「13年間“めいちゃん”として生きてきた全部をここにぶつけます!」 盟友の歌い手たちも登場した活休前ラストライブ・さいたまスーパーアリーナ公演2DAYSをレポート
めいちゃん アリーナライブツアー『太陽のマーチ』 DAY1:フェス
2024.6.15 さいたまスーパーアリーナ
昨年11月から今年の3月にかけて行ったワンマンツアー『僕等の色彩』のファイナル公演(東京ガーデンシアター)後に、活動休止の発表を行った歌い手・めいちゃん。ファンには衝撃が走ったものの、7月17日には2年ぶりとなるフルアルバム『やきそばパン』のリリースや自身最大規模のアリーナツアー『太陽のマーチ』(大阪城ホール&さいたまスーパーアリーナ)の開催を発表。活休前に多くのファンと向き合う機会を与えてくれた。ここでは大阪城ホール2DAYSに続いて行われた、さいたまスーパーアリーナ2DAYS公演の詳報をお伝えしよう。
まずは6月15日のDAY1。この日はフェスとしての公演である。しばらくお休みするめいちゃんを送り出すべく、天月、あらき、Gero、センラ、そらるという錚々たる仲間達が集結した。最上段まで埋め尽くされた会場の観客はペンライトを準備しつつ、開演を待つ。ほどなく照明が落ちてオープニングの映像が流れ、本日のゲストが紹介されていく。それぞれに大声援が上がり、場内のテンションが高まったところで、本編は「パンダヒーロー」でスタート。めいちゃんはステージ中央の床下から現れるというスタイルで出現。「会いに来たぞ、さいたま~~~!」と、冒頭から感情を爆発させる。埼玉県狭山市出身のめいちゃんにとっては、やはり“たまアリ”には強い思い入れがあるようだ。2曲目には「バレリーコ」を投入。コールで盛り上がる人気曲の連投に観客からも大きな声が出る。めいちゃんも「いけるか、さいたま~~~~!」と、煽りまくりで、すでに本編ラストブロック並みの熱さを生み出した。
この後のMCでも、アリーナ席から全エリアの客席に向けて「行けるか~!」と喝を入れ、ここで最初のゲスト、センラを呼び込む。会場のペンライトはめいちゃんカラーのオレンジと、センラのイメージカラーのイエローが同時に点灯し、ふたりで「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」を歌唱。息の合ったパフォーマンスはさすがだ。曲が終わると、めいちゃんはセンラに任せステージをあとに。このソロタイムにセンラは「脳内シェイカー」でグイグイ盛り上げる。彼の出番がそろそろ終わるかというタイミングで、なぜかスタッフがセンラにタオルを渡す場面が……。場内が“ん?”となったところでセンラがタオルを広げると、そこには“めいちゃん また一緒に歌おう”という文字が! めいちゃんを温かく送り出したいというセンラ流のサプライズだった。
センラのサプライズにほっこりしたあと、しっとりしたピアノのイントロに合わせて照明がブルーに変化。ここでイメージカラーが青のそらるがソロで登場。繊細な歌声で「きみも悪い人でよかった」を切なく聴かせていく。歌い手によって雰囲気が変化していくのもフェスらしいひとコマだ。続く曲では再びめいちゃんがステージに現れ、そらるとテンポよく「ダーリン」を歌い上げる。
続いて、歌い手シーンを牽引してきた天月が登場し、ソロタイムへ。ペンライトは彼のイメージカラーの赤一色になり、ピアノの伴奏から、「夜明けと蛍」が披露された。ファルセットを自在に操る天月のボーカルに観客は完全に引き込まれていく。圧倒的な存在感に大きな拍手が起こった。天月はここで「じゃあ、めいちゃんと一緒に歌おう!」と、めいちゃんを呼び込むと、全世代に認知されているであろうモンパチ(=MONGOL800)の名曲「小さな恋のうた」をふたりで熱唱! ライブは瞬時にして熱い展開に。客席では赤とオレンジのペンライトが激しく揺れ、フェスらしい一体感が生まれた。
曲が終わると、めいちゃんはここまでの参加メンバーをステージに呼び込み、それぞれに自身とのエピソードをリクエスト。ところが話はそらるの泥酔秘話に脱線(笑)。読めないトークの展開に場内は湧きまくった。
この後、ステージにはあらきが呼び込まれ、彼のソロタイムに引き継がれる。あらきはパワフルなハイトーンボーカルで「ヒバナ」を披露し、ハードなパフォーマンスで挑発。その後はめいちゃんと「偽物人間40号」をコラボし、場内はあらきのイメージカラーの赤とめいちゃんカラーのオレンジで情熱的な空間に染まった。
さぁ、次はいよいよ最後のゲストの登場である。盛り上げることにかけて最強の男、そしてめいちゃんとのYouTuberユニット・肉チョモランマでもおなじみのGeroがソロでステージに登場。「今から「うどん」という曲をやります!」と宣言すると、観客からは大歓声が。当然、めいちゃんファンにもおなじみの「うどん」は、ペンライトをぐるぐる回しながら、体も動かしていく振りがある観客参加型ソング。会場全体にGeroのイメージカラーである緑のペンライトで壮観なうねりが作り出された。曲が終わるとめいちゃんがGeroと合流。「マトリョシカ」へ。この辺りから本編後半を盛り上げるパターンに突入か……と思ったところで彼らが選んだ曲は肉チョモランマとして発表したアルバム『怪獣』(今年4月7日に発売)に収録した「雲を裂け」。まるでめいちゃんが活休する心情を綴ったかのような歌詞が美しいメロディーで歌われていく。めいちゃんとGeroの感情がヒシヒシと伝わる歌だった。歌い終わったあと、「ここで歌えて幸せです」と曲への思いを漏らしためいちゃん……ちょっと切ないモードになったところで、あらきがステージへ呼び込まれ、再びグループトークへ。地方での深酒話など、ネタのような面白話で、場内の空気がほぐれていく。気持ちが整ったところで、ここからは本編のラストスパートだ。あらきとGeroを送り出したあと、「もう少し僕単体で歌わせていただいていいでしょうか!」と、観客に投げかけ、めいちゃんは「アンノウン・マザーグース」へ。ファンとしては、やっぱりエンディングはアッパーに楽しみたいところだけに、観客の熱量は急上昇。ラストはめいちゃんの代表曲とも言うべき「エンジョイ」で、ハッピーに本編を締めくくった。
アンコールでは出演者がステージに大集合。改めてそれぞれがめいちゃんへのメッセージを送った。中でもGeroは肉チョモランマを結成したことで(悪い意味ではなく)、「めいちゃんはビジネスパートナーだった。やっぱりいろんなことを成立させていかんとこもあって。でも、僕はめいちゃんが休止することで少しだけ嬉しいことがあって、それはまた友達に戻れること。仕事を離れたところで、めいちゃんとまた友達に戻れる。これが本当に嬉しい」と偽らざる思いを吐露。めいちゃん、ここでかなりウルウルきていたようだが、踏ん張って感謝の言葉を述べた。その言葉の中で、もともとニコニコ動画にコメントしているようなキッズだったことや、いまだに人気の歌い手と肩を並べて歌っていることが信じられないこと、そしてこの日を迎えていることを語り、「今日は幸せな1日でした! ありがとうございました!」と、深く一礼、ここからしばらくは拍手が鳴りやまなかった。ただ、湿っぽくならないように、このタイミングで恒例の記念撮影。和気あいあいの集合写真をSNSでチェックした方も多いことだろう。大ラス曲はステージの仲間達と盛大に「小悪魔だってかまわない!」の豪華集団歌唱でフェスらしいエンディングを演出。観客も一緒になって声を出す。銀テープが飛び出して、賑やかにフェスが終了。
歌い終わると、めいちゃんは「また絶対どこかで会いましょう! 今日は本当にありがとうございました!」と、何度も何度も叫んだ。力強く歌い切っためいちゃん。まさに完全燃焼に思えたが、翌日はワンマン公演で、このアリーナツアーの最終日。どんな曲で攻めてくるのか……。やっぱり“めいちゃん”らしいステージを期待したいところだ。
めいちゃん アリーナライブツアー『太陽のマーチ』 DAY2:ワンマン
2024.6.16 さいたまスーパーアリーナ
6月16日、いよいよアリーナツアー『太陽のマーチ』の最終日――めいちゃんが活休前に行う区切りのワンマン公演の当日となった。前日(15日)はフェスとして、盟友の歌い手達と共に賑やかなパフォーマンスを繰り広げたが、この日はめいちゃん単独のライブである。選曲やライブに込めた思いは相当熱いに違いない。
開演時間となり、照明が落ちるとめいちゃんカラーのオレンジの照明が会場を照らす。ステージを覆っていた緞帳が上がり、弦楽器の穏やかなSEが流れると同時にスクリーンにはアニメーションのオープニングが流れ始めた。絵本から始まり、青空を飛んでいく鳥の背景には太陽が現れ、まるで太陽の街に迷い込んだような世界に誘われていく。そして画面に“太陽のマーチ”の文字が現れると、場内からは大きな拍手が起こった。映像の世界に引き込まれた直後、オープニングナンバーの「パンダヒーロー」で、会場は一気にフルテンションへ! 今回のアリーナツアーのキービジュアルと同じチェック柄のセットアップ衣装で登場しためいちゃんは「見せてくれ、さいたま!」と、観客をさらに鼓舞。2曲目にも必殺ナンバー「エンジョイ」を投下。攻めの曲順で、はずみをつける。
最初のMCでは「13年間“めいちゃん”として生きてきた全部をここにぶつけます!」と力強く宣言して、「物の怪の類」へ。彼自身による“この世界を死に物狂いで生きていく覚悟”を詰め込んだ強力なメッセージソングだ。このあとも「おとぎ話」や新曲「シャッターチャンス」(TVアニメ『2.5次元の誘惑(リリサ)』のOPテーマ)など、めいちゃんの“これから”を感じさせる意欲作が披露されていく。また、続くブロックでは「Bouquet」「ナンバアナイン」「ラプラス」「ラナ」など、計9曲をメドレーで歌い切った。バラードからポップチューンまで、彼のレパートリーは幅広い。限られた時間の中で、なるべく多くの曲を……というめいちゃんの気持ちが伝わる。
MCでは久々に歌ったという「ラプラス」について、「大丈夫でしたか?」と、観客に問いかける場面も。さらに、めいちゃんとしては活動休止という選択が決してネガティブなものではないということも伝えたかったのだろう。「復活したらめいちゃん何したい?のコーナーやりましょうよ!」と呼びかけ、会場から様々な声を拾いながら「武道館をやりたいよね! コロナ禍で武道館で声出しできなかったのよ。来てくれるかい!」(もちろん、現時点では未定)と発言。続けて「あ、東京ドームね!」と、大きな夢を語った。「無限なんですよ、めいちゃんがやりたいことは」――この言葉を聞く限り、彼の夢はまだまだ続いていくようだ。
中盤ブロックではクールで大人っぽい粋なナンバー「あっけない」で神業フェイクを響かせ、アップテンポの「フォニイ」では、ファルセットを駆使するなど、ボーカリストとしてのスキルを見せつける。「アンノウン・マザーグース」で盛り上げたあと、「話してよ」「帰り道」では、情感を込めた歌声で会場を酔わせた。「帰り道」でのアコースティックギターをバックにした歌唱には、めいちゃんの表現力の深さに改めて驚かされる。大きい会場ながら、めいちゃんの温かい声に包まれた印象的な瞬間だった。
気づけば、あっという間に最終ブロックの時間に……。温かい空気はめいちゃんも感じていたようで「ここで歌わせてもらって幸せです。実家の玄関みたい。また絶対この場に帰ってきたいと思いました」と、場内を見渡す。ちょっとマジメな空気になったところで、「盛り上がってますか?」と、笑顔を見せて、彼のライブではよく行われる“どこから来たの?”調査が観客を巻き込んで行われた。どうやら日本全国はもとより、今回も海外からも多くの“めいふぁみ”(=めいちゃんファン)駆けつけた模様。彼の魅力はボーダーレスなんだなぁと実感させられる。会場が湧いてきたところで、ついに最終ブロックへ。
早口で歌われる難曲「ライムライト」、めいちゃんが敬愛するBRADIOとのコラボ曲「ホレボレボリューション」、そして今年3月に配信リリースした超ドポップチューン「音色」などには、幅広い音楽性が詰め込まれ、音楽への飽くなき情熱を感じさせた。「音色」の後半では紙吹雪が舞い、華々しく本編ラストを飾る。エンディングには再びスクリーンにムービーが上映され、そこにはすっかり夜になった街の風景の場面が流れた。そのシーンは絵本のように閉じられ、ドラマチックな余韻を残す。
まだまだ終わりたくない観客のアンコールに応え、めいちゃんが再登場。ここで、ツアータイトルと同名の新曲「太陽のマーチ」がお披露目された。惜しみなく新しい側面を見せてくれることからも、彼が次のステップに進もうとしていることがわかる。ここでめいちゃんは長めのMCで今の思いを語った。
「楽しかったこと、嬉しかったこと、幸せだったこと、つらかったこと、いろいろ経験しまして、正直なんで続けているんだろうって思ったこともありました――何のために生きているんだろうって――でも、この瞬間、この幸せをみんなと共有することが本当にどれだけ幸せなことか……」と、言葉をつまらせるも、場内から一気に「頑張れ~!」の声が飛ぶ。そんな場内の声に応え、めいちゃんは「約13年間、皆さん、そしてめいちゃん、本当にありがとうございました!」と、きっちりと締めてみせた。
力強く自分の言葉で伝えきっためいちゃんには大きな拍手が送られる。この拍手を受けながら、めいちゃんが「また写真撮影するの、忘れちゃった(苦笑)」と場内をなごませた瞬間、スクリーンにはサプライズ映像が流れ始めた。今回のアリーナツアーのフェスDAYに参加したゲスト達(大阪城ホールのゲスト:あげいん、いゔどっと、伊礼亮/rairu、KOOL、3部、shack、Sou、雪見)、さいたまスーパーアリーナのゲスト全員)のコメントだけでなく、あらなるめいでタッグを組むnqrse、舞台裏でめいちゃんを支えたキマグレンのISEKI、「ズルい幻」や「あっけない」でコラボした川谷絵音、ライブで共演したオリンピアン、浜口京子と吉田沙保里、音楽プロデューサーの亀田誠治、「エンジョイ」を楽曲提供したゆずの北川悠仁(交友関係の広さがすご過ぎる!)などなど……。錚々たる面々からの言葉にはいずれも愛が溢れ、めいちゃんの愛されキャラが際立っていた。
仲間達の言葉をかみしめつつ、めいちゃんは「もう少し歌わせていただいていいでしょうか!」と呼びかけ、曲へつなげる。ここで「世迷言」を披露。アコースティック・アレンジからのバンドサウンドに展開していくドラマチックな楽曲はめいちゃんの作詞作曲。これも自身の思いが詰まった大事な歌だ。このあと、いよいよ最後の曲になるのだが、「まだ終わって欲しくないよな! 最初からやるか!」と、再び1曲目の「パンダヒーロー」へ。めいちゃんは、時折このような予定外の曲をぶっこんでスタッフを焦らせるのだが、ここでもぶっ込んできたか……と、ニヤリとさせられた。そして、最後はやっぱりこれでなきゃ終われない!という「小悪魔だってかまわない!」で、フィニッシュ。観客も最後まで笑顔で声援を届ける。
曲が終わっても、全方向の客席に向かって「ありがとうございました!」と、感謝の言葉を叫び続けためいちゃん。鳴りやまない声援と拍手の中、「愛してるぞお前ら! また絶対会おうな!」と、めいふぁみに宣言。このあたりでは、彼もファンも泣き笑い状態。めいちゃんはMCの中で、“めいちゃん”にも感謝という言葉をよく使っていたが、もしかしたら“めいちゃん”と本当の自分とのあいだに葛藤があったのかもしれない。ただ、とにかく歌が好きで、みんなを喜ばせることが大好きなめいちゃんだけに、きっと飛躍的な進化を遂げて戻ってきてくれるに違いない。会場の出口では来場者全員に“太陽は沈むが、また昇る。幸せをありがとう!”とめいちゃんの手書き文字が印刷されたカードが配られていた。短い文章ながら、ここに真実があるように思える。新しいめいちゃんに会える日は、そんなに遠い日ではないのかもしれない。来たるべき再会を楽しみに待ちたいと思う。
なお、7月20日(土)には、本公演(6月16日さいたまスーパーアリーナ)の配信ライブが決定した。
文=海江敦士
撮影=岡田裕介、松崎浩之、江隈麗志(C-LOVe CREATORS)、清水ケンシロウ