【縄文ロマン】あの火焔型土器を土鍋に!「約5,000年ぶりの煮炊き」を再現・「縄文ギャラリーJOMON」
創業明治26年の老舗、小池ろうそく店(新潟市江南区)が自社敷地内に運営する「縄文ギャラリーJOMON」では縄文時代の土器・土偶のレプリカを数多く展示・販売している。また、そうした展示向きのレプリカの他に縄文土器を模した優勝カップなど、実用に転じた商品も開発・販売している。
このほど販売開始されたのは、新潟県に現存する唯一の国宝・火焔型土器レプリカをリメイクした土鍋(注・国宝指定は笹山遺跡出土品だが、土鍋のモチーフは馬高遺跡出土品)だ。実際に煮炊きできる縄文土器レプリカは、おそらく全国的にも唯一と思われる。まさに「縄文土器で約5,000年ぶりに煮炊きされる」というロマンあふれる商品。
セパレートタイプで、下部に固形燃料が格納される
小池ろうそく店4代目当主、小池孝男さんは「火焔型土器は、誰もが教科書などで知っているが、それが新潟県の長岡市や十日町市で出土したというのはあまり浸透しておらず残念。もっと多くの方に新潟県唯一の国宝を知っていただきたい」と話す。
火焔土器型土鍋「DONABE」は高さ17㎝、幅17㎝、重さ800gというサイズ。実際に使用するとなれば1~2人用か。価格は1体3万3,000円。
火が通りにくい時は、コンロに乗せて。このビジュアルも面白い
写真のように、センター付近で上下にに分割され、上部を土鍋として使用し、下部に固形燃料を格納して使用できる。上部の外側は素焼きで土器の質感を残しているが、内側は加工されて陶器になっている。
この日は「すき焼き」を盛り付けてみたが、シュールなインパクト満点のビジュアルに感動すら覚える。
「小学生の頃はオカルトブームがあり、そのころにピラミッドや超能力など、不思議なものへの興味が芽生えた」という小池さん。縄文文化への憧憬もその延長線上だが、新潟国体の際に陸上競技場で縄文式土器の聖火台を目にして触発され、土器型のろうそく立てを考案した。
当初、新潟に土器のレプリカを作る人がなかなか見つからず、陶芸家に頼んで作ってもらったが、手間がかかるうえに満足できる出来栄えではなかったのだという。そこで発想を変えて建築士に依頼し、3Dキャドデータから製作すると精巧に仕上がった。そうした経緯で2019年にギャラリーを開き、多くのレプリカを所蔵するようになった。
小池ろうそく店4代目当主の小池孝男さん(縄文ギャラリーにて)
「5,000年の時を超えた煮炊き」を実現する火炎土器型土鍋はまさに念願の品。
「個人の所有も大歓迎だが、ぜひ地元の温泉旅館やホテルなどで使っていただきたい。そうすることで県外客にも火焔型土器が新潟で出土したということを知ってもらえる」(小池さん)。
現在、生産体制は月産3個ほどで、数カ月先まで予約で埋まっているという。