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2025「SDGs達成度ランキング」上位50&下位10一覧、日本は19位

ELEMINIST

世界の国々が取り組むSDGsの達成具合を示したのが、「SDGs達成度ランキング」だ。最新の2025年版から、トップ50とワースト10の国、日本の順位を紹介しよう。さらに、2030年までに17ある目標のうち1つも達成が難しいという世界の現状について解説する。

SDGs達成度とは

SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のこと。世界が一体となって取り組むべき課題をまとめたもので、2015年9月の国連サミットで加盟国193カ国の全会一致で採択された。

SDGsは、貧困、教育、ジェンダー平等、環境など17の目標と169のターゲットから構成されており、2030年までの達成を目指している。

そして、各国のSDGs達成度をまとめたものが「SDGs達成度ランキング」で、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が「持続可能な開発目標報告書」として発表している。

ランキングのスコアは、17の目標すべてに対する進捗状況を総合的に評価したもので、スコアは0から100で評価され、スコアが100になればすべて達成できたことを意味する。

2025年 SDGs達成度ランキング TOP50

2025年のランキングの上位50か国の結果は以下のとおりだ。なお、2025年ランキングでは国連加盟国193か国のうち、167か国を対象としている。

「Sustainable Development Report 2025」より(※1)

過去のランキングはこちら

世界のSDGsの達成状況は?

2030年までに達成できる目標は1つもない

今回の「持続可能な開発目標報告書」で指摘されたのは、世界全体で達成見込みである目標はわずか17%しかないこと。また、17ある目標のうち、世界平均で2030年までに達成できる目標は1つもないことだ。紛争、構造的な脆弱性、限られた財政といったことが、SDGsの目標達成を阻んでいる。

世界レベルで「目標達成の軌道から大きく外れている」

報告書で、世界レベルで「目標達成にむけてとくに軌道から大きく外れている」と指摘された目標は、以下の5つだ。

・目標2「飢餓をゼロに」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」

欧州が上位を占める

「SDGs達成度ランキング」が発表されるようになってから、上位の常連であるのがヨーロッパ諸国だ。2025年版ではフィンランドが1位、スウェーデンが2位、デンマークが3位だった。ただ、これらの欧州諸国でも、気候や生物多様性の目標については達成まで道のりは遠い。

東アジア・南アジアは急激な達成度の伸び

一方、SDGs達成度について急激な伸びを見せているのが、東アジアや南アジアの国々だ。また、とくにSDGs達成度が急速に伸びている国として、報告書では、ネパール、ペルー、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、コスタリカなどの名前を挙げている。

インド・中国などの大国は?

気になるのは、人口が多い国々の行方ではないだろうか。世界人口で上位3か国の達成度は以下のとおりだ。

2024年は、インドは109位、中国は68位、米国は46位だったため、3か国とも達成度が進んだようだ。

開発途上国は苦戦 SDGs達成度ワースト10

ヨーロッパ諸国をはじめとする先進国は達成度が高いが、その一方で、達成度が低い国々には開発途上国が多い。SDGs達成度が低い国には、以下のような国がある。

SDGs達成度ランキング ワースト10

日本のSDGs達成状況と評価は?

日本は、167位中19位で、スコアは80.66だった。近年の順位とスコアの推移は次のとおりだ。過去最低だった2023年の21位から回復していることはうかがえる。

さらに報告書では、17の目標それぞれについて「達成済み」「課題が残る」「かなりの課題が残る」「深刻な課題がある」の4段階で達成度を評価している。2025年報告書で指摘されたのは、下記のとおりだ。

達成済み

・目標3「すべての人に健康と福祉を」

課題が残る

・目標1「貧困をなくそう」
・目標4「質の高い教育をみんなに」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標16「平和と公正をすべての人に」

かなりの課題が残る

・目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

深刻な課題がある

・目標2「飢餓をゼロに」
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標12「つくる責任つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」

ジェンダー平等・気候変動・海・陸の対応などの目標に遅れ

日本で達成済みと評価されたのは、目標3の「すべての人に健康と福祉を」のみ。目標4「質の高い教育をみんなに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」など、前年よりも評価が落ちたものもある。

一方で、「課題が残っている」と指摘されたのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標13「気候変動に具体的な対策を」など。また、日本で目標2「飢餓をゼロに」が「深刻な課題がある」と最低評価を受けたことは、意外と感じる人がいるかもしれないが、日本でも格差や食糧難に苦しむ人がいることが存在する証拠だ。

順位・スコアだけではない 本質に目を向けよう

世界全体で、2030年のSDGsの達成には程遠いと指摘した今回の報告書。とくに近年は、新型コロナウイルス感染症の猛威とその影響による格差の広がり、そして各地での戦争勃発、物価高など、SDGsの達成を阻む要因が増えている。

世界では日々の十分な食糧を得られない人がいて、海や陸などの環境への影響も深刻化している。そして、日本でもそのような格差が起きている。

SDGsランキングはひとつの指標にすぎず、順位やスコアだけで一喜一憂するのではなく、世界や日本の現状を理解して、それを受け入れ、私たちに何ができるのか考えていくきっかけにするべきだろう。

※1 Sustainable Development Report 2025|Sustainable Development Solutions Network

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