【青春18きっぷおすすめ旅】 名古屋発日帰り、うっとり優美な“お茶の京都”の旅(関西本線・奈良線ほか)
日本茶といえばの宇治をはじめ、歴史あるお茶の名産地が勢ぞろいの京都府南部と滋賀県へ。暑い夏は、すっきり爽やかお茶づくしの旅に出かけましょう。
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【日帰り】
名古屋駅→関西本線・奈良線・東海道本線→名古屋駅
名古屋駅→加茂駅 “お茶の京都”1つ目の町・加茂へ
宇治をはじめとする京都府南部の山城地域は、日本有数のお茶の名産地。鎌倉時代に中国から伝わって以来、800年にもわたって日本茶文化が育まれてきた。そんな日本茶のふるさとをめぐり、さまざまなお茶と歴史を味わう旅へと出発。
関西本線の関駅で途中下車し、関宿をぶらりと散策。そして、2023年にデビューしたラッピング列車「お茶の京都トレイン」に乗り込み、一路京都を目指す。最初の“お茶の京都”は木津川(きづがわ)市。「市の加茂や上狛(かみこま)地域はかつてお茶の集積地として栄えた場所なんですよ」。加茂駅の『大佛汽茶(だいぶつきっちゃ)』の店主・古屋研一郎さんがそう教えてくれた。
【加茂駅】『大佛汽茶』地産和紅茶と真紅の汽車の歴史を味わう
地域で生産されるお茶とかつてこの地域を走っていた大仏鉄道をテーマにしたカフェ。「地域の歴史や産業の素晴らしさを再発見できる交流空間になれば」と店主の古屋研一郎さん。くつろぎの空間で和紅茶をゆったりと味わいたい。
☎0774-99-2050
土・日・祝の10:00~16:00(月~金は予約で営業)
京都府木津川市加茂町兎並東前田23-1 2F
JR関西本線加茂駅から徒歩1分
【加茂駅】真紅の汽車のいた町
【棚倉駅】「神童寺」優美でキュートな仏像に癒やされる
静かな山間にある、聖徳太子が創建したと伝わる古寺。収蔵庫には重要文化財である平安古仏が数多く安置される。なかでも不動明王立像は螺髪(らほつ)に白い彩色というお姿が珍しく、県内外から多くの仏像ファンが訪れる。
☎0774-86-2161
9:00~17:00、無休。500円
京都府木津川市山城町神童子不晴谷112
JR関西本線棚倉駅から車10分
加茂駅→宇治駅 “お茶の京都”2つ目の町・宇治へ
その後はお茶の名店が数多く集まる宇治駅へ。せっかくならここでしか飲めないお茶をと向かったのは、『Matcha Roastery(まっちゃ ロースタリー)』。“ロースト抹茶”という珍しいドリンクで小休止。
【宇治駅】『Matcha Roastery』お茶の都で焙煎香漂う抹茶発見
看板商品は抹茶の原料・碾茶(てんちゃ)を焙煎し、石臼碾きにした“ロースト抹茶”。抹茶本来の風味を生かしつつ、焙煎の香味でさらにまろやかな旨味とコクが楽しめる。老舗組紐店の離れを改装した和モダンな店内には心地いい時間が流れる。
☎0774-34-1125
10:00~17:00LO、不定休
京都府宇治市宇治妙楽146
JR奈良線宇治駅から徒歩6分
宇治駅→名古屋駅 まだまだお茶を求めて、滋賀県大津まで
旅の終わりは大津駅にある『中川誠盛堂(せいせいどう)茶舗』へ。実は大津は日本茶の祖といわれるところで、「最澄が延暦24年(805)に中国から持ち帰った茶種を大津の里に蒔かれ、育った茶樹がいまも残っています」。そう話す5代目店主の中川武さんのお茶にまつわる話は興趣が尽きず、差し出された煎茶のおいしさがまたお茶をめぐる旅を格別のものにしてくれる。
【大津駅】『中川誠盛堂茶舗』貴重な銘柄が勢ぞろい。日本茶の祖を訪ねる
安政5年(1858)創業という歴史ある茶舗で、取り扱うのは煎茶だけでも100種類以上。最澄が植えたとされる幻の銘茶「日吉茶園」をはじめ、近江三大産地の朝宮、土山、政所(まんどころ)のお茶など、この店でのみ手に入るものも多数。
☎077-522-2555
9:00~19:00、不定休
滋賀県大津市中央3-1-35
JR東海道本線大津駅から徒歩5分
取材・文・撮影=野上知子
『旅の手帖』2024年7月号より