伊丹の良さと伝統技術を生かす!まさに”日本のパン” 伊丹のパン屋さん『Itami Bakery』【職人こだわり「明日のパン」 Vol.6】
今年、4年ぶりにパンの消費量全国1位に返り咲いた兵庫県。たくさんのお店がありますが、種類や製造方法はそれぞれ違い、味わいも様々です。そんな個性あふれるパン屋さんを取材し、職人たちが認めた「明日のパンを買うのにおすすめなパン屋さん」をリレー方式で紹介してもらう連載企画!
小麦から人々の手元に渡るまで、マニアックすぎるこだわりを紐解きます♪
今回ご紹介するのは、伊丹警察署の近くに店を構える『Itami Bakery』。
店の前には伊丹市の鳥である「カモ」のほか、木の樽がたくさん並んでいます!実はこの樽が、同店のパンの重要な鍵を握っているのです(詳細はのちほど…)。
店に入ると、木を基調としたあたたかな雰囲気の中に大きなパンがズラリ!「日本の有機小麦を応援したい」という思いから、国産でオーガニックの小麦を使用しています。
店主の山中さんは東京や岡山、北海道、海外でのパン屋さんの開業支援など、経験を積んだ後に店をオープン。開店の際、山中さんが考えたのは「伊丹の良さを生かした”日本らしいパン”の製造」だったそう。
「パンは多くの場合、外国の作り方を主流としていますが、そこに日本の良さを加えることで”日本のパン”を作りたかった」という山中さん。行きついたのはフランスで昔から作られていた「ルヴァン」という製法でした。
伊丹市は「諸白(もろはく)造り」の清酒を日本で初めて製造した”清酒発祥の地”。山中さんはこの日本酒と「ルヴァン」の製造工程に共通点を見出し、”日本のパン”づくりに向けて一歩を踏み出したのです。
「日本酒はお米と水、麹を木の桶ですりつぶし、自然の乳酸菌や酵母菌を呼び込むことで”酒母”を作ります。酒造りにはこの酒母が大変重要で、これはパンの”種”にも同じことが言えます」と山中さん。
そこで山中さんは、いい酒母を作るために酒蔵が行っている「酛の暖気操作(だきそうさ)」をパン作りにも応用。温かいボトルを樽の中で上下させ、その温度変化で微生物を活性化させることで強い酵母菌を育てました。その結果、膨らむ力やパンの余韻を感じられるパンが出来上がったのだとか。
そんな過程を経て完成した “日本のパン”。店には5~7種類のパンが並びます。乳酸菌や酵母菌が交じり合いった複雑な味わいが特徴で、長いものだと冷蔵保存で2週間持つものもあるのだとか。さらに1日、2日と時間が経つにつれて味わいの変化も楽しめるそう。
今回いただいたのは「ブリオッシュ」。こちらもまた時間の経過とともに味わいがまとまってくるそう。
ほんのりとした甘さと酸味が味わい深く、噛めば噛むほど甘さを感じられます。最後にふわっと香る余韻が最高!こちらは発酵バターなどと一緒に食べるのがおすすめだそうです。
続いていただいたのは、その名前やフォルムがユニークで気になっていた「伊丹」!チーズと生ハムをのせて食べるのがおすすめということで、さっそく実食。
ほどよい酸味を感じられ、パン自体の旨みが抜群!こちらはスープなどと一緒に食べるのもおすすめということです。
「口の中に入れてたくさん噛むことで、その味わいをより感じられるパンになっています。なのでゆっくりと食事の時間を楽しんでほしい」と話す山中さん。
素材や具ではなく製造から「日本らしさ」を感じられるパンに出会ったのは初めて。このパンが日本中に広がり、世界にも届いてほしいなと思う記者なのでした。
場所
Itami Bakery
(伊丹市千僧6丁目9-9 タカラビル103)
時間
11:30~17:30
※パンがなくなり次第終了
定休日
不定休(Instagramにてお知らせあり)