Yahoo! JAPAN

「待ち焦がれてた」「最高にワクワクする」ファン歓喜の最新作はガチ怖ホラー!『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』

映画評論・情報サイト BANGER!!!

「待ち焦がれてた」「最高にワクワクする」ファン歓喜の最新作はガチ怖ホラー!『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』

最新作『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』ついに公開!

マイク・ミニョーラによるコミック「Hellboy」は、これまで複数回にわたってアニメ~映画化されてきた人気シリーズ。地獄で生まれながらも人間として育てられ、異形の者たちと戦う主人公ヘルボーイの物語は神話と民間伝承、ゴシックホラーを融合させた独自の世界観でファンを魅了し続けてきた。

そして今年、7月4日(金)より完全新作映画『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』が全国公開。特報~予告映像には早い段階でファンから期待のコメントが寄せられていたが、本作はミニョーラ自身が脚本に参加したことでコミックに忠実な、原点回帰ともいえるフォークホラー的アプローチでも注目を集めている。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved.

原作コミックの背景と映画化の紆余曲折

全映画シリーズの原作であるコミック「Hellboy」は1993年にミニョーラが創作。地獄から召喚された悪魔の子“ヘルボーイ”ことアヌン・ウン・ラーマが、超常現象調査防衛局〈B.P.R.D.〉のエージェントとして人間世界を守るというストーリーだ。物語は単なる勧善懲悪にとどまらず、「運命」や「選択」、「人間性とは何か」といったテーマを内包した語り口で高く評価されている。

2004年にはギレルモ・デル・トロ監督による最初の実写映画『ヘルボーイ』が公開(主演:ロン・パールマン)。原作コミック「Seed of Destruction」をベースに、コッテリとしたビジュアルとエモいアプローチが印象的だった。そしてデル・トロは続く2008年の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』でもその手腕を発揮する。

よりファンタジー色を強め、ヘルボーイの「境界にいる存在」としての苦悩が丁寧に描かれた『ゴールデン・アーミー』。とりわけCGを多用しないクリーチャーデザインや世界観構築の面で、その美術的センスは実写化シリーズの象徴となった。ヘルボーイの仲間たちの心の機微も丁寧に描写された、号泣必至の感動作でもある。

2019年には『ディセント』(2005年)で知られるニール・マーシャル監督と『サンダーボルツ*』(2025年)のデヴィッド・ハーバー主演によるリブート版『ヘルボーイ』が公開。こちらもコミックの複数エピソードをモチーフに、ただしダークでバイオレントな路線を追求した意欲作だった。しかし制作トラブルや脚本上の問題も重なったようで、批評・興行ともに苦戦を強いられたようだ。

原作者肝いりの新作『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』

シリーズ2度目のリブートとなる最新作『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』は、原作の同名短編(2008年)のトーンにかなり忠実な実写化作品。1950年代末のアパラチア地方を舞台に、若きヘルボーイたちが“呪われた村”で悪魔と対峙することになる……というフォークホラー的なアプローチが特徴だ。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved

超常現象調査防衛局〈B.P.R.D.〉の捜査官ヘルボーイと新人エージェントのジョーが訪れたのは、アパラチアの山奥にひっそりと佇む寒村。閉ざされた土地で、怯えながら暮らす村人たち。そして相次ぐ奇怪な事件――そのすべては、「歪んだ男」と呼ばれる悪魔の仕業だという。

そんな中、一人の男が村へ戻ってくる。名はトム・フェレル。20年前に悪魔と契約し「魂を奪われた」と語る彼の帰還は、呪われた因縁を呼び覚ますことに。欲望に取り憑かれた魔女たち、魂を喰らう悪魔、そして決して逃れられぬ“契約”の呪い……。ヘルボーイは滅びの右腕を武器に、この地に巣食う闇を打ち砕く。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved

美しすぎるアジア系俳優アデライン・ルドルフに注目

監督を務めるのは、ジェイソン・ステイサム主演の『アドレナリン』シリーズ(2007年/2009年)や、ニコラス・ケイジ主演の『ゴーストライダー2』(2013年)などで知られるブライアン・テイラー。シリアスな中にも、思わず噴き出しそうになるテンション突き抜け演出を紛れ込ませるあたりが、いかにも彼らしい。しかし、やはり特筆すべきは脚本に原作者ミニョーラが参加し、シリーズ史上もっとも原作志向の作品になっている点だろう。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved

そんな本作でヘルボーイを演じるのはジャック・ケシー。『デッドプール2』(2018年)で秒殺されるミュータント、ブラック・トム(・キャシディ)を演じていた、あの人だ。また、〈B.P.R.D.〉の捜査官ジョー(※映画オリジナルのキャラクター)を演じる新鋭アデライン・ルドルフの美しさには目を奪われるはず。すでに映画『モータル・コンバット』の続編にも人気キャラのキタナ役で出演が決まっているアジア系俳優の注目株で、後半にかけて活躍する彼女の演技だけでも観る価値ありだ。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved

ヘルボーイが国民的キャラになるまで永遠に作り続けてほしいシリーズ

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』のベースになった同名原作コミックは、いわゆる民間信仰や宗教観をベースにしたストーリーでシリーズ屈指の支持を得る人気作。今回の映画化はその雰囲気を忠実に再現しようという意志が強く反映されており、魔女や悪魔などの伝承~オカルト要素、そして「地獄に生まれながらも人間としての尊厳を模索する存在」としてのヘルボーイ像を改めて強調している。

デル・トロ監督がオカルト全開のおとぎ話的ファンタジー嗜好を爆発させたような、過去シリーズで顕著だったコミック映画ならではの分かりやすい派手さは、本作には正直ほとんどない。それでもヘルボーイの出自と原罪の意識、からの呪縛というエモみを超えた切実さは、シリーズのファンでなくともグサリと胸に突き刺さるだろう。そのあたりをしっかり描写できるという意味で、また中規模作品を手堅く作り続けるという意味でも、短編(ミニシリーズ)の映画化は懸命なチョイスであり、その方向性が今後の映画化を導くのではないかとすら思う。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved.

今作の評価がどうあれ、ミニョーラが生み出したヘルボーイというキャラクターはあまりにも魅力的で、今後もコミック、アニメ、映画で永遠に活躍し続けるべき存在だ。ヘルボーイの盟友エイブ・サピエンや〈B.P.R.D.〉の面々が活躍するスピンオフにも期待したいし、近い将来かならず観られるはずと信じたい。

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』© 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved

『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』は7月4日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

【関連記事】

おすすめの記事