マイコプラズマ肺炎 過去最多の患者数に
微熱や頭痛の後、数週間続く咳などの症状が特徴のマイコプラズマ肺炎は、オリンピックイヤーに流行する傾向があるとされる。国立感染研究所によると、今年も5月ごろから流行し10月には全国の1医療機関当たりの患者数が過去最多を3週連続で更新。11月に入って減少したが、秋から冬に感染者が増える疾患だ。三重呼吸器アレルギー内科クリニック(四日市市高角町)の伊藤源士院長に診断や治療について聞いた。
風邪やインフルエンザは通常数日から1週間ほどで咳が治まるが、マイコプラズマ肺炎は微熱や頭痛、倦怠感の後、痰を伴わない咳が数週間続く。鼻水やくしゃみなどの症状は少なく、夜間の咳で眠れない人も多い。感染力は強くないが飛沫感染するので、マスク着用など周囲への配慮が必要だ。感染した場合、家族のタオルの共用は避ける。
今年、同クリニックでも患者数が増えた。東京五輪を開催予定だった2020年は、新型コロナ対策のマスク着用や手洗い、人との接触回避で、マイコプラズマ肺炎の感染は抑えられた。今年は人との接触が増え、8年ぶりに感染が拡大したと考えられている。
子どもや若者が感染しやすく、60歳未満で乾いた咳が続き血液検査で白血球の数値が増えていない場合はマイコプラズマ肺炎であることが多く、抗体検査を行う。他の感染症の疑いが否定できない場合は15種類の呼吸器感染病原体を調べられるPCR検査もあり、インフルエンザや新型コロナなども同時に検査できる。
治療薬は、テトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質が用いられる。通常は数日で解熱し咳も治まるが、稀に重症化して入院することもある。乾燥した部屋で横になると咳が出やすく、クッションなどで上半身を高くし、加湿して寝ると良いそうだ。咳が続く場合は結核や肺がんなど深刻な病気が隠れていることもあり、伊藤院長は「自己判断せず早目に受診してほしい」と話した。