりとか、アクションやお芝居の方のセーフティーもひっくるめて、色々やっています。

蔦宗 :結構、身の回りのことは何でもやる感じです。

伊藤 :東映さんの作品以外の、別のアクションがある作品も多いので、そういう場に出るためにも、一律して覚えられる場所なんです。アクションに必要なことをそこで学んで、外に行った時も出来るようにするために行っています。「補助」って言いますけど、本当にいろいろ助けてもらっています。

蔦宗 :いないと出来ないもんね。最初は補助で手伝いだけで、若手のところは「これだけか。モチベが...」みたいなのは感じるかもしれないですけど、自分が役をやる側になってサポートしてもらった時に、「ああ、ありがたい!」みたいになるんです。

意識が1個変わるんです。やりやすい現場にしようとか。役に集中して貰うために、邪魔しないようにどうケアしようとか、夏の暑い時とかは特にワンカットごとに面を外してとか、色んなことをケアしながらサポートします。そういった意味では周りを見なきゃいけないし、補助が一番大変っちゃ大変かもしれない。

ーー東映特撮以外のアクションがある作品に関わるためにも、補助は大事な経験になるんですね。

伊藤 :マット出すとかはどこでもやります。役者さんに肘膝のサポーター入れるとかも、結構任されたりするんです。

蔦宗 :役者さんにアクションをしてもらうときのケアとか、安全にやるように教えたりとか、アドバイスしたりとかも、他の現場だとあります。役者さんと関わることが、より密にあるんです。

高田JAPANの始まり、メンバーとの出会い

ーー事務所公認スーツアクターユニット「高田JAPAN」はどんな結成経緯だったのでしょうか。

高田 :最初は『宇宙戦隊キュウレンジャー』が最初で、『キュウレンジャー』の撮影が始まるってなった時に先輩が多くてこれは大変だぞと。

草野 :しょっぱながね。伊豆大島の泊まり込みのロケに行くぞってなったんです。

高田 :「大変だ!若手が少ない!」って。みんなで若手で一丸とならないと乗り切れないぞと!個人で頑張ってるだけじゃ、ちょっと辛いなっていうので、最初に僕と草野くんがいて、洋平(藤田洋平さん)も交えて、3人で「木偶NO☆ボーイズ」を結成したところからが、全てのスタートです。そこで共演していた南圭介も一枚噛んでましたけど。洋平が最初に見抜いた男なんです。

草野 :「あの人ポンコツだぞ!行けるぞ!」みたいな(笑)。

高田 :結局現場で、同じぐらいの若手メンバーっていうので、ツタ(蔦宗さん)もその時怪人やっていて、シゲ(伊藤さん)もオレンジでやってくれてたんでね。年近いメンバーで、ギュッとまとまろうっていうのが、これが本当に一番最初です。みんなで飲み会しよう!がメインなんですけど。だからといって撮影現場で、よし頑張るぞとかは別にないけど、各々頑張って終わった後に「頑張ったなー」って。その時間がやっぱ大事というか、終わった後が大事なんです。そのための高田JAPANでしたね。

ーー高田JAPANメンバーの皆さんの出会いはいつ頃なんですか?

高田 :ツタとは一年違いなんで、養成所のスタートから知っていますし。シゲは『獣電戦隊キョウリュウジャー』くらいの時に来て。舞台とか別の現場ばっかりで特撮の現場には行ってなかったので、『キュウレンジャー』で久々に来たなってぐらいだったんです。別にその時はお酒も飲まずにおとなしくしてたので。

伊藤 :本当にそうですよね。高田JAPANでお酒を覚えました(笑)。

高田 :草野くんはどこか全然覚えてないな。

草野 :僕は『手裏剣戦隊ニンニンジャー』で怪人やって、その辺からですかね。テレビで皆さんと一緒なのは。 ツタさんとはシアターGロッソを見に行った時とかですね。

蔦宗 :そうだよね。怪人をやりだして、たくさんやってたよね。「RED(草野さんの事務所レッドエンタテインメントデリヴァー)の新しい人いいね!」ってなってた。

ーー草野さんは、高田JAPANの中で唯一事務所がREDですが、事務所が違ってもメンバーの皆さんと仲良くなるきっかけがあったんですか?

草野 :ありがたいことに当時スーパー戦隊の現場は、福沢さん(福沢博文アクション監督)がやられていて、その事務所のメンバーっていうので、皆さんが気に掛けてくれる方が多かったんだと思います。それで皆さんには良くしてもらいました。

ーー高田JAPANはスーツアクターだけでなく、最近では監督や俳優さんもメンバーとして参加しています。

高田 :ブラックホールみたいにいろんなおじさんを飲み込んでって(笑)。

蔦宗 :最初に飲み込んだのは加藤弘之監督?

高田 :『キュウレン』や『ルパパト』(『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』)ぐらいの時に、いい意味でおかしくなった気がするんです。『ルパパト』で顔出しで警察官役で使ってくれて。そこら辺から、よくお喋りしてくれます。

草野 :加藤監督も現場が長いベテランの方なんで、他のベテランの方たちとはいろいろお話されているイメージがあるんですけど、 僕たちのところになんか降りてきてくれたというか。シゲさんのやってた怪人でずっといじってたりとか。

高田 :飲み込まれにきてくれた(笑)。

蔦宗 :喋り話してくれて、こっちもちょっとずつみたいな、高田さんみたいにこう行けない感じで(笑)。 僕も『キュウレン』が初めてで、撮影は『VSシリーズ』でたまに行くくらいの時期だったんで、関係性が出来ていなかったんです。

僕は最近、この数年ぐらいで僕からも喋れるようになったというか、僕は大罪を犯してるんです。加藤組で、ナパーム爆破(※)の失敗を若手の頃に....。

(※)ナパーム爆破とは、ガソリンなどの燃料を使った爆破演出のこと。特撮作品ではヒーローの名乗りや必殺技の後ろで使われることが多い。

蔦宗 :Vシネマ『帰ってきた特命戦隊ゴーバスターズVS動物戦隊ゴーバスターズ』で、代役で全員揃いのナパーム爆破で「バスターズ、レディーゴー!」があったんですけど、一人だけもう盛大に転けて、ボカーンからコケるっていう、最大の大罪を犯し、今でも一番のやらかしというか……。

本当に優しい福沢さんとか操演の人も、「もうあと1回しかないからね」みたいな。そこから天気も悪くなっちゃって...。本当にそれを1回目の高田JAPANのイベントで、謝罪したんですけど。それが根っこにあったんで、フランクに行けなくて。加藤監督は全然そんなこと気にしてなくて。勝手な負い目があって、やっと認識もしてもらえて。話せる今は本当にありがたいなと思っています。

ーーナパーム爆破の撮影は、慣れている皆さんでも緊張しますか?

伊藤 :そうですね。動きによりますね。

蔦宗 :回転して決めポーズ決めるとかだとすごい足場を確認したり、本当に緊張しますね。

草野 :カメラのコマ数が上がってるんで、鳴った瞬間に動き始めたりしないと、鳴った、動いたとかがあるんで、みんな見えないし聞こえないと思うんですけど、すごく集中してるとは思います。

ーー音は聞こえるんですか?

蔦宗 :爆発音なので聞こえていますね。あとめっちゃ熱いのは熱いです。

伊藤 :見せる方もそうですけど、その仕掛けに時間がかかるんです。ガソリンとかもそれなりに使って、そんなに弾数があるわけじゃないんで、何回もできないぞって緊張感がありますね。

高田 :タイミングを測って、「これぐらい爆発しますよ」って言われるんです。だから「カメラはこれぐらいのサイズにしましょうか」とか準備していますね。

蔦宗 :ここ近いから位置ずらそうかとか、走り抜けるタイミングとか調整してるよね。

ーーVSシリーズでは、人数が多い中でナパーム爆破を背景に名乗りポーズや走り出したりしますよね。

蔦宗 :『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』は人数が多かったですね。端の人が真っ直ぐ走ってもフレームアウトしちゃうから、カメラの向こうの幅もないところに斜めに走らないといけない。その絶妙な部分がめっちゃ難しかったです。「先輩はこういうのもやってるんだ。こういうところを気にしてるんだ。」って見てるだけだと、全然わからないことをやってみると痛感しますね。

ーー蔦宗さんはヒーローショーから映像作品の撮影現場に移った時期ですよね。

蔦宗 :たまにVSシリーズとかで撮影に行かせてもらって、急に芝居とか色々やらせてもらうことが多くなって。その不意のアクションとか芝居が全然駄目で難しいなって。そういうのが何回もありましたね。だからこそ撮影現場に行かなきゃって気持ちになって、シアターGロッソを抜けようと思ったんです。やっぱりやらないと分かんないなと。

ーーキャラクターの面を付けての芝居は、最初はかなり難しいんですね。

伊藤 :僕は面の芝居というか、もう全部がもうほぼ初めてぐらいの時期だったんで。僕は『仮面ライダー』の方で、撮影現場に行くことが多くて。今井靖彦さんの代役で怪人をお願いされて、「なんで僕なんだろう?」っていうのがまずあったんですけど、「やらせてもらえるなら、やります!」って言ってやった時に、面をつけるとかっていうより、お芝居が初めてすぎて。「いいのか?これで?」とか思ったんですが、ひたすら今井さんが演じてる過去の動画を見ましたね。

蔦宗 :無我夢中でやるしかないみたいな感じだよね。

伊藤 :そこから『キュウレン』の最初でパイロットで岡元次郎さんとやるって怖さ。

草野 :その一対一も見てましたし、伊豆大島では高田さんと一緒にやったりしましたね。

高田 :夜の記憶と吹き替えやった記憶しかない。吹き替えでゴロゴロ転がった記憶しかない(笑)。

草野 :『劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』のおまけで『キュウレンジャー』が初めて出てくるシーンを撮った時に、ベテランのカメラマンの松村文雄さんに言われたことがあって、「今までは怪人ばっかり一人でやってたからいいかもしれないけど、これからはみんなでやるんだからお前一人じゃ駄目だぞ。」って言われたことがあったんです。

自分では気にしていたつもりではあったんですけど、ベテランの松村さんの目には、まだ合わせられてないっていうのが映ってたんだなと思いました。それがすごく印象的でした。

高田 :僕はアクションが苦手なので、面のお芝居が難しいっていうのはあんまりなくて。『仮面ライダーオーズ』の時に、最初に敵幹部のガメルをやらせてもらった時に、思いっきりやった方がいいんだなっていうのは思ったんです。台本だと台詞なくてもカットがかかるまで、ずっと何かやってたら石田秀範監督が「いいぞ、ジャパネット」って言ってくれたので(笑)。それがあったので、役として思いっきりやればいいかってなりました。

むしろ顔を出して芝居するのが最近の恒例になって。そっちの方が普段は面してるから、「これ大丈夫かな?」みたいなのは結構あります。あんまり気にしなくていいのかもしれないですけど。面してると、普通にカメラ見れちゃう。パッて確認しちゃうので。

草野 :顔を出したくてこの仕事とか始めたはずなんですけど、なんか今逆転してきています。

伊藤 :オレはなるべく出たくない(笑)。

ーー草野さんは、俳優志望だったんですか?

草野 :最初は俳優さんって感じですね。高校から演劇部とかお芝居を始めたりとかしたんです。

大学でお芝居を勉強していたんですけど、歌が上手いやつとか踊り上手いやつがいて、何にも特技とか、人になんか見せれるものがないなと思ったんです。じゃあ特技でアクションとか出来たらいいかなと思って、調べた時に「新堀和男」という社長のお名前を見かけ、色々調べてこの人に習ってみたいなと思い始めました。

伊藤 :僕のきっかけはアクションとかスタントマンになりたかったんです。親も真田広之さんが好きで、JACは知っていて、本当にアクションってJACしか知らないぐらいで。高校の時に一回入ろうと思ったんですけど、大学には入ってたんです。大学で過ごした結果、またやりたいなと思って調べたら、一番上にも出てきたんで、行ってみようと思って。ヒーローになったのは『キュウレンジャー』がきっかけだったんで。それまでは子供の時は見てましたけど、離れてから改めて見るとかもなくて、色々やらせてもらってるヒーローになることになりましたね。

僕は顔出しはなるべくやりたくないですけど、他はもう「全部やりたい!」って思ってたんで。「もう怪人だろうが、戦闘員だろうが、もう全部やらしてくれよ!」ってずっと思っていて。そこからきっかけ的に『キュウレンジャー』があって、使っていただけるようになったという流れです。だんだん面白みを感じていった方ですね。

蔦宗 :僕は元々特撮が好きで、シゲや高田さんよりは特撮を知っていて、「スーツアクターになりたい」って思って入ったんです。ジャッキー・チェンと仮面ライダーやスーパー戦隊の特撮が好きだったからです。

中学の時にジャッキーの真似をして飛び降りて、足の骨を四本折ったことがあるんです(笑)。上から見ちゃったもんだから、「飛び降りれそうだぞ!床近いぞ!」って思って。それが三味線の初めての演奏会の後にピョーン、ボキボキって...。

高田 :三味線ハイに(笑)。これは気をつけないと。

蔦宗 :皆さん気をつけて!中一の遠足も、潮干狩りも、一人海沿いで松葉杖で眺めてました...。それくらいジャッキーが好きで、仮面ライダーも好きでっていう感じでした。JACは知っていたんで、スーツアクターって検索すると出てくるので、「もう行っちゃおう!」みたいな感じでした。

ーースーツアクターになりたいと思っていた頃に憧れていたスーツアクターさんはいましたか?

蔦宗 :『仮面ライダーBLACK』や『BLACK RX』が好きなので、調べると「BLACKは岡本次郎さんって人なんだ」って思っていましたね。

ビデオを借りてオープニングをみて、「この人はこれなんだろうな」とか「レッドが一番上の人、高岩さんなのかな?」みたいな。そういうところから福沢さんとか次郎さんを知りましたね。『BLACK』と『クウガ』世代なので、「BLACKとクウガやってる人と同じ職業になる」って思ってました。

ーー高田さんは、アクション俳優の「ジャン=クロード・ヴァン・ダム」の影響だとか。きっかけになった映画はありますか?

高田 :僕が見て「アクションやろう!」って思ったのは『サイボーグ』というとてもつまらない映画で(笑)。でもその映画を見て「僕は開脚をするんだ」と決めたんで、それが中一です。中一の時に決めたんです。

蔦宗 :20年越しに開脚してるからすごいよね。

高田 :特撮をやってるっていうのは僕は養成部入ってから知ったんです。養成部入ったら周りの同期の人が、「仮面ライダーが好きで」とか言ってて、「仮面ライダーとかそういうのやってるんだ、へえー」ぐらい。入った理由は、本当に「開脚したいんで。」そしたら父親が「ここ履歴書出すといいよ」ってすぐ教えてくれたので。現場に行くようになると、いきなり「明日、仮面ライダーカブトの補助です。」みたいな。見てない番組だから何が行われるのか意味が分からないまま現場に行ってましたね。

ーー最近では特撮作品発表の時に、スーツアクターさん達も発表になって、話題になることが増えてきました。皆さんご自身はどんな風に受け止めていますか。

高田 :先輩のおかげ!

蔦宗 :それはもう本当にそうですね。知ってもらえる機会がなんか増えたのは嬉しいですけど、先輩方は、認知度的に、当時は今よりも影の職業というか名前を知ってもらうとかじゃなくて、みたいな。それを考えた時に本当に頭が上がらない。やっぱ知ってもらえるってのが、多少はモチベに繋がると思うんですけど、本当にすごいなと思います。

伊藤 :こうやって毎年イベントとかもさせてもらえてたり、ありがたいなって思います。

草野 :『絶対零度』の一ノ瀬くんとの吹替もご縁っていうか。 認知に繋がって素敵だなって思った。

伊藤 :あんなニュースになると思わなくて。 すごく話題になってありがたいですね。

スーツアクターという職業の名称について

ーー「スーツアクター」と言われることについても、さまざまな考え方があると聞きます。

高田 :僕は何も思っていません。

蔦宗 :上の世代の人は「俳優として」って考え方もあります。僕はスーツアクターを知ってそうなろうって入ってきたんです。「そういう名前なんだ」みたいな。最初はそれすらも分からなかったので「◯◯レンジャー 中の人」で調べてました。当時のホームページを見て「こういう職業があるんだ」って思ってました。今の世代の人たちは、上の方たちより区切ってないですね。

蔦宗 :職業欄で「スーツアクター」とか書いたことなくない?

伊藤 :ないですね。病院とかで最初に聞かれる時、「こういうことやってるんですけど、何て書けばいいですか?」って聞いて、「俳優とかアクション俳優でもいいんじゃないですかね」って言われて俳優って書いたりしますね。

高田 :自営業って書いてる。

蔦宗 :整体とかの時は、スタントマンみたいに書いてる。

伊藤 :こういうことをやってるんで、こういう体の痛がり方しますアピール(笑)。こういう重たいものを着たりして、無理な動きをしていますみたいな。 そういう時は使うかもしれないですね。

ーースーツアクターファンからの盛り上がりは感じますか?

草野 :ありがたいことにお手紙を頂いたりとかもあるんで、すごく感じますね。

蔦宗 :本当に「助かります!」って感じです。本当に嬉しいです。僕は舞台も映画も、めっちゃ良くても2、3回見るくらいなので。ときめいても5回以上行くかな?というのが、自分の中にあるんです。だからそれを超えた回数を来てくれる熱量がありがたい。

僕は俯瞰で見ちゃって……。好きなものにどっぷり熱量を注げるっていう羨ましさもあるんです。K-POPとか隣で見ているシゲの表情を見て楽しむぐらい(笑)。だから余計にありがとうございますって気持ちです。

ーー他のキャラクターショーからも影響を受けますか。

蔦宗 :子供の頃はディズニーは乗り物だったけど、仕事を始めてからショーを見るようになりました。ヒーローショーをやるので見方が全然変わって「ショーすごい」って思うようになりました。若手の頃、舞台にアンサンブルとかで出る側になって見方がガラッと変わって、「ミッキー、すごいカッコいい!踊れて、ドラム叩けて!」って思います。

グリーティングに初めて行った時の、ミッキーとして会えて嬉しいのがこういう感覚で「握手会とかもやらなきゃ」って思ってキャラクターのショーとか、パフォーマーやダンサーさんが好きになりましたね。そのエンタメ、パフォーマンスを見るのが好きになったんで、それをこう自分に還元するかみたいなのは増えましたね。

お客さんにならないとわからない視点とか、自分が出てるショーでも、「これはお客さんとして見たいなこのショー」って思ったりすることはありますね。不思議なんですけど。

高田 :撮影だと直接声も届かなかったりするんで、最近だとイベントをやって、これだけの人たちがわざわざ足を運ぶんだなっていうのが、目で見てはっきりわかるんです。やっぱり撮影だと感じないんです。Gロッソとかの方が断然お客さんとの距離が物理的に近いっていうのはあると思うんです。イベントやって、直接応援してもらうのがありがたいなって思います。

ーー伊藤さんは『爆上戦隊ブンブンジャー』では、シアターGロッソで行われたヒーローショーに参加していましたが、いかがでしたか?

伊藤 :生で見せるっていうのは、緊張感ありますよね。全員テレビと同じキャストでやっていたんで、変なものを見せられないというか。テレビのキャスト本人がやってるから、大体一緒なんですけど、やっぱり見てる側の人が、「わあ!」ってよりさせなきゃいけないっていう想いはありました。失敗とかっていうよりも「本当にブンブンジャーだ!」って思ってもらえるかって意識はありましたね。

蔦宗 :エグいぐらい緊張してたよね。緊張を言葉で出してたよね。

伊藤 :生で見せるとなると緊張するんですよ。最初から最後までずっと。撮影なんかよほどことがないと緊張しないんです。溜めておけない。

でもすごく良かったです。子供の声援を生で聞くパワーっていうのは、さっきツタさんの見てる側とやってる側の立場じゃないですけど、生でお客さんが頑張れって言ってる、声援とかを浴びると、また別の「ありがたい。嬉しい!頑張れる!」って感覚が出てくるんで、そういうのを感じれたのは良かったですね。Gロッソも面白いなっていうのはありますね。

(藤田洋平さんが取材部屋に登場)

藤田洋平さん :お疲れ様です!よろしくお願いします!

高田 :洋平、遅いよ!じゃあ洋平は次から参加で。洋平、自己紹介して!

ーー次回は藤田洋平さんも交えて、好きなアニメや特撮、演じるヒーローのアクションについて高田JAPANの皆さんが語ります。

[企画・インタビュー/田畑勇樹]

[取材企画協力/合同会社FPTD 髙栁優一、取材協力/鶏あえず 野方店]

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