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愛され続けた無頼派作家に迫る特別展「没後70年 坂口安吾展 あちらこちら命がけ」が11月30日まで、『神奈川県立神奈川近代文学館』で開催中

さんたつ

01_坂口安吾_自宅書斎で_1947年(撮影・林忠彦)-

原稿や書簡、遺品など多くの貴重な資料により、坂口安吾(1906~1955)の実像に迫る「没後70年 坂口安吾展 あちらこちら命がけ」が2025年11月30日(日)まで、横浜市の『神奈川県立神奈川近代文学館』で開催されている。TOP画像=坂口安吾 自宅書斎で 1947年 撮影=林忠彦。

数々の伝説的エピソードを彷彿させる品々が一堂に

『狂人遺書』原稿 聖徳大学・聖徳大学短期大学部蔵。

豪放な生きざまの無頼派作家として、不動の人気を誇る坂口安吾。その自由で大きな精神は、今なお人々の心をとらえ続けている。

小説『風博士』などで注目された安吾は、その後、長い放浪時代を送る。敗戦後まもなくエッセイ『堕落論』や小説『白痴』を発表し、混迷の時代におけるカリスマ的存在となった。以後、『桜の森の満開の下』『不連続殺人事件』『青鬼の褌を洗う女』『肝臓先生』『夜長姫と耳男』『信長』など、数々の作品で文壇に異彩を放ち、戦後10年を駆け抜け、48歳で急逝した。

展覧会の担当者は「『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』などの作品で知られる無頼派作家・坂口安吾。その伝説的なエピソードの数々とともに、生涯と作品を紹介する展覧会です。トレードマークの眼鏡をはじめ、未発表書簡や初公開の原稿など、約400点を展示。撮影コーナーでは『二年ほど掃除をしたことのない』書斎を模したスペースで、安吾になりきって記念撮影ができます。併設の『鮨喫茶すすす』の展覧会限定メニューもオススメです」と見どころを語る。

さまざまな角度から浮かび上がる“坂口安吾”から、実像に迫りつつ、改めて安吾の魅力にふれられる内容になっている。

愛用の眼鏡 個人蔵。
1949年闘病日記 『新潟市所』蔵。
ローライコード 新潟市所蔵。

関連イベントも開催

坂口安吾展記念朗読会「桜の森の満開の下」ほか

11月15日(土)14時~、俳優の加藤翠氏と二胡奏者・歌手の中川えりか氏による朗読会が『神奈川近代文学館』展示館2階ホールで開催。定員220名、座席自由。参加費1000円。チケットは来館時に直接、またはローソンチケットにより購入。

第53回文芸映画を観る会 坂口安吾展記念上映「カンゾー先生」

11月21日(金)・22日(土)各日13時30分~、「カンゾー先生」(1998年 東映)の上映会が『神奈川近代文学館』展示館2階ホールで開催。定員220名、参加費一般1000円(友の会会員800円)。チケットは来館時に直接、またはローソンチケットにより購入。※この上映会は、文芸映画を観る会・神奈川近代文学館友の会向け会員制行事のため、初めて参加する人は上映会当日の入会登録(登録無料)が必要。

坂口安吾展スライドトーク

会期中の毎金曜日の各日14時~、展覧会担当者によるスライドトークが『神奈川近代文学館』展示館2階ホールで開催。定員220名、参加無料(要観覧料)。申し込み不要。

開催概要

特別展「没後70年 坂口安吾展 あちらこちら命がけ」

開催期間:2025年10月4日(土)~11月30日(日)
開催時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(ただし11月3・24日は開館)
会場:神奈川県立神奈川近代文学館第2・3展示室(神奈川県横浜市中区山手町110)
アクセス:横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩10分、JR京浜東北線・根岸線石川町駅から徒歩20分
入場料:一般800円、65歳以上・20歳未満および学生400円、高校生100円、中学生以下無料
※障がい者手帳をお持ちの人とその介助者1名は無料。

【問い合わせ先】
神奈川県立神奈川近代文学館☏045-622-6666
公式HP https://www.kanabun.or.jp/

取材・文=前田真紀 画像提供=神奈川県立神奈川近代文学館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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