横浜市 小学生に朝の居場所 荏田東第一小でモデル実施
朝早く出勤をしなければならない共働き家庭を想定し、小学校の始業前に子どもが過ごせる環境を整える「小学生の朝の居場所づくりモデル事業」が都筑区でも始まった。横浜市では実施校の利用状況や他都市の事例を見ながら全区展開を検討していくとしている。
「小1の壁」対策
モデル事業は、保育所から小学校へ上がった際に直面する「小1の壁」対策を念頭に置いたもの。
通常、朝7時30分から子どもを預かる保育所に対し、小学校の昇降口は概ね8時過ぎまで開かないため、保護者の勤務時間が早かったり、通勤に時間がかかる場合、子どもを家に残して出勤せねばならない状況から、仕事を辞めたり、働き方を変えざるを得ない問題が生じていた。
そこで横浜市は「小学生の朝の居場所づくりモデル事業」として予算化。昨年度、青葉区の美しが丘東小学校と美しが丘小学校の2校をモデル実施校とし、7月から事業を開始。今年度は前年度の2校に、8校(8区)を加え10校に拡大、都筑区では荏田東第一小学校がモデル実施校に指定され、4月末から実施されている。
「離職も検討」
利用には事前登録が必要で、夏休みなどの長期休業日を含む平日午前7時から8時。登校時は保護者の付き添いが必要で、利用時間内は校内に用意された居場所で、読書をしたり、塗り絵をしたりして過ごす。利用時間内は(公財)横浜市シルバー人材センターから派遣されたスタッフ3人が校門と居場所で見守る仕組み。利用料は無料。保険料が年800円かかる。
荏田東第一小学校では、第一音楽室を居場所として使用。現在、新1年生2人が登録している。利用がある日にスタッフらが所定の保管場所から椅子や机、ゲームや塗り絵、本などを準備する。
制度を利用している地藏由恵さんは共働きで、昨年度は近隣の保育園に朝7時30分から子どもを預けていた。地藏さんは他にも2人の保育園児がおり、4月の小学校入学から同校で居場所づくりのモデル事業が始まるまでは、3人の子どもを連れ保育園まで行き、2人を預け一度帰宅。小学校の開く時間にあわせ、連れ添って登校。再び帰宅し、その後車で出勤していた。「この事業が無ければ勤務形態を変えてもらうか転職せざるを得なかった。とても助かっている」と事業を歓迎する。地藏さんは週4〜5回利用しているという。
市内では4月末時点で108人が利用。最も利用児童の多いのは、青葉区の美しが丘東小学校で19人。