智弁学園撃破の奈良県立畝傍高校野球部の歴史、1941年夏の甲子園は幻に
春季奈良大会で波乱…智弁学園にコールド勝ち
高校野球春季奈良大会で波乱が起きた。27日にならっきー球場(大和郡山市営球場)で行われた3回戦で、甲子園の常連・智弁学園がまさかの7回コールド負け。勝ったのは甲子園出場経験のない公立の進学校、畝傍(うねび)だった。
畝傍は2回に一挙6点を奪って主導権をつかむと4回にも2点を追加。智弁の反撃を1点に抑え、8-1の快勝だった。
今大会でベスト4入りすれば夏のシード権を与えられるが、2016年センバツ優勝、昨夏の甲子園でもベスト8入りするなど春夏合計36度の甲子園出場を誇る名門・智弁は、夏の奈良大会をノーシードで迎えることになった。
勝った畝傍は2回戦でもDeNA・三浦大輔監督の母校として知られる高田商を5-3で下しており、堂々のベスト8入り。5月3日の準々決勝では甲子園出場経験のある奈良大付と対戦する。
1941年奈良大会優勝も甲子園中止
全国的には無名の畝傍だが、地元では有名な伝統校。1896年(明治29年)に奈良県尋常中学校畝傍分校として開校し、2026年に創立130周年を迎える。
野球部は1898年(明治31年)に創部され、1941年(昭和16年)夏の奈良大会では、決勝で五條中を下して優勝。しかし、甲子園大会は戦争により中止となり、聖地の土を踏むことはなかった。
ほかにも1940、46、70、81、2012年と準優勝が5度もある。2007年にはセンバツ21世紀枠の近畿地区推薦校に選ばれたが、甲子園には届いていない。
準決勝で畝傍vs奈良の進学校対決も
奈良県の甲子園出場は今春センバツにも出場した天理と智弁学園がほぼ独占。直近で両校以外の甲子園は2018年夏の奈良大付、センバツは2017年の高田商までさかのぼる。
今大会も天理は15-0で西大和学園に大勝して準々決勝進出を決めており、優勝候補の大本命だろう。ただ、畝傍以外にも公立進学校の奈良がベスト8入りしており、畝傍と準決勝で対戦する可能性もある。
智弁を撃破した畝傍の快進撃はどこまで続くか。そして、今夏再び波乱の主役となるか注目だ。
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記事:SPAIA編集部