<アマダイ釣り>で釣れるゲストたち 食べてみると美味しい魚ばかり?
冬に旬を迎える魚はたくさんいますが、相模湾の遊漁(釣り)においては<アマダイ釣り>が盛んになる時期です。
水深100メートル付近まで攻めるアマダイ釣りでは、本命のアマダイ科のほかに様々な魚が見られ、小型のハタ科やヒメ目の魚、トラギス科の魚は定番のゲストといえます。
これらのゲストたちはリリースされることが多いものの、実は味の良い魚も少なくありません。
赤くて長い魚“アカタチ”
船のアマダイ釣りでは、陸っぱりの釣りでは見られないよう魚が多く釣れます。中でも、アカタチ科の魚は特に面白い見た目をしています。
アカタチ科の魚は日本で8種知られていますが、アマダイ釣りでよく見られるのはイッテンアカタチとスミツキアカタチ。どちらも深場の砂泥に穴を掘って生活をし、“アカタチ”というだけあって赤くて長い体を持ちます。
この2種は似た環境で釣獲されるほか、形態的にもよく似ています。一方、スミツキアカタチでは上顎の膜に黒斑があるのに対し、イッテンアカタチでは背びれの前半部に明瞭な黒斑を持つことから区別することが可能です。
味についてはどちらもうま味が強く非常に美味であり、刺身はもちろんのこと加熱しても美味しく食べることができます。
よく似たカレイ目の2種
砂泥底を狙うアマダイ釣りでは、カレイ目の魚が釣れることも少なくありません。
特によく見られるのが、カレイ科のムシガレイとヒラメ科のタマガンゾウビラメです。
どちらの種も有眼側に眼状班を複数持つことから、しばしば混同されていますが、ムシガレイは頭部が右を向くのに対し、タマガンゾウビラメは左を向くことから容易に区別することができます。
また、ムシガレイはやや大型になるものの、タマガンゾウビラメは体長20センチ程度の小型種です。
味はどちらもよいものの、タマガンゾウビラメは小型種であることに加え、独特な匂いがあることから食用として避ける人も少なくありません。しかし、タマガンゾウビラメは干物にして食べると非常に美味な魚であり、広島県では「でべら」と呼び、高級魚として扱われています。
通常、アマダイ釣りではまとまった数が釣れないことが難点ですが、一度食べてみる価値はある魚でしょう。
深場の“あやかり鯛”たち
日本には4600種を超える魚が生息していますが、名前に「タイ」と付く魚が多く、そのほとんどはタイの仲間ではない(タイ科ではない)魚、いわゆる「あやかり鯛」と呼ばれる魚たちです。
アマダイ釣りにおいても「あやかり鯛」たちは見られ、アズマハナダイやヒメコダイなどのハナダイ科の魚やシキシマハナダイはその定番といえるでしょう。
中でも、ヒメコダイは味がよく別名「アカボラ」とも呼ばれ親しまれている魚です。他のハナダイ科は市場でみられることは少ないですが、ヒメコダイは食用として一般流通している魚で、底曳網で漁獲された個体を市場で見ることができます。
ヒメコダイは揚げ物で食べると美味であり、背開きにしたものを天ぷらや唐揚げにするのが定番です。
ゲストも食べてみると結構美味しい
釣りへ行くと、つい本命ばかりキープしてしまいがちですが、気まぐれで持ち帰ってみたゲストが意外にも美味しいということもよくあります。
釣果が振るわなかった時は、普段持ち帰らないような魚を食べてみてはいかがでしょうか。釣りの楽しみ方がさらに広がるかもしれません。
(サカナト編集部)