【衆院選解散】コラム第7回「石破新総理の元で自民党は変われるか? 総選挙での自民党と野党の攻防を展望」竜哲樹(元上越市議会議員、元産経新聞記者)
国民的人気ある石破茂新総理の今後を占う
先の総裁選、首班指名を受け、石破茂氏が102代内閣総理大臣になり、いよいよ解散総選挙が始まろうとしている。
政治と金の問題で苦境にある自民党はやはり、選挙の顔として国民的人気のある石破氏を選んだ。この総選挙で自民党は当選者数の減少をどれ位に抑えることが出来るのだろうか。巷の予想で言われるところの30人前後に止めることが出来るのか、それとも与党として過半数維持が不可能な歴史的大敗となるのだろうか。大変注目されるところだ。
一方、立憲民主党は野田佳彦代表になり、政権交代を声高に叫び、野党連携を訴えている。こちらの方も、果たしてまとまるのだろうか。野田代表の政治改革の訴えが、金の問題で政治不信を持つ国民、有権者に大きく響くかどうかに懸かっている。こちらも注目だ。
総裁選でも言われた刷新感だが、67歳の石破新総理が試されるし、自民党立候補予定者総体に対しても保守層のみならず国民全体に響くのだろうか。国民の関心は果たしてこの金の問題だけで選ぶだろうか。それこそ社会福祉政策や経済・産業政策、安全保障政策、もっと幅広い言い方をすれば、内政・外交全体において、国民はどういう選択をするのだろうか。
もちろん、国民が総合的判断、政権選択も含めてどういう審判を下すのか。折しも世界全体の紛争はじめ、東アジアにおける軍事的緊張などの日本を取り巻く危機的状況も含めて、石破新総理が日本のトップリーダーとして乗り越えることが出来るのか、国民、有権者がどう評価し、どう投票行動に繋がるのか、注目したい。
新潟県における自民党と野党との攻防を展望
新潟県においても今度の衆議院総選挙は、新しい区割(6区→新5区)で行われるわけだが、果たしてそのことがどういう選挙結果をもたらすかも注目される。6区あった前回は小選挙区で、自民は2勝4敗だった。区割が変更されるも、自民は苦戦が予想される。自民は前回比例復活などで4人が当選となり、現在自民の衆議院議員は7人となっている(新たに無所属だった鷲尾英一郎衆議院議員が自民党に入党)。
小選挙区での自民党と野党の攻防を展望する中で、今のところ新潟1区に共産が立候補予定であり、1~3区の3つの選挙区に日本維新の会も立候補予定、新潟4区は自民現職2人と立憲1人で争う。いずれにせよ区割変更によっても大きな構図は変わらないものの、4区は最後には当然自民1人に絞られることになろう。
ざっと見通したところ、圧倒的に自民の強いところは見当たらない。金の問題も相まって、自民は苦戦が強いられるに違いない。日本維新の会も一時のような勢いがないことが、どう自民と立憲の選挙結果に影響を及ぼすことになるのか、中々見通せない。複雑なものが絡み合って、現時点で軽々に語れない。
自民党が変われるのか敢えて考察してみたい
石破新総理の元で自民党が本当に変われるのか考えたい。戦後、一時的な政権交代があったものの、ほぼ70数年間に渡り自民党が政権を担当して来た(最近約15年余りは公明党との連立政権が続いている)。
この間、金の問題などで自民党が何度も国民の怒りを買ったこともあった。しかし、その都度、乗り越えながら政権を維持して来た。「巨人・大鵬・卵焼き」ではないが、最大多数の国民を惹きつけながらどんな危機も突破して来たのだろう。悪く言えば、したたかさかも知れない。よく言えば、元々保守的な国民性をバックに、政策的にも国民に納得と共感を得て来たのかも知れない。
しかし、時代は刻々と変化しているし、しかも少子化時代を迎え、今の若者が大人になって行く20~30年後を想像した時に、国民全体の政府や政治に対する考え方、捉え方に変化をもたらすかもしれない。多様性が進み、デジタル化が拡充されていく中で、保守一辺倒ではなく、より一層平等や公平を求めていく国民の意識が変わっていくこともあるかも知れない。
もちろん、時代は変わっても、国家や政府の役割は国民生活を守り、経済を発展させることは元より、外交的にも国民の安全を守ることであることは変わることはないだろう。もっと違った言い方をすれば、自民党と野党の攻防はまさに、「政策競争」であり、「納得・共感競争」であり、「国民の幸せ競争」とも言えるのではないか。
時代の変化にしっかりコミット出来るいい意味での“大人の政党”として、大衆迎合ではない
真の国民政党として競い合って行ける政党として深化出来るかでもあるし、そして同じく真の意味での改革政党として凌ぎ合うことが求められていくに違いない。不動の政治理念や信念と同時に、どんな状況にも十分対応能力のある柔軟性を兼ね備えた政党こそ生き残れるのではないかと考えてしまう。
竜哲樹
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。