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25年2月号「料理王国大賞 2025」 アンケート 川井 潤さん

料理王国

25年2月号「料理王国大賞 2025」 アンケート 川井 潤さん

料理王国創刊30周年を記念して、昨年から始まった「料理王国大賞」。本年度もたくさんのシェフたちにアンケートにご協力いただきましたが、実はシェフ以外の3名の食の有識者の方々にもご協力いただきました。ここではウェブマガジン限定で特別に、彼らのご回答を公開します。3人が2024年をどう捉え、2025年に何を予測しているか?ぜひご覧ください。

Q1.
2024年(1月〜12月の期間)に注目・活躍されたと思われるシェフのお名前(料理ジャンル不問)を1名から最大3名まで、その理由と併せてご教示ください。

荻野亮平「四川料理 巴蜀」
信州大学に唐辛子発酵を勉強するために毎週通うほど料理に対しての研究熱心。
地域別、時代別の「棒棒鶏4種」などが提供され、例えば1930年頃に生まれたと言われる棒棒鶏の発祥の地=楽山市の棒棒鶏の再現(辣より麻の山椒が効いている)がされたり、単なる美味しさから、さらなる次元へ向かっている。もう一つ重慶の隣接州では1960年代に棒棒鶏の細切りで胡麻ダレタイプが作られた。このタイプがその後、日本に渡って来た再現など提供されて面白い。

宮脇健太「宮わき」
荒木町時代からやっていたアラカルト方式を赤羽橋に移転してから、さらに高級日本料理店としてアラカルトオーダー出来る方式を確立。今後の一つの流れを作りそうな店になっている。

田中俊祐「日本料理 崇」
元々、京都 菊乃井で10年修行、後に生まれ故郷にて2021年に開業。32歳。地元の客を大切に、値段も抑え来やすくさせていたり、料理も客の入店時から炭火で焼き始め、丁寧に2時間近くかけて焼き上げた地元で獲れた川魚(3月訪問時はヤマメ、10月訪問時は鮎)を出す。裏庭の自家農園で採れた野菜、周辺の人たちから手に入れたキノコなど、ローカルガストロノミーも大切にしている。先付からお造り、椀もの…など全て、丁寧にきめ細かく仕込まれ、全て誠実な料理を出してくる。

Q2.
2024年のフード&レストランシーンを象徴するキーワードやテーマとして、どのようなものがあると思われますか?

A.2
・誠実な料理
偽装や誤魔化しなく、価格にしても誠実な店が重宝される。

・アラカルト(客本位)
ここ数年はコース料理主体で、店側に客が合わせていた時代だったが、高齢化による少食化も傾向として出てきているので自分の好みの料理を好きなだけ選んで食べる客主体の方向へ。

・サスティナブル(自然、無添加、無農薬、発酵)
ただ美味しさの追求だけでなく、社会との共生をテーマにすると自ずと料理は自然との共生も目指すことになる。従来捨てていた食材の活用法、食材の新たな解釈、再構築など、料理を新しい次元で考えるシェフの出現もある。
(「四川料理 巴蜀」荻野亮平シェフ、「宮わき」宮脇健太シェフ、「日本料理 崇」田中俊祐シェフ、「Naz」鈴木夏暉シェフ、「TOEDA」戸枝忠孝シェフ、「無名」唐木正文シェフ 、「Noeud.TOKYO」中塚直人シェフ、「ダ・フィオーレ」眞中秀幸シェフ)

Q3,
2025年のフードシーンにはどのような動きがあると推察されていますか?

A.3
・人それぞれの好みでの分散化
みんなが同じ人気店、評判店を志向する事の終わり。ファインダイニング、大衆料理店、町料理などなど、自分の好みの先鋭化。

・一店豪華主義
可処分所得の中でのここだけは行くなど、選択をし始める。

・インバウンド富裕層や食マニアと、一般大衆の乖離
食通の三日月湖化、憧れることのない層に分離していく=昔のオーディオマニア的な特別(特異)な人たち的位置付けになる。

・一億総グルメの崩壊
高額化、食事はエンタメと言った要素の減少、店の数の多さに辟易=ミシュランの店が多すぎて意味をなさない…。

川井 潤

企画プランナー、渋谷区CFO(Chief Food Officer) 2019年就任〜現在、西会津町応援大使2024年〜、フジテレビ「料理の鉄人」1993年〜1999年 企画ブレーン。
現在、食品メーカー数社、IT企業数社、コミュニティ運営会社、博報堂DYメディアパートナーズ等、多業種のアドバイザーを務める。

WEBマガジン「東洋経済オンライン」にて食のサスティナブルをテーマにした連載、その他産経新聞にてお取り寄せ商品紹介、幻冬舎ゲーテなどでの執筆活動、食べログマガジンにて店舗紹介やふるさと納税お取り寄せ商品紹介。食べログフォロワー数日本No.1(2025年1月現在6.17万人)。

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