珍しいチョウを発見!ムシハカセ鈴木康博さん(千葉市在住)
ふわふわと優雅に舞う姿が魅力的なジャコウアゲハ。
このたび、ムシハカセの鈴木康博さんが、非常に珍しい姿のジャコウアゲハを発見し、チョウと昆虫の愛好家向け雑誌で発表をしました。
世界的にも珍しいメスの黒化型
麝香(じゃこう)のような甘い香りがすることからその名が付いたジャコウアゲハ。
幼虫が主な餌としているウマノスズクサには毒素があり、それを食べて育ったジャコウアゲハにも毒素が残っています。
そのため、鳥などに狙われることがなく、他のチョウとは異なり、ゆったりふわふわと舞う姿が見られます。
昨年6月、鈴木さんが自宅の庭にあるウマノスズクサの葉に8個の卵を見つけ飼育したところ、1匹だけ後翅(こうし)(※)に紋がなく真っ黒なチョウが誕生しました。
※昆虫の2対の羽のうち、後方の1対
驚いた鈴木さんはそれを標本にし、生物学者の福岡伸一さんに連絡。
すると、非常に珍しいということで雑誌に発表することに。
通常、ジャコウアゲハのオスは黒、メスは黄灰色の羽をしており、メスの中で今まで黒化型と発表されていたのは少し暗い色の紋があるもの(画像参照)。
今回発見されたものは完全に紋が消えていました。
「過去20年、600匹ほどチョウの卵をかえしてきたが初めての経験。これまでずっと関わってきた自然界から、ご褒美をもらったようだ。次のステップではDNAの研究をしたい」と、鈴木さんは熱っぽく語ります。
子どもたちの興味の世界を広げたい
鈴木さんは現在、千葉市都市緑化植物園でみどりの相談員をしています。
植物や虫に関する相談に乗るほか、こけ玉作り、ラベンダースティック作り、昆虫クラフト作りなどの市民向け講座も開催。
鈴木さんが昆虫に興味を持ったのは小学生の頃。
昆虫好きのいとこから虫の捕まえ方を教わったのがきっかけで、手元には中学生の時に作成した昭和40年代からの標本が残っています。
その時のわくわくした気持ちを携え、地域の学校に出向いて授業を行うことも。
オオムラサキとジャコウアゲハを子どもたち自身の手で優しく包んでもらい、羽のはばたきの違いを体感してもらう時、子どもたちは感激するそうです。
「将来の可能性の一つとして、こういう分野があるということを知ってもらいたい」と話してくれました。
※講座情報などの詳細は、千葉市都市緑化植物園のHPで確認を
※問い合わせ
電話番号/043-264-9559
千葉市都市緑化植物園