いれいす 初のドーム公演・ベルーナドーム2DAYSをサプライズ発表、エンタメ精神に満ち溢れたツアーファイナル・ぴあアリーナMM公演をレポート
いれいす Summer Tour 2024 Irregular Vacation -Island-
2024.8.28 ぴあアリーナMM
6人組歌い手グループ・いれいすが、全国ホール&アリーナツアー『いれいす Summer Tour 2024 Irregular Vacation -Island-』の最終公演を8月28日に神奈川・ぴあアリーナMMにて開催した。今年2月12日に念願であった日本武道館公演『いれいす One Man Live in 日本武道館「Irregular Dice」』を実現させたものの、翌13日に無期限活動休止を発表。しかし、3月3日には「3年以内に東京ドームワンマンライブを実現させる」という新たな“約束”を掲げ活動を再開。今回のツアーはその目標に向けた、新たな航海の幕開けと言える。
冒険をテーマにした今回のツアーは福岡、北海道、宮城、大阪、愛知と巡回したのち、旅の最終地=ぴあアリーナMMへ到達。8月27日にも同会場で公演を行ったいれいすは、28日のツアー千秋楽公演も3時間以上にわたるエンタメ精神に満ち溢れたステージを展開した。
ライブはメンバーの「会いたかったぜ、横浜!」「ぶち上げていくぜ!」を合図に、「SPLASH BEAT!!」から勢いよくスタート。海賊船や無人島をモチーフにしたセットを背に、6人はダンサブルなビートに乗せて力強い歌声を響かせていく。メンバーの自己紹介を兼ねた「推せるいれいすお飼い得!」、歌詞にアドリブも交えた「学級崩壊☆ですとろいやー」と曲を重ねるごとに客席からの声援はどんどん大きくなっていき、早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる。
最初のMCでは、海賊に扮したメンバーがこのツアーを通して無人島を訪れ、宝箱の鍵を探していることを告げる。そして、6人それぞれの自己紹介を済ませて次の曲「言いたいことがあるんだよーーー!!」のタイトルをコールすると、会場の熱気は再び急上昇。この曲からはメンバーが二手に分かれてトロッコに乗り、アリーナを移動しながら笑顔を振り撒き続けた。そんな中、ミディアムバラード「世界はそれでも進んでいく」では感情をたっぷり込めた歌声を響かせ、会場を感動の渦に巻き込んだ。
バンドメンバーによるインストパートに続いては、パーカー風衣装に着替えた6人がステージに再登場。エッジの効いた和テイストロック「百鬼夜行」やリズミカルなラップを交えた「Paparazzi」、緩やかなビートに乗せて妖艶なダンスを見せる「Clutch」、りうらがセンターに立ち激しいボーカルを轟かせる「ONE」と、変幻自在なサウンドとともにグループの多彩さを提示していった。
囚われの身となった6人が解放を賭けて笑いと戦う、「イレギュラーサバイバー」と題した幕間映像を経て、メンバーのソロコーナーに突入。悠佑がワイルドなボーカルとダイナミックなダンスで魅せる「自由争奪戦」を筆頭に、初兎がヘヴィなビートに巧みなラップを乗せる「Xos」、トリッキーなリズムの上でIfらしいクールさが際立つ「Take a risk」、疾走感の強いサウンドに乗せてないこが力強い歌声を届ける「超第六感」、-hotoke-のキュートさが大々的にフィーチャーされたデジタルテイストの「Twinkle Starlight」、重々しいビートにりうらがシャープなラップを被せていく「Tier-1-」と、6者6様の個性でオーディエンスを魅了し続ける。
さらに、初兎&悠佑が「Equal」、-hotoke-&Ifが「Drowned Mermaid」、りうら&ないこが「ANTI HERO」を歌唱するユニットパートも用意。初兎&悠佑のパートでは歌唱前に、初兎が「(自身の)お父さん以外で初めてカッコいいと思った男性。悠くんと同じステージに立つからこそ、自分も強くなろうと思った」と悠佑に感謝を伝える場面があったかと思えば、りうら&ないこのパートではりうらがこの日会場にいるという両親に向けて感謝を伝える一方で、-hotoke-&Ifは客席に向けてファンサービスを連発。さらに、ないこがりうらの両親に向けて「(りうらを)僕にください!」と懇願したり、最後にはりうらがないこを“お姫様だっこ”し、会場中が悲鳴に包まれる一幕もあった。
その後、幕間映像「イレギュラーサバイバー」後半戦がスクリーンに流れ、全員が解放される結果に。ハッピーな結末を受け、カラフルな衣装に着替えたメンバーがステージに姿を現すと「逆境STORY」からライブは後半戦に突入。エモーショナルな曲調とともに会場の熱気もどんどん高まり、ブレイクパートではオーディエンスの大合唱でさらなる一体感を作り上げる。続く「恋星エトワール」では-hotoke-を中心に、可愛らしいサウンドとダンスで観客を惹きつける。2曲終えたところで、ないこが「ライブもあと少し。ファイナルの、最後の最後だからちょっと寂しいな」と呟くと、メンバーがツアー6会場の最寄駅で散りばめられていた謎解きの破片について触れ、6問解けると観ることができる特別映像を会場にいるファンに先行公開。そんな特別な夏の思い出で会場中に温かい空気が充満すると、「自分らしさ」では6人の息の合った歌声が観客を包み込んでいく。そして、「のんすとっぷ!L♡VEサマー」「よっ!夏大将!LOVE紫外線」とアッパーな夏ソングを連発してライブ本編を終えた。
アンコールではTシャツ姿のメンバーが、いれいす第二章の幕開けに相応しい「Promise」を笑顔で歌い切る。曲のクライマックスでは客席に向けて銀テープが放たれ、オーディエンスのボルテージも最高潮に到達。その後のMCでは、ついに見つけた鍵で宝箱を開けようとするも、なぜか蓋が開かない。実は本当の宝は「6人の絆」であることが明かされ、メンバーと観客が一緒になって「しょーもな!」と叫ぶことに。そんなオチに対して、悠佑が「いれいすは6人ですけど、実は7人目のメンバーがいます……それは、お前ら!」と客席に向けて放ち、そのままトロッコに乗って「Seventh!」を届け、このツアーのエンディングに相応しい「いれいす海賊団の冒険譚-出航の巻-」で最高の一体感を築き上げて約3時間におよぶツアーファイナルを締め括った。
ここでライブは終了するはずだったが、ステージ上の宝箱が光を放ち蓋が開く。すると、スクリーンに「超重大発表」として11月30日、12月1日に埼玉・ベルーナドームでのワンマンライブ『いれいす One Man Live in ベルーナドーム「The Progress of Dice」 -Memory- / -Future-』の開催がサプライズ発表され、会場中にこの日一番の歓声が湧き起こる。この発表を受け、メンバーが再度ステージに姿を現すと、両公演ともセットリストのうち各10曲がリスナーからの投票で決定することを告げる。
このうれしい発表を受けて、ないこが「僕たちいれいすは、もともと無名の6人が集まったグループ。4年前に結成して、そこから3年で武道館を目指すという目標を掲げて、そこに向けてどんどん走り続けていきました。その間、どんどん仲間が増えていきました。それが、今ここにいるリスナーのみんなであり、このライブを作ってくれたスタッフや関わってくれたすべての人たち。そして、結成3年で本当に日本武道館ライブを達成しました。それが、今年の2月のことです」とここまでの道のりを語ると、客席からは温かな拍手が送られる。続けて、「東京ドームワンマンライブ。これが僕たちの次の目標であり、夢になりました。みんなに約束しました。僕らはもともと何もなかった、ゼロから始まった6人。絶対叶わないと思っていた日本武道館ライブを3年で、仲間と一緒に叶えた僕たちです。東京ドームはこの会場の4倍、5倍とめちゃくちゃデカいです。そんな会場を(ここから)3年以内に(リスナーで)埋める。正直、僕らも無謀なんじゃないかと思いながら描いた夢のひとつ。でも今回この全国ツアーを終えて、メンバー一同確信しました。俺たち全員で、絶対東京ドームに行きます!」と宣言すると、会場は大歓声に包まれる。そして、「そんな東京ドームに向かう第一歩が、このベルーナドーム公演。初のドーム公演、しかも2DAYS。そこを(観客で)埋めるのにも並々ならぬ努力が必要です。みんなの力があって、僕たち全員が成し遂げることができると思っています。今までもそうでした。これからもそうです。僕ら6人とみんな、7人目のメンバーと一緒に歩み続けます。どうか僕たちのベルーナドーム公演、応援して、一緒に歩んで、またベルーナドームで会ってくれたらうれしいです。どうかいれいすを、よろしくお願いします!」と次のステップに向けた意気込みを伝え、最後は6人がマイクを使わずに挨拶をして『いれいす Summer Tour 2024 Irregular Vacation -Island-』に幕を下ろした。
さらなる大きな夢に向けて、新たな旅をスタートさせたいれいす。無名だった彼らがたくさんの仲間を増やして最初の目標=武道館を叶えたように、ここからさらに大勢の仲間を増やして次の約束も果たしてくれることだろう。まずは、次のステップであるベルーナドーム2DAYS公演での6人の勇姿を、絶対に見逃さないでほしい。
文=西廣智一